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相棒はご先祖サマ!?  作者: 樹洞歌
33/65

第33話 護衛の仕事


 初めての依頼。それが護衛って、ラノベ的にアリ? ナシ? 残念、俺は主人公じゃないからどっちでもいい。何事も無く依頼を達成できれば問題なし。



『報告:現地時刻で23時になりました』


「ほわ? あー、ナビさん、ありがとう……」


 実はナビさんにモーニングコール? 頼んであったのだ。


 もらった翌日に早速使ってみたテントでは新さんが横で寝ている。

 夜の8時に寝ようとした時は、日本での生活のことを考えると眠れそうに無いな、と思っていたのだが、精神的にはともかく、身体はすっかりこちらの世界に慣れたらしく、いつの間にか寝ていたようだ。


 新さんを起こさないように静かにテントから這い出る。


「お、何だ? もう起きたのか?」


 焚き火の前に座っている前半担当の一人、ユーハンが小声で話しかけてきた。


「まあな。猟師やってたから、慣れてるよ。そろそろ交代の時間じゃないか?」


 しれっと嘘をつく。冒険者とは違う職種だから色々誤魔化せるだろう。


「おう、じゃ、カマロを呼んでくる。あとは頼むな」


「おう」


 ユーハンは馬車の反対側で見張りをしているコーリンを呼んで、二人でテントに戻り、しばらくしてカマロのオッサンが出てきた。


「待たせたか?」


「いや。で? どっちが先に見張りに立つ?」


「俺が行こう。お前、『時計』のスキル持ってるか?」


 思いがけず、というか、聞きたかった情報が手に入りそう。


「いや? そのスキルって珍しいのか?」


「そうでもない。持ってるやつは結構居るって聞くぞ」


「そうなんだ。もしかして、俺ももうすぐ取れるかも。何となく時間がわかる気がするんだ」


「ほう? そりゃもう取れてるんじゃねえのか? まあ、助かった。30分がわかるか? 大体でいい。呼びに来てくれ」


「わかった。試してみる」


 カマロはマントに身を包み闇の中に消えていった。

 ちなみに俺もマントを羽織っている。ちょっとロマン。後でマントの翻し方を研究してみよう。


 その後3回ずつ馬車裏の見張りを交代したが、何事も無かった。


 次は新さんの番だ。


 カマロと二人、それぞれのテントに向かう。


「新さん、交代の時間だ」


「む? ケント殿か。かたじけない。では交代しよう。ゆっくり休んでくだされ」


「うん、おやすみ……あ、そうだ。時間がわかるスキルって、この国じゃよくあるらしいよ。鑑定じゃなくって『時計』のスキルがあるって言えば大丈夫みたい」


「ほう。あいわかった。そのようにいたそう。では、お休みなされ」


「うん」


 こうして俺は二度目の就寝。

 おやすみなさい。



「ケント殿。朝餉の支度ができたでござる」


 新さんに起こしてもっらた。

 口調と内容から緊急事態でないのがわかる。


「おはよう。新さん」


「おはようでござる」


『クリーン』をかけて外に出る。既に明るくなっていた。まずはトイレだ。


 焚き火のところにいくと、商会の人たちは既に食事をしていた。どうやら夜番していた俺をギリギリまで寝かせて置いてくれたらしい。感謝だ。


 早速食事をもらう。今朝もスープ。野菜だけは新鮮なものだが、肉は干し肉を少しという感じだ。ヘルシーでいいんじゃない?

 いただきます。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          今日が契約の期限最終日。護衛たちが掻き込むようにして食べ終わるとすぐに出発。

 昨夜一緒だった王都の商人さんたちも出発のようだ。

 軽く挨拶して反対方面に向かっていった。


 ガラゴロガラゴロ。

 道の左右に山が増えてきた。というより、山の間を縫って道ができたんだな。

 迂回できなかった場所は当然山道になり、冒険者たちは全員馬車から降りて歩くことになる。馬! 頑張れ!

 山道のピークで長めの休憩。馬にたっぷりと水を与える。エネルギー補給の概念もあるのか、砂糖も。

 そんな山道が結構続く。


 休憩中聞いてみた。


「確か、近くに北から南に向かって大きな川が流れてたよな。船を使えばもっと早いんじゃないか?」


「ああ、知らなかったのか。北の街からドルノースまでは水運が発達してるんだがよ、ここら辺は山が多いだろ? 急流があったり、洞窟になったりでとても船は使えねえんだ」


「なるほどな」


 縮尺のデカイ地図を見ただけじゃわからないこともある。やっぱり生の情報は大事だ。

 そうして馬車は進む。


「ここが最後の山道だ。この後はなだらかな道が続くから大分楽になる」


 昼下がり、何度もウスノースまで往復の護衛を勤めたというカマロが説明してくれた。

 そして最後の大休憩。


「ケント殿、気付いておられるか?」


「うん。カマロたちに言っておいた方がいいな」


 マップでみると、左右の山に反応が、動物ではなさそう。

 ナビさんチェックでも人間の魔力波形である確率が高いという。狩人かな?


