隊員①
「まぁ、今すぐに僕のことを信頼するっていうのも難しいと思うし、だんだんと慣れていくような感じで大丈夫だよ。それじゃ、部屋から出ていいよ」
「了解です」
なんか釈然としない。たぶん本当にあの子が隊長なんだとは思うんだけど理由とか教えてくれなかったから納得できない。
そんなもやもやした気持ちを抱えたまま部屋を出る。
「納得していないという顔だな」
「うわっ」
どうやら部屋の外で弓削という人物は待っていたらしい。俺のことを待ってくれているということはたぶんこの人が俺の教育係をやるんだろう。
「確かに13歳の少年が隊長をやっているっていうの常識的に考えれば不思議だよな」
「…隊長にも同じようなことを言われました」
「そうか。だが隊長は頼りになる。これだけは言える」
「なぜあの少年は隊長をやっているんですか?」
「それは俺も知らん。最古参の菖蒲なら何か知ってるかもな」
「弓削ー。何やってんの?」
「噂をすればだ」
そう言って部屋に入ってきたのはギャル。…なんでここにギャルがいるんだ?俺ああいうタイプはちょっと苦手なんだけどな。
「あれ?もしかして新人君?やっほー!」
案の定俺に絡んできた。それにこの人が最古参って話だったよな?…俺よりも若く見えるんだがどういうことなんだ?
「菖蒲、新人が混乱してるだろ。あんまりしょっぱなから飛ばすな」
「えーー、別にいいじゃん。それに菖蒲さんでしょ?」
「お前にさんを付ける気が起きない」
「ひどーー、傷つくんですけどー」
「それならそのまま傷ついてくれ。お前の対応から解放されると思えばそのほうがよっぽどいい。剣持もこいつみたいにはなるなよ」
「はい」
思ったよりもギャルしてる。初め見たときはギャルだけどさすがに警察の特殊部隊いるんだから見た目だけかなっと思ってたらガチで中身までもギャルだった。
「えーー、新人くんひどいよー」
「そんなことよりも自己紹介をしたらどうだ?」
「あっ、そうだね。私は菖蒲珠莉。バリバリの現役高校生だよー」
…ガチか。高校生っていうと俺よりも5,6歳若いってことか?それが最古参ってどうなってんだよ。ここは。
「不思議っていう顔だねー。確かに私九条君ほどじゃないけど若いからね。ちなみに新人君は名前なんて言うの?」
「剣持隼人です。よろしくお願いします」
「それじゃ、自己紹介も済んだってことはもう友達だね」
「え?」
「菖蒲、だから手加減をしろ。貴重な新人がお前のせいでやめたってなったらシャレにならん」
「もーー、ひどいよ。てか、歓迎会はいつやんの?」
「それは今日の夜にやる予定だ」
「おっけー。じゃ、今日は頑張って仕事終わらせないとね」