自分の作品が好きすぎて困る
多くのなろうユーザーのご多分に漏れず、自分も作品を書いています。
つい最近、自分は作品の設定の一部を変更するために、投稿済み部分の一部を改稿することに決めました。そんなに派手な改変ではなく、作品内のある用語のルビを変更する程度のものでした。
変更点は少ないはずでしたが、問題がありました。
その『変更予定の単語』が初めて作品内で出てきたのは、拙作の第754話くらいからでした。そして、自分が設定変更を決意したのは第1100話くらいの時。しかも自分は、その単語を今までどこで、何回使ってきたか憶えていない。
つまり、自分で自分の作品を読んで『変更予定の単語』を探さなければならなかったのであります。およそ350話、一話につき3000字前後なので100万字の中からです。
おまけに自分、この作品の毎日投稿もしています。
改稿と執筆、並行して進めなければならない。
それでも自分は「まぁなんとかなるだろう」と楽観的に考え、この計画を進めることにしました。そう判断した当時の自分に助走つけて殴る蹴る等の暴行を加えたい。
改稿作業は、思った以上に一大事業となりました。
むしろなぜ一大事業にならないと思ったのか。
自ら書き上げてきた圧倒的文量。ついついやってしまう他の箇所の手直し。読み疲れ。次話の執筆。他の作者様の作品や割烹。スマホゲーのイベント。日々のお仕事。猫動画。
あらゆる障害、あらゆる誘惑が立ちはだかりました。
どいつもこいつも強敵でした。
特に一番最後。
ですが、そんな数々の強敵をも凌ぐ、最強の刺客が存在したのです。
つまるところ、それは……まぁタイトルの通りです。
自分で言うのもなんですが、自分の作品が面白いのです。
『変更予定の単語』だけ探せば良いものを、ついつい本文も読み更けてしまって、そのたびに自分が書いた物語にドはまりしちゃうのです。
キャラクターたちの掛け合い。
自分で書いたくせに、クスッと笑ってしまいました。
主人公たちの前に現れる、恐るべき強さの敵キャラ。
自分で生み出したのに「コイツどうやって倒すの……」って思いました。
そんな強敵を、何十話もかけて見事に倒した主人公たち。
自分が作者の物語なのに、いち読者のように燃えました。
面白いのでどんどん読み進むことはできました。しかしそのぶん、より面白い作品にしようと思って、気になった部分は予定にないところまで改稿していく始末。
ああ、こんなんじゃ改稿作業が進むわけがありません。
改稿作業の真の敵、それは自分の作品の面白さでしたとさ。
こんなことがあるのは、なにも改稿作業の時だけではありません。
「さーて、連載の続きを書かないとなー。前回はどこまで進んだっけ? 推敲も兼ねて読み直すかー」
↓
「うーん、ここが少し気になるな。大切な作品なんだから、たった数文字だけでもこだわりたい。ここも少し手直しして……おっと、ここも直しとくか。これでよし。それじゃあ改めて続きを書くぞ……って、あれ? もうすでに一時間経過している……?」とか。
「お、この短編にご感想が届いている。ありがたやー。でもこのご感想に書かれてある部分、どこのことだっけ? ちょっと本文を一から読んで確認してみよう」
↓
「あー面白かった。ところで、なんでこの作品を読もうと思ったんだっけ? んー忘れた!」とか。
しょっちゅうこんなことがあって、よく予定が狂います。
朝からゆったり執筆する予定だったのに、作品を読み返していたら、もう18時。返して……私の日曜日を返して……。
自分はまだ、100%読者受けだけを考えた物語というものを書いたことがない……と思います。書くのは基本的に、自分が面白そうと思った物語。「こんなお話があるといいな。いつでも読めるようになればいいな」と思った物語ばかりです。
そんな経緯で書いた物語なのですから、そりゃあ作者たる自分にぶっ刺さるのは、ある意味で当たり前のことでした。
そういうわけで皆様も、皆様ご自身の作品の楽しさに呑まれて時間を忘れたりしないよう、お気をつけて……。
ところで、ここまでお読みいただいた読者様の中には「こいつ自分の作品好きすぎるだろナルシストかよ」とお思いになった方々もいらっしゃることでしょう。
思ってない? 遠慮することはございませぬ。
なにせ、他ならぬ自分もそう思いました。
こいつ自分の作品好きすぎるだろナルシストかよ。
どんな顔した作者なのか見てみたいわ。
鏡見ろ。
見た。
なんだこのイケメン!?
あー皆さま殴らないで! ごめんなさい調子乗りました!
茶番は置いといて。
しかし実際のところ、自分と同じく『物語の作者』の皆々様なら、自分の気持ちはそれなりに理解していただけるのではと思っております。
皆様も大好きではございませんか、ご自身の作品が。
自分めのような考え方ではないにせよ、皆様も何かしらの形で、ご自身の作品を愛しておられると思っております。主人公にご自身を重ねていたり、作品を書いた経緯に何らかの特別な思い入れがあったり、何度も頭をひねって言葉の一つひとつまで魂を込めて書き上げた思い出があったり。
ナルシストでも良いと思うのです。作者が自分の作品を好きになるのは当たり前の自然現象だと、そう考えています。作者ってのは基本的に皆、自分の作品大好き人間なんだよ!(力説)
私めの作品のほとんどは、作者たる自分にぶっ刺すことを優先して書いた物語ですので、自分は面白いと思っても、他の読者様たちにとってちゃんと面白いかは分かりません。
ただそれでも、良いものは書けているという自信はあります。今のところ、いただいたご感想はおかげさまで好評なものばかりです。読者の皆様、いつも本当にお世話になっております。皆様のおかげで、自分は良い作品を書いていると認識することができます。
「こんな物語があったらいいな」
「無い? それなら自分で書くっきゃない」
そんな調子で生み出してきた、自分の自分による自分のための作品たち。
我が子のような作品たち。
そんな作品たちが他の誰かに読まれて、その人の心にもぶっ刺さり、「おもしろかった」とおっしゃっていただけたなら、これほど嬉しいことはございませぬ。
聞いた話では、ポイントクレクレするとポイントくれなくなるアマノジャクがいるらしいです。
ならば逆に、ポイント入れるなと言えば、アマノジャクの皆様もポイントを入れてくださる?
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました!
このエッセイが面白いと思っても、絶対にポイントは入れないでください!
☆☆☆☆☆を★★★★★にされても、ちっとも嬉しくないですからね!
いいか絶対だぞ! フリじゃないからな!