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相棒はご先祖サマ!?  作者: 樹洞歌
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第41話 実行犯はドルノースで何とかしてください


 異世界生活十日目。え? 跳んだ? そうなんです。今までウスノースの町で待機中だったんです。謹慎じゃないよ。お役所の仕事はどこの世界でも時間がかかるって思いました。


「待たせたな」


 ウスノースの衛兵本部に呼び出された俺たちを待っていたのは、ケージン隊長だった。いや、階級は知らないけど。

 メンバーはアマンダさん、ハーベスト商会の従業員でスコットさん、カマロのおっさん、新さん、そして俺の5人だ。ほかにも、アマンダさんのお父さんとかが来たがったが、あくまでアークノ商会とハーベスト商会の問題だったので遠慮してもらった。もちろん俺が出しゃばったんじゃないよ。


 カマロは普通に護衛役。特に俺と新さんは臨時の衛兵としてアークノ商会に乗り込んだから、その件も上司に報告する必要があるんだって。三日も経ってるんだけどね?


 会議室みたいなところに通されて席に着く。

 ケージンさん以外の衛兵さんも来た。あれが上司かな?


「さて、今回はお手柄でした」


 上司さん(仮)はマルコスと簡単に自己紹介し、話し始めた。


「アークノ商会ですが、いろいろ不正が見つかりました。まあ、どこにでもいる程度の小悪党だったので後回しだったことは謝罪します。うわさぐらいは聞いているかもしれませんが、最近騎士と衛兵の大掃除をしたばかりなんですよ。これが予想以上にゴミが出ましてね、予定では衛兵以外の役人と貴族の関係者にも広げるはずだったんですが、何がどれだけ出てくるか予想がつかなくなりましてね、上からストップがかかったんです。いまはまともな騎士と衛兵の数を増やすのが先でどうしても手が足りないところでして……」


「マルコスさん、話がずれてますぜ」


 ケージンさんが止めてくれなければ俺たちは結構ヤバイことを聞かされていたかもしれない。


「おっと。民間人に聞かせる話ではなかったな。いや、どうもあの件で忙しくてね。つい愚痴が出てしまうんだ。はははは」


 ははは、じゃねえよ。本題に入れや。


「それでアークノ商会ですが、死罪は確実でしょうな。本人はお貴族サマの名前を出して強気のようですが、そんなのが通じたのはちょっと前までの話です。ゴミ衛兵やゴミ騎士に金を渡していたのも判明していますから、そんな商人をかばうほどお貴族サマもバカじゃありません。とばっちりが間違いなく来ますからね、知らぬ存ぜぬでシッポを切るでしょうな」


 言い方! 

 でも、今回のことで貴族が関わらないってわかって一安心だ。犯行動機は一方的な愛情のモツレってやつみたいだからこれ以上黒幕が出てくることはないだろう。ないよな?

 関係貴族は金ヅルを失った逆恨みはありそう。

 あとは、南大陸の犯罪ギルドだが、直接俺たちとは関わらないだろう。たぶん。


「あ、あの、主人の身体のことですが……」


 アマンダさんにとってアークノ商会の進退はどうでもいい話だ。商売で損をしてでも薬がほしかったくらいだからな。


「ああ、その件についてですが、毒やら薬やらの真贋はまだわかりません。いずれ王都や神殿から高レベルの鑑定持ちを派遣してもらってからの判断になります。

 そこのキミかな? こんな話を持ってきたのは?」


 いきなり俺に話が振られてビックリした。


「あ、はい。俺です。猟師やっていまして、気配遮断やら幻影やらのスキルを持っていましたので、協力させていただきました」


「猟師というより暗殺者だねえ」


 俺もそんな気がしました。

 だって、目立たないようにって神爺さんが言うんだもん!

 結果的にそうなっちゃっただけだよ!


