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相棒はご先祖サマ!?  作者: 樹洞歌
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第29話 練習してたんですか?

 新さんが中世冒険者風スタイルになった! チョンマゲもガテン風に包み隠し、もはやサムライらしさは腰の日本刀と『ござる』だけ。だが、それがいい! いけてるから大丈夫!




 衛兵詰め所本部に来た俺たちは、受付的なところで呼び出し状を見せて中に案内された。ちなみに受付は女性ではなかった。営利団体じゃないからな~。


 連れて行かれた会議室のような部屋、既に関係者が集まっている。生き残った従業員たちやカマロの仲間も治療を終えたのか元気そうだ。


「ケントさん、シンノスケさん。またお会いできて嬉しいですわ」


 声を掛けてきたのはアマンダさん。

 カマロのおっさんも、朝から一緒にいたのだろう、手を上げて挨拶してきたのでこちらも手を上げ返す。


「ケントさん、シンノスケさん。ご紹介しますわ、うちの主人です」


 アマンダさんがそう言って一人の男のもとに俺たちを誘導した。


「はじめまして。ハーベスト商会のムングルトと申します。うちの家内と従業員を助けてくれたそうで、本当にありがとうございます」


 椅子から立ち上がって挨拶をしてきたハーベストの会長さんだったが、見るからに具合が悪そうだ。見掛けは老人のように痩せ細っていた。


「あなた、座らせていただきましょう。ケントさん、シンノスケさん、ごめんなさい。主人は最近体調が思わしくなくて……」


 もちろん了承した。

 話によると、アマンダさんが商隊を率いていたのもムングルトさんの病気が原因なんだそうだ。確かに、アマンダさん自身は『女傑』とか『やり手の女社長』というイメージは無かったからな。


「関係者も集まったことだし、そろそろ話を聞かせてもらえるかな?」


 話を切り出してきたのは、衛兵の偉そうな人。南門の隊長さん(仮)とは別のゴツイ人だ。

 こうして集団取調べが始まった。


 アマンダさんとカマロのおっさんが中心となり、盗賊の襲撃までを細かく説明していく。その他の被害者もどんな風に抵抗し倒されたのかを身振り手振りで語っていた。

 それを書記官みたいな人が記録。

 偶に隊長さん(新)が質問を投げかける。


 こんな感じだった。

 最後の方にやっと俺たちに質問が来る。

 戦闘に関しては新さんが『剣術家の指導』的な説明をしていた。

 俺? 俺はなるべく『奇襲』『相手の油断』をプッシュしたよ。


 最後に聞かれた。


「なぜ頭目を殺さなかった?」


 答えにくい質問を……


「特に理由は……すでに制圧が完了していましたし、一人ぐらい生き証人を連れて行く余裕はあるんじゃないかと」


「生き証人か」


「はい。『死人に口なし』とか疑われるのもイヤですから」


「わかった。お前さんは間違ってない。俺たちの仕事的にも助かる。だがな、忠告しとくぜ。今度からは殺しておけ。その方が身のためだ」


「え? 連れてきたら拙かったですか?」


「そうじゃねえ。殺そうが殺すまいが疑われる時は疑われる。だが、下手に生かしておくと、厄介なのが絡んでくることもある。知りたくもねえ情報を聞かされるコトだってある。この場合、お前さんが頭目から何か秘密を聞き出したんじゃないかと勘繰られることだってあるんだぜ」


 知りたくも無い情報……そういえばお頭が『バックに貴族が』とか言ってた。

 げっ、聞いてしまったよ?

 よし。そのことについては素で報告を忘れていたから、今後も聞いてないことにしよう。


「はあ……いや、そこまで行くと、もうどっちでもいんじゃないかなと……」


「まあ、いい。とにかくお前たち二人は盗賊から領民を守ったのだ。感謝する。後日報奨金が出るので連絡があったら受け取りに来い。以上だ」


 それで俺たちへの取調べは終わった。後は調書にサインするだけ。

 しかし、報奨金か~。いくらかな? 懸賞金とは違うのかね?


