表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

初めての変身


「えっと、変身用魔道具、召喚シール、鞭、マイク……」

「エレメンタルストーンは持った?」

「ロケットの中に収納しています」


よく分からないマスコットキャラクター……もといクロム先輩がビデオ通話で必需品の指導をしてくれている。

本日私は、悪の女幹部としてのデビューを迎えるのだ。

ブラッディーマリー、それが私の通称になる。

本名と全く違う名前にしたかったのだが、あまり違いすぎる名前は魔道具に登録できないとのことだった。

万里という名前は「バンリ」と読むのだが、悪の女幹部らしい名前が浮かばなかったから、よく間違えられる「マリ」の方を採用した。


「マリー、変身用魔道具の使い方は覚えてるよね?」


クロム先輩が、小首を傾げるような可愛らしい仕草で尋ねてくる。なお、可愛いのは仕草だけで、聞こえてくる声は成人男性のものだ。


「はい。人目のつかないところで唇にリップを塗り、呪文を唱えるんですよね」

「そう、どんな呪文か覚えてる?」

「ええと、シャドウブルーム、です」


「正解!」とクロム先輩はにっこりと笑顔を向けた。

さすがのプリティーさで、何故悪の組織のマスコットキャラクターとして労働しているのかの疑問が浮かぶ。


「何か困ったことがあったらすぐ通信してくれていいからね」


小動物的な動きでわたわたする先輩を軽くあしらい、ビデオ通話を切った。あまり長話をしている暇はないからだ。

もう時間は夕方の5時半を回っている。

退勤するまであと3時間半。

絶対定時で上がってやるという誓いを胸に、家を出たのだった。





バス停を降りるとそこは本日のステージ、花咲中央公園だ。花咲町で一番大きい公園で、日が暮れても割と人が多いところだ。

一番端の人通りが少ない林に身を隠し、ポケットから変身用魔道具であるリップを取り出す。下唇をそっとリップでなぞり、私は呪文を呟いた。


「シャドウブルーム」


禍々しくも綺麗な光がどこからか現れ、色のついた風のようにしゅるしゅると私の体を包み始める。

眩しさに目を閉じ、次に目を開いたときには私の姿は変わっていた。


「ひっ、目線高っ!」


170センチのお色気お姉さんの容姿で初期登録したからか、普段より20センチも高い目線に驚愕する。

高所恐怖症ではないが、昔父親に肩車された時のことを思い出す。あれよりは低いが、そうだとしても普段の視点の違いが私を混乱させた。


それにしても……チラリと胸元や足元を見ると、さすがのお色気っぷりに羞恥心が勝ちそうだった。

黒いラバー素材のスーツはピチピチで丈も短く、ガターベルトが艶かしく太ももを這っていた。まさに絵に描いたようなお色気お姉さんっぷりであり、悪の女幹部としての正装であろう服装だ。

こんな格好、健全な青少年であれば一目見て顔真っ赤にするだろう。

魔法少女たちが見るのであれば、同姓同士でそんなに恥ずかしくないと思い、私はため息を一つ吐いて林から出たのであった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