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相棒はご先祖サマ!?  作者: 樹洞歌
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第38話 ハイ来た! 「ものども出会えー」だって。やられ役決定じゃん


 異世界だから多少の不法行為は大丈夫。なんて、『犯罪者判別器』などというものがあると線引きに困る。犯罪捜査のための覗き、盗聴は認められるのか? というか、誰が許可するの? 王様? それとも神サマ?

 どちらにしろ現代日本では『犯罪者判別器』などというものがあっても大問題になるだけ。製造者も人間、プログラミングも人間。いくらでも恣意的に調整できそうだ。冤罪作り放題。やっぱりこの世界はファンタジー。




 異世界生活6日目。5月36日。

 今日がアマンダさんにとって重要な日である。


 午後6時ごろ、俺たちは馬車に乗りウスノースの近くまでやってきていた。

 アマンダさんの馬車以外には俺が『幻影』魔法を掛けて外からは見えなくしている。敵にこちらの商隊が無事であることを知られないためだ。


「すげえ魔法だな。お前さんが盗賊だったら俺たち全滅しちまうな」


 アマンダさんの馬車に併走して馬に乗っている衛兵隊の隊長さん、ケージンさんがびびっている。冗談でもそんなこと言わないでほしい。俺は気が小さいんだ。


 しかし、このケージン隊長を口説き落とすために、ある程度こっちの手札を見せる必要があった。スキルレベルまではバカ正直に教えなかったが、『鑑定』『気配察知』『気配遮断』『幻影』『無属性魔法』『アイテムボックス』など狩りにも使えて、侵入捜査にも役立つことをアピールしたのだ。


 アークノ商会の中に入りさえすれば『気配察知』で証人足りえるコアクットを補足できる。時間的に襲撃の報告したあと衛兵詰め所への密告までやらされているはずなので商館にまだいる可能性が高いと思われる。

 報告の後すぐに追い出されているなら俺の負け。


 まあ、その時は薬を手に入れればいい。契約上のこと、向こうも渡さないとは言わないだろう。『鑑定』して偽物だったり、コアクットの情報どおり『解毒剤』だったら、詐欺行為の現行犯逮捕。その時のために隊長さんにも同席してもらいたいのだ。

 万一薬が本物だったら、かなりムカつくが、予定通り金を払う。あとは神殿に訴えて損失を取り戻すしかない。


 向こうが盗賊に荷物を奪われていると信じてドヤ顔しているところに、契約どおり商品を渡してやれば契約を果たしたことになる。

 一体どんな顔をしてくれるか、不謹慎だが楽しみでもある。

 そのためにがんばって馬車5台分の商品を『亜空間倉庫』に入れたのだ。100㎥って結構デカイのな。ケージン隊長もビックリ。

 だが、作戦成功の確率も高いと見て話に乗ってくれた。


 日暮れの鐘が鳴る直前、アマンダさんの馬車1台と衛兵隊が北門から入り、アマンダさんは一人衛兵の詰め所に向かった。

 他の馬車も、姿を消したまま、詰め所の中庭に人知れず入れさせてもらう。ここでカマロたちはしばらく待機。有名ではないだろうが、顔を知っている人間に会ってしまうと計画が狂ってしまう。

 この街で動けるのは俺と新さんの二人だけ。


 隊長さんにお願いして衛兵の装備を借りる。兜もあるので黒髪、チョンマゲは目立たない。まあ、俺は『幻影』で姿を隠すつもりだが。

 それでも衛兵の格好になったのは、臨時で雇ってもらったという形にしたかったからだ。今後『犯罪者判別器』を使われないとも限らない。その時に『アークノ商会への不法侵入、覗き、盗聴』などの罪で犯罪者扱いされては困るからな。

 盗賊を殺した後で調べられても犯罪者判定が出なかったことから、今回も犯罪者相手だから大丈夫のような気もしなくもないが、不安なので念のため後から証明書ももらいたいところだ。


 それはともかく、アークノ商会への侵入は成功。勿論ケージン隊長と新さんは堂々と被害者の護衛役として同席してるけどね。


 アマンダさんの動向は把握していたみたいで、すぐにアークノ商会会長とやらが現れた。


 まあ、なんというか、ハゲでデブで陰湿そうなニヤけ顔。判別器がなくても90%の人が犯罪者だと断定しそうな外見だ。これで善人だったら神の陰謀だと思う。自分でも偏見だとは思うが、ここに来て早速コアクットの反応をナビさんが感知したのでしょうがない。クロだ。