 その後、調書の準備ができるまで、雑談的なものになり、昨日南門に連絡が行った後衛兵さんたちが事件現場まで出向いて現場検証と死体の処理を行った、という話を聞いた。

 あと、詳細は聞けなかったが、近く盗賊の一斉検挙が行われるらしい。たぶん頭目から色々情報を入手したのだろう。


 サインをした後、俺たちは解放された。

 ふわー! 予定消化! 肩の荷が下りたってこういうことなんだろうな。


「ケントさん、シンノスケさん、この後ウチに来ていただけませんか?」


 帰ろうとするとアマンダさんから申し出があった。


「何の用でしょうか?」


「お礼がしたいのです」


 俺は新さんの顔を見た。横に振っている。


「いえ、盗賊の装備品も譲っていただきましたし、入場税も立て替えていただきました。もらいすぎです。入場税についてはお返ししたいところなんですが」


「とんでもありません。受け取っていただかないとこちらが困ります」


 商人とか金持ちには一定のプライドがあるのだろう。新さんなら理解しているはず。俺は受験生でよくわからんが、ラノベで知っている。


「わかりました。ありがたく受け取っておきます。ですが、これ以上はこちらも困ります」


 貧乏人には貧乏人のプライドがある、ってところか?


「わかりました。これ以上は言いません。ですが、実は、改めてご相談があるのです」


「相談?」


 新さんを再度見る。一人では決められないよ。


「ケント殿。話だけは聞くべきでござろう」


「ああ、ありがとうございます! 馬車を用意してありますので、どうぞこちらに」


 気が変わらぬうちにと思ったのか、アマンダさんは衛兵本部の駐車場まで俺たちに付きっ切りだった。旦那さんの方は従業員に支えられてよろよろ付いて来ている。


 馬車の中にはアマンダさん夫婦と俺たちの4人。

 ガラゴロ街中を進んでいく。


 程なくハーベスト商会やらに到着した。北の大通り、一等地だ。結構デカイ商会かも。


 応接室に通される。旦那は無理が祟ってダウン、予定通りアマンダ夫人が対応するそうだ。

 そして何故かカマロの姿もある。仲間の冒険者3人も。


 ソファー? 長椅子? に座らされ、紅茶らしきものが出され、それを一口飲んだところで話が切り出された。


「昨日は危ないところを助けていただき本当にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。正式な自己紹介もまだでしたね。昨日はバタバタしておりましたので。ハーベスト商会ムングルトの妻、アマンダでございます」


「あ、はい。ケントと申します」


「某、新之助と申す」


 自己紹介も終わったところで本題に入ってもらった。


「実は、護衛を引き受けていただきたいのです」


「はあ……」


「俺からも頼む。臨時のパーティーを組んで、この仕事を引き受けてくれ」


 カマロのおっさんからも頼まれてしまった。

 何でも、荷物自体は無事だったのでそれを期限までに届ければ商売的には信用を失わずに済むとのこと。

 カマロもリベンジしたいのだという。気持ち的に。


「俺たちがやられたせいで死人まで出してしまった。本来なら責められて当然のところなんだが、けじめは付けたくてな」


「いえ、カマロさんのおかげで私は生き延びることができました。あそこでケントさんたちに出会ったのもカマロさんが必死に私を逃がそうとしてくれたおかげです。それを責めるだなんてとんでもありません」


「す、すまねえ、アマンダさん……」


 何か二人で盛り上がってます。練習してたんですか?


「うむ! 感じいったぞ、お二方! 互いが互いを認め合う。これぞ正しく忠義の姿! ケント殿! この依頼とやら、お引き受けしようぞ!」


 うわ、ウチの熱血漢のツボに入ったらしい。

 まあ、しょうがないか……

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