時給に目が眩みました
処女作です。筆も遅いのでご勘弁。
「今日こそは逃がさないわよ! ブラッディマリー!」
夜の公園でも一等星のように目に映るは、キラキラ輝く魔法少女たち。
色とりどりに輝く様はまるで星空のお花畑。フローステラという名前にぴったりだ。
一斉に武器を構え始める彼女達を横目に、煙幕の準備をする。
「残念だけど、遊びの時間はもう終わりなの」
公園の時計はもう21時を指し示していた。高校生が働ける時間のタイムリミットである。時間の余裕はない。じゃあねと手を振り、いつも通り煙と人混みに紛れて退勤する。
そう、私は悪の女幹部。完全ビジネスライクな雇われ女幹部(時給2,500円)なのだ。
...
この春、高校2年生になったばかりの私こと金森万里は焦っていた。
「赤字だ……」
レシートが丁寧に糊で貼り付けてあるページを捲って、溜息をつく。
このままではダメだ。もっと良い時給のバイトを探さないと。
年明け早々、父親はいつの間にか作ってあった借金を残して失踪。
母は先々月からダブルワークを始め、帰りはいつも日付が変わる頃。
私はというと、先月からスーパーのレジ打ち(時給920円)を始めている。
それでも私立高校通いのため、当たり前のように赤字になる。
当初、母に転校すると申し出たが、首を縦に振られなかった。私を思ってのことだ。
アルバイトを始めると言った時も、それよりも友達との時間を大事にしなさいと言われたが、私は母のことも大事にしたいからと突っぱねた。
そうして始めたアルバイトだったが……やはり物価高の現代社会、生き延びるには相当辛い。
凹みかけたところでハッと我にかえり、パチンと頬を叩いた。
気を取り直して、バイト帰りにもらってきた求人誌に目を通す。
「えーと……未経験歓迎、女子高生・女子大生大歓迎、リモート面接、リモート研修、オンライン退勤、同僚と顔合わせ基本なし、週一勤務可シフト制、週一報告書提出のみ、必要物資は全部支給、交通費全額会社負担、時給……に、にせんえん!?」
なんだこの求人は……めちゃめちゃに怪しすぎる。
業種を見てもサービス業としか書いてない。誰でも良いから来てくれと言わんばかりの内容だ。
でも、でも、でも私は、お金欲しさに気付けば電話をかけていた……。
「すみません、求人広告を見たのですが……」