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相棒はご先祖サマ!?  作者: 樹洞歌
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第39話 陰謀は暴かれた


 主人公が華々しく活躍する推理物、刑事物。一受験生なので詳しくはわかりませんが、本当に苦労するのは逮捕の後、裏付け捜査、立件、起訴、公判維持なのだそうです。それでやっと判決が出ても、被害者が救済されない場合もあるようで、本当に犯罪とは理不尽なものです。




 アークノ商会の陰謀は暴かれた。完全にではないが、逮捕、捜査が入るには十分な状況だ。


 応接室に雪崩れ込んだ武装集団を無力化し、主犯たるアークノ商会会長が機能不全を起こしたところで、ケージン隊長の指示で商館前に待機していた十名ほどの衛兵たちが現場維持のために商館内に入ってくる。商会の従業員たちは一箇所に集められ、逃げられないように監視されている。


 また、衛兵の一人が衛兵詰め所本部に応援を求めに走った。従業員も含めれば逮捕者が多すぎて連行するのにも人数が必要であろう。


 で、俺たちは、というと、自前の馬車で北門の衛兵詰め所に戻るところである。これは色々理由があるが、簡単に言うとケージン隊長の好意だ。カマロたちが心配しているだろうし、『犯罪者判別器』を早く上司さんに返したいというのもある。

 建前では、アークノ会長の逮捕理由が『盗賊の容疑者が会長の関与を発言した』『口封じのためにならず者に衛兵の殺害を命じた』ことなので、アマンダさんに直接関わるものではなく、後日証人として本部での取調べに応じれば問題ないそうだ。


 北門までの道中、俺は商館内で入手した情報を同行してくれている隊長さんに報告する。今の段階でもアークノ会長を法的に裁くのに十分だろうが、アマンダさんにとって重要な謎の解明には至っていない。


「ケージンさん。商館の中でヤツの独り言を聞いたんですけどね、どうやらハーベストの会長さんに飲ませた毒って簡単に治療できるみたいですよ?」


「何? じゃあ何で今まで治らなかった? 大体そんな簡単に治るんなら治療師がすぐに毒だって気付くだろうが」


「そこが問題で、毒自体は大して強くないくせに、低レベルの鑑定を誤魔化すことができるみたいなんですよ。で、これって、定期的に毒を飲ませてる実行犯がいるってことじゃないかと」


「そうか。とすると、薬師か治療師か、それともハーベスト商会の内部犯ってとこか」


「そこまでは漏らさなかったんで、一刻も早く調べてもらいたいと」


「わかった。上に報告しておく。しかしなあ、それって鑑定の高レベルが必要なんだろ? 王都から呼ぶか、もう神殿に丸投げしたほうが早いような……お前さんのレベルじゃ足りないのか?」


「いやあ、俺もコアクットとかの話を聞いてなかったら自分の鑑定結果を見て驚きませんよ。本物の『万能薬』って出るんですから」


 嘘は言っていない。鑑定結果に驚いたのも本当、『万能薬』と出たのも本当。ただ、低レベルだとも高レベルだとも言っていないだけだ。神サマレベルの読心ができなければこれ以上は追究はないだろう。


「……そうか。悪い。これは俺たちの仕事だったな」


「いえ。一応俺の依頼人なんで、早く助かってほしいです」


「わかってる。できる限りのことはする」


「おねがいします」


 そんな遣り取りをしていると、北門に到着していた。

 詰め所に入り、まずは上司さんに報告と魔道具の返却。結局使わなかったというと苦笑いしていた。魔石の無駄遣いにならなくてホッとすると同時に要らぬ手間をかけさせて腹立たしい気持ちにもなったのだろう。

 その後ケージン隊長は慌しく動く。門の警備があるためこれ以上人手を割くわけにも行かず、単身で本部に向かうことに。


 その間俺たちはカマロたち留守番組に経過報告した。こっちも慌しく出発の準備をしながらだ。もうここに留まる必要はない。

 元々の予定ではアマンダさんの実家に馬車を預けることになっていたので、少々遅くなったが、夜9時の鐘が鳴る前に移動してしまおうということになった。


 当番の警備兵に挨拶をして北門を離れる。

 夜の街を移動するのに、9時の鐘以降は馬車は禁止だとか、使用できるのは大通りだけだとか徐行厳守だとか色々ルールがあるようだがカマロたちが当然知ってるので任せる。どうせ俺は馬にも乗れないし馬車の運転もできないからね。


「しかし、ケントはすげえなあ。あっさり事件を解決しやがった」


「真に、真に。同郷のものとして鼻が高いでござる」


 馬に乗らずに引いて歩いているカマロと新さんがやたら俺を褒めちぎってくる。素直にうれしいけど、全て解決したわけじゃないし、そもそも地球の知識とチ-ト能力のおかげだ。

 言っちゃ悪いが、神サマたちに中途半端に文明の発展を制限されている世界と爛熟か退廃かともいえる現代日本と比べるのが間違いだ。もし敵が現代日本レベルの情報ツールを駆使していたなら俺如きに尻尾は掴ませなかっただろう。しかも現代兵器が相手だった場合、物理的に全滅していたはずだ。


 そもそも、『犯罪者判別器』なんて神チートのあるファンタジー世界、俺がでしゃばるでもなく事件は解決していただろう。俺はちょっとそれを早めさせて被害者が手遅れにならないように事件を発覚させただけだ。


「いやいや。偶然似たような事件の話を聞いたことがあってちょっと調べてみたら予想が当たっただけですよ」


「それでもすげーって!」


「さようでござる。ケント殿には軍師の才覚が備わっておるのでござろう」


 この後も褒められっぱなしで、『いやいや』とか『またまた』とかいいながら魔力由来であろう街灯で照らされた道をゆっくりと進んでいく。

 途中衛兵たちがアークノ商会周辺に集まっているのを目にしつつ、更に歩を進め、予定どおりアマンダさんの実家であるハモンド商会へと辿り着いた。


 アマンダさんは勿論のこと、俺たちも熱烈な歓迎を受けた。

 アマンダさんの御両親もハーベスト商会とアークノ商会の契約のことは知っていたらしく、今日が最終日だと知ってたので早ければ昨日一昨日、遅くても今日の日暮れの鐘までに顔を出すはずだと思っていたらしい。

 ところが日が暮れても一向に娘はやって来ず、最後の商談で時間を取られているのだと焦る心を誤魔化しながら夜9時の鐘まで待とうということになったらしい。

 それでもまもなく9時になろうというのに姿を見せない娘。何かあったのかと飛び出しそうになったところに俺たちが到着したというわけだ。


 こりゃ今夜は御両親への説明で日が変わってしまうかもしれない。

 うん。説明は護衛リーダーのカマロのおっさんに任せた。え? 逃がさない? はい。わかりました……


 新さんはゆっくり休んでていいからね?

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