 そんな都合よくはないか。30人は居るもんな。


 さりげなくカマロたちに報告。休憩する振りをしながら商会の人たちは馬車の中に入ってもらうことに。


 俺たちも休憩しているように見せかけ、フォーメーションの確認。進行方向前方にカマロ(剣士)、後方にユーハン(剣士)、街道の右側に寄せて停めている馬車列の道側に俺(魔法職)と新さん(剣士)の二人。コーリン(弓士)とスタン(魔法職)馬車の間から右の山側を警戒してもらう。

 右側が剣士不足だが、コーリンも近接ができないことは無いというし、俺がマップで人数差がわかるので問題ない。


 問題は、いつ向こうが行動に移すかだが。

 カマロに聞いてみたら、『隠れているのがバレたら逃げるか攻撃するかじゃないか』とすごく真っ当な答えが返ってきた。


 最後にカマロが護衛のリーダーとして確認してくる。

「逃げたいヤツはいるか? 居るならアマンダさんを連れて馬で逃げろ。追っ手は俺が必ず引き受ける」と。


 6人は誰も答えなかった。


「よし。アマンダさんに了解を取ってくる。俺が馬車から出てきたら配置に着け」


「「「「「おう」」」」」


 小声だったが気合の入った返事だった。


 もし、アマンダさんが降伏を選んだとしたら、悪いが俺は新さんに頼んで全力で殲滅してもらおう。こういうときのためのチートだ。ルール無用である。そのまま他国に脱出しよう。


「配置に着け!」


 カマロのおっさん、アマンダさんの馬車から出てくるなり剣を抜いて号令をかけた。

 どうやらアマンダさんは最後まで取引を諦めないようだ。旦那の命がかかってるからな。


 カマロのおっさんの声が山々に響き渡ると、相手も行動に移った。

 逃げる様子は無かった。


「来るぞ!」


『気配察知』持ちを隠していない俺が警告を発する。

 敵は、逆落としなど使わないようで、街道に出てくるのに時間がかかるらしい、残念、奇襲は失敗だよ。

 俺たちは余裕を持って配置位置で出迎えることができた。


「武器を捨てろ! 大人しくしてりゃ命だけは助けてやるぞ!」


 盗賊の代表……皆髯面なので区別できない、が一応降伏勧告をしてくる。


「断る!」


 おしい! そこは『だが断る』だろう?

 冗談はともかく、カマロのおっさんは男らしく答えた。俺の中で評価が上がった。


「はん! この人数差がわかんねえのか? 馬鹿じゃねえか? 今度こそパーティー全滅すんぞ? あー、めんどくせえ。おめえら! ぶっ殺せ!」


「「「「「うおーっ!!」」」」」


 おかしら(仮)の号令で30人の盗賊たちが一斉に襲い掛かってきた。


 はあ~。


「底無し沼!」


「「「「ぐへっ!」」」」」」

「ぎゃっ」「なんだっ!」「おわっ」


 荒野で野営中練習していた土魔法と水魔法のコンボ、通称『底無し沼』である。もちろん深さは魔力次第なので普通に底はある。

 だが、盗賊の前衛が泥に足を取られ転倒。後続が倒れた盗賊に足を引っ掛け、同じく転倒する。


 半数以上が引っ掛かった。それだけではなく、盗賊たち全体の進攻も止めることができた。


「え?」

 

 馬車の前方から指示していたおかしら(仮)も何が起こったか理解できないで呆然としている。

 ついでにカマロたちも唖然としていた。


「ほら、お前ら立て。そのままだと死んじまうぞ」


 俺は泥まみれでもがいている盗賊たちに声を掛ける。泥だから怪我もないだろう。というか、ムサイおっさんたちの泥んこレスリングなんて誰得だって話だ。


 俺に言われたからでもないだろうが、転んだ盗賊たちが急いで立ち上がろうとしていた。


「お、おめえら! 何してやがる! さっさと殺せ!」


「……からの~『石化』!」


「うおっ! 足が抜けねえ!」「かしら! たすけてくれ!」「出れねえ!」


 おかしらの再号令があったものの、残念、泥沼はトラップでした。あ、『硬化』させたけど、御存知の通り硬度には限界がある。成人男性がちょっと頑張れば抜け出せるだろう。

 しかし、そこには必ずタイムラグがある。


 今自由に動けるのは10人ちょっと。まずこいつらを倒してから、後は抜け出してきた奴らを順に始末していけばいい。たぶん5人でも足りると思う。いや、元々新さん一人でも大丈夫な気はするんだが……


「新さん、ちょっと気になることがあるんで、行ってくるよ」


「うむ。後は任せられよ! 参る!」


 新さんは山へ首刈りに、俺は……って違うわ! 俺が山に用があるんだ。

 新さんが残りの盗賊たちを片っ端から切りまくっているのに紛れ、俺は気配を『隠蔽』したのだった。

 これ、『気配遮断』とか新しいスキルにならんかね?


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