「あー、一応犯罪者判別装置はクリアしたんですけど。それより、また話がずれてますよ?」


「おっと。会長夫人、失礼しました。それで、薬は王都からの連絡待ちですがね、こちらも遊んでいるわけじゃなくて、アークノを尋問しまして」


 わかります。

『ご』の付く尋問ですね?


「残念ながら内通者などはハッキリとはわかりませんでした。どうやら犯罪ギルドに依頼したようです」


 また出たよ、犯罪ギルド。

 南の大陸のといい、アークノ商会、テンプレすぎないか?

 それとも、日本でも総会屋とかいるし、よくあることなのか? 部長さん、小悪党って言ってたし。


「こっちの町は我々で対処できますが、ドルノースのは向こうの衛兵隊に任せるしかありませんな」


「犯罪ギルドなんて、そんな……」


 捜査が進めばご主人に毒を盛っていた人間を特定できるかもと期待して、早くドルノースに帰りたい思いを我慢していたアマンダさん。

 蓋を開けてみれば答えは『わからない』と同義語の犯罪ギルド。

 これでは何のために待っていたのかわからない。

 ガックリと項垂れてしまった。


「まあまあ、あまり気落ちせず、前向きに考えてください」


 マルコス部長(仮)は笑顔でアマンダさんを慰める。

 強面の衛兵さんよりも好感が持てるけど、ほどほどにしてください。胡散臭いです。


「すでに鳥で向こうから捜査を始めると連絡がきています。ご主人の警護もするそうですよ。それに、金だけの関係でしょうから、雇い主が捕まった以上犯罪ギルドの連中も手を引くと思いますよ」


 その言葉を聞いてアマンダさんはホッとしたようだ。


 しかし、鳥か。

 この世界、故意に文明レベルが抑えられているとはいっても魔法のある世界だからなあ。魔道具なんてある意味現代日本の技術を越えてるよな。

 庶民では使えないかもしれないが、通信の魔道具はあるそうだし、ティムした鳥は只の帰巣本能を利用した伝書鳩よりも便利なんだろう。往復ができるからね。


 待機中暇だったから色々調べた。

 ドルノースとウスノースは直線距離で百キロも離れていない。高速道路なら一時間だ。馬車だと二日かかるけど、鳥なら一日で往復できそう。

 それから、この国はミルガファーン王国といって当然貴族がいる。領地には王領と貴族領があって、貴族領も大きいのから小さいのまである。

 大きな領地には町もたくさんあり大抵は部下の下級貴族が代官をしている。こういう領地は町同士が通信の魔道具で繋がっている。

 対して小さな領地は町が一つということもありえて、そんな場合は領主の館と役所のみでしか使われないそうだ。

 もちろん各領地と王都は繋がっているが、特殊な場合を除き貴族間での通信の魔道具は設置されないのが通例である。


 では、ドルノースとウスノースはといえば、名前は似ているけど、どちらも小領主が治めている町で、通信の魔道具は繋がっていない。

 連絡は早馬かティムされた鳥を使うかだ。


 だからこんなに待たされたのである。


 そのうえ、衛兵というのは結局は貴族の私兵も同じであり、管轄が厳密に決まっている。それはもう警視庁VS県警、などよりもハッキリと。アメリカの州警察みたいなものかな? しらんけど。


 今回のように領地を跨いでの犯罪は解決が困難を極める。以前はそれが原因の一つとなって不正が横行していたらしい。

 通常は、お決まりの寄り親の大貴族を通したり、王都が介入する場合もあるとか。

 それでもダメな場合は、最終兵器・神殿の神聖魔法の出番だ。一発で解決する。ただし超高額で。その支払いも貴族間でもめる原因になるのだから世知辛い。


 今回は主犯はウスノースが確保し、実行犯はドルノースで何とかしてください、という結論だった。


 幸いなのは、毒の鑑定が済んだら、詐欺として正式に立証されるので商売上の損益とハーベスト商会のムングルトさんに対する慰謝料はアークノ商会の財産から支払われるそうだ。


 話はこれで終わりだそうだ。


 やっと帰れる!


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