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相棒はご先祖サマ!?  作者: 樹洞歌
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第31話 新さんはすごいね


 アマンダさんから護衛の依頼があった。済し崩しに受けることになる。気になるのは周りとの温度差だ。俺、一人ぼっち? カルチャーショック。『文化が違う~』とボケる余裕があれば……



「ケント殿? 如何なされた?」


 カマロの元パーティーが残した装備品の整理中、俺の様子がおかしいことに気付いた新さんが話しかけてきた。


「何やら不安げな様子、悩みがあれば言うてくだされ。及ばずながらお力になり申す」


「新さん。新さんはすごいね。もうすっかりこの世界に慣れてる感じがするよ」


「何を申される。ケント殿こそ何でも御存知ではござらぬか。某など右も左もわからぬ田舎者と同じでござる」


「そんなことないよ。俺なんて口先だけで、実際どうしたらいいかわからないんだ。ホントはここからも逃げ出したいし、でもどこに逃げてたらいいかもわからないし、でも帰りたいし、爺さんの言ってることがホントかどうかもわかんないし……」


「ケント殿! しっかりするでござる!」


 はっ……気持ちを言葉にしたら、わけがわからなくなっていた。


 今のでカマロたちも様子がおかしいことに気付いたようで、手を止めてこちらを見ている。


「ケント殿。ケント殿も言っていたではないか、まずは生き残ることだと。それ以外のことなど悩む必要はござらんではないか」


 そうだった。いや、忘れていたわけじゃないけど、どこかで『かっこよく生きよう』とか思ってたんだろな。そのことが悪いんじゃなくて、優先順位を間違えたのが悪かったんだと思う。


 は~。俺情けない。新さんやっぱり男前。


「新さん。ありがとう。もう大丈夫。みんな、悪かった。ちょっと故郷と違うから戸惑っちゃって、軽いホームシックみたいだ。もう大丈夫。さあ、作業続けようか!」


 カマロたちもそれで事情を察してくれたようで、何も言わず作業に戻ってくれた。

 ありがたい。

 新さんには特に感謝だな。


 気持ちを入れ替えて、もらえるものはもらうことにする。

 変わり身が早い? どうせ俺のことだから、またつまらないことで悩むだろうし、反省した直後ぐらいは形で示さないと。


 で、割り切って受け取った装備は、


 テント一張り(支柱と防水布)、毛布×4、簡易調理セット、武器色々(剣、槍、弓など)、革鎧セット×4、服上下(カマロの部屋にも置いてあるようで、たくさん)、フード付きマント×4、フード付きローブ×2、革のブーツ×4


 などである。

 当然現金、装飾品、魔石などは含まれない。


 ブーツに関しては、盗賊の持ち物と違って、更に知り合い枠なので生理的ハードルがかなり下がる。衛生面も『クリーン』魔法でクリア。後は単純にサイズや履き心地の問題で、いつかは『錬金術』で解決できると思う。


 あと、冒険者としてだけではなく、生活に欠かせないのが、『下着』である(靴下含む)。

 これだけは中古は断固拒否したい。心理的に。

 新品を買おう。オーダーメードも辞さない。もし心が折れるほど高価だったら、一つ考えていることがある。

 それは、『フンドシ』だ!

 せっかく新さんという男前がいるのだ。俺が真似してもダメージは無いはず。


 それに、新さんが語ってくれたのが『さらし』の利便性。

 2尺(60㎝)あれば手ぬぐい、6尺(180cm)あればフンドシ、たすき、マフラー、頭巾(忍者みたいな)になる。10尺(3m)以上あれば帯になるし、更に長くても腹巻(時代劇のヤクザがしてた)とフンドシを兼ねてもいい。

 包帯にだってなるだろうし、いくらでも応用が利く、正に万能衣類だ。


 実際新さんが異世界服に日本刀を差すために服の上から帯状の布を巻いている。新さんがやるとおしゃれに見えるから不思議だ。

 現代日本なら人の目が怖くてできないし、そもそも思いつかない。


 だが、この世界なら、外国人ファッションで済むに違いない。よし、積極的に取り入れよう。そして広めよう、戦国ファッション!


 閑話休題っと。


 そんなこんなで遺品整理も終わった。

 明日出発するまで倉庫に置いておいて構わないと言われたが、断って全て『亜空間倉庫』に収納した。


 するとどよめきが起こった。

 襲撃事件のときはカマロのおっさん以外の3人は瀕死だったので俺のスキルを具体的には知らなかったらしい。

 幸いそれ以上は何も言ってこなかった。詮索されるのは論外だし、荷運びに利用されるのは、状況次第かな? ポジティブ思考でいたいとは思うけど、俺は俺。本質はそう変わるものではない。距離感は大事だ。


 何事も無く倉庫を出る。

 するとアマンダさんがやってきて夕食を誘ってきた。


 え? もうそんな時間?

 聞けば、もうすぐ夕方の鐘(18時)の時間だそうだ。


 せっかくだが断った。甘えすぎはよくないと、今度は新さんも同意見のようだ。

 それに、『黄金の猛牛亭』の料理、勿論メニュー自体は色々あるんだろうけど、朝昼晩コンプしたい。


 ハーベスト商会を出て、街を6人で連れ立って歩く。

 屋台を冷やかしながらカマロたちと他愛も無い話をする。俺にとっては屋台料理の値段一つ取っても重要な情報収集である。


 途中鐘の音が聞こえてきた。宿に着く頃には大分暗くなっていた。


 宿の食堂は結構込んでいる。テーブルが空くまで、俺は女将さんに明日の分の宿泊のキャンセル手続きをお願いすることに。


「ありゃー。そうかい。ま、アンタらはこれからもいいお客さんになりそうだからね。わかったよ、明日の朝出て行くときに返してやるよ」


「明日は鐘が鳴る前に出るんだが、構わないか?」


「宿屋なんだから起きてるさ。前ってどれぐらい早く起きるつもりなんだい?」


「夜明けの鐘の時間にハーベスト商会集合に間に合えばいい」


「なんだ、そんなもんかい。大丈夫。あたしが起こしてやるよ。カマロたちもそうなんだろ?」


「ああ」


「じゃ、まとめて起こしてやるさ。朝食はどうすんだい?」


「できれば食っていきたい」


「あいよ、任せておきな」


「頼む」


 キャンセルとモーニングコールの手続きが終わると、ようやく席に座れた。

 お任せで頼んだのは、朝スープ、昼ポトフときて、シチューだった。但し、ビーフシチューっぽいのが豪華な感じ。値段も大銅貨8枚と結構な額。

 異性界物のイメージと裏通りという立地からの偏見だろうか? まあ、塩スープから魔物ステーキセットまで幅広いメニューの一つだと思えば誤差の範囲だろう。


 異世界に来て一番美味しい料理でした。

 ごちそうさまでした。


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