第27話 野菜マシマシで、金に糸目はつけない!
ついに評価とブクマが!
ありがとうございます!!
ギルド登録の後はお楽しみの『買い取り』。なんと、盗賊の装備品がエライ高額に! 流石は冒険者。一攫千金も夢じゃない?
新さんがいいこと言うから感動的な空気になってしまった。
だが、俺の腹の虫がそんな空気は打ち壊せとうるさい。
だから、あえて空気は読むまい。
「あー、女将さん、すまないが宿泊の手続きを頼む。一人部屋を二つ、とりあえず三泊で。それから、今何か食べれるものはないか?」
「おっと、すまないねえ。一人部屋かい? 二人部屋なら銀貨6枚でかなりお得だよ?」
「いや、この三日はゆっくり休みたいから一人部屋で頼む。その後はまた相談する」
「あいよ。お客が言うんなら構わないさ。一人部屋は朝食付きで銀貨4枚。二人で三日なら銀貨24枚だね」
一泊朝食付き銀貨4枚。4000円か? 日本のビジネスホテルぐらい? 泊まったことないけど妥当? 他の宿、他の領地、近隣の国の物価を知らないと比較できん。ウサギ2匹分と考えると安いのかも。
「新さん、お願い」
「うむ。女将、これで頼む」
「あいよ。じゃあ、銀貨6枚のお返しね。それで食事なんだけど、もうすぐ3時の鐘が鳴るよ? こんな時間じゃ碌な料理を出せないよ。パンだけなら残ってるはずだし、あとは精々野菜のスープかね?」
「野菜! それで頼む! 野菜マシマシで、金に糸目はつけない!」
「うむ。某も菜っ葉を所望いたす」
「あははは。大袈裟だねえ。腹一杯食ったって銀貨1枚にもならないさ。ま、そんなにお腹をすかせてんなら話は別さね。待っといで、今ダンナに作らせるから」
女将さんが厨房らしき部屋に入り、俺たちは少し落ち着いたカマロのおっさんに案内されて食堂のテーブルに座る。
料理が出てくるまでカマロの話を聞くことにした。
今回の護衛で生き残った冒険者は『グリフォンと風』がカマロともう一人、『青い稲妻』も二人の計4人だった。
確定ではないが、治療院で見舞った時にこの4人で新しくパーティーを組んでもう一人か二人メンバーを探そうという話になったらしい。
剣士二人、弓士一人、魔法使い一人で中衛と盾役が足りないがまあまあの組み合わせだとか。
それで俺たちが誘われたわけだが、新さんはバリバリの剣士だし、俺も思いっきり魔法職なんだよ?
思いがけず軍資金も手に入ったし、身分証も手に入れた。正直旅の装備が準備できたらすぐにでも出発してもいいと思う。
なので、新さんとも相談した結果、しばらくの間(日本人らしいい曖昧さ)偶に助っ人としてならパーティーに参加してもいい、という条件を出した。
カマロのおっさんはそれでも喜んでいた。
早速治療院にいるメンバー(仮)に報告するんだと宿を飛び出していった。
入れ替わるように女将さんが料理を運んできてくれた。
「おお! 何日ぶりか……」
「うむ。武士として情けなきことながら、感激でござる」
「やだよ、この人たちは。ただの野菜スープとパンじゃないか」
「いやいや。ありがたいです