 アマンダさんたち3人の右肩を軽く触る。コアクットの反応アリのサインだ。


 アマンダさん、軽く頷いて強気になった。


 ちっ、アークノ会長、上手くかわした。盗賊の情報を知ってて当然なんて態度取られたら、あとで荷物が無事なところを見せて驚かせても証拠にはならないだろうな。『情報屋に騙されただけだ』とでも言われて御仕舞いだ。荷物、頑張って『倉庫』に入れたのにな~。


 でも元の作戦、薬の確認だ。

 ケージン隊長がノリノリで要求してくれたからアークノのおっさんも渋々と部屋を出て行った。

 俺も姿を消したまま着いていく。


 おいおい、廊下でべらべらしゃべるなよ。ありがとう。たぶん『偽造』とか『偽装』で『鑑定』を誤魔化してるんだね? 残念、俺たちの『鑑定』レベルは10なんだよ。まあ、言わないけど。


 おっと、隠し部屋だ。独り言で大体わかった。これが問題の『毒』だな。

『鑑定』っと。お、ナビさん、今回は大分詳細に結果をみせてくれた。


 何々? ほほう? 南大陸の犯罪ギルドが使う毒ねえ? 低レベルの鑑定ではそれぞれの成分が毒と見做されない、か。つまり……ああ、食い合わせが悪い、みたいなやつか。なるほど、治療院でもわからないわけか。他の大陸の毒だし。

 え? 普通の治療魔法で完治? ということは、ハーベストの会長さん、治る度に毒を飲まされ続けてたってことじゃん。うわー、もう解毒薬とかどうでもいい気がする。


 ということで新さんにナビさん経由で報告。薬はどうでもよし、と。ナビさんのこの機能、ほぼメールだよね。何気に便利すぎ。


 アークノのおっさんは応接室に『薬』を持って向かったが、俺は別の場所に向かった。

 衛兵が来たという連絡は既に伝わっていたらしく、コアクットは一人で何かの部屋に隠れていた。そこへ俺登場。『幻影』でアークノの会長の姿を借りて、更に『魅了』『意識誘導』を使う。魔力全開、ほぼ洗脳の効果があるだろう。


「コアクット、名前を呼んだらすぐに応接室に来い。ワシ一人だから心配せずにもう一度襲撃の結果を報告するんだ。いいな、わかったな」


「へい。わかりやした……」


 ちょっと虚ろな表情が怖いが、これで仕込みはOK。

 俺は再び姿を消し、新さんにナビさんメールでコアクットの名前を大声で呼ぶように隊長さんに伝えてもらう。


 そのタイミングはすぐだった。隊長さん、慌てすぎ?


 コアクットは隊長さんの声が聞こえてくると部屋を飛び出す。

 俺もついていく。ここの商会の連中に邪魔されると面倒だ。只でさえ応接室の隣に戦闘員が配置されている気配なのに。


 応接室の入り口で従業員が邪魔してきたが、『マジックハンド』で邪魔し返してやる。はい、コアクットさん入室です。


 はいはい。コアクット君から重要な証言ゲット。それも衛兵隊の隊長さんの目の前で。さて、アークノ会長はどう切り抜ける?


 俺はコアクットが暴れている隙に部屋に入り、隊長さんの足元に『倉庫』から預かっていた『犯罪者判別器』を取り出した。いやー、これ借りてくるのに隊長さんの上司さんと一悶着あったんだよ。アマンダさんが『神殿に訴える』と涙目で交渉したおかげで何とか借り出せたんだ。まあ、なんかもう小道具的扱いにしかならない予感がするけど。


 ハイ来た! 「ものども出会えー」だって。やられ役決定じゃん。

 俺の予想を既に聞いていた隊長さん、笑ってるよ。俺だって笑い堪えるの必死なんだから。


 隣の部屋から人相の悪いのがぞろぞろ。ここは新さんの出番はナシかな? 血まみれになっても嫌だし。

 えーい、俺のマジックハンドパンチを食らえー。

 正に見えない攻撃。ヒャッハーな人たちは全員撃沈した。


 隊長さんに言われて俺も姿を現す。

 おや? 俺はまだ殴ってないのに、アークノ会長、崩れ落ちたぞ? どうなってんの?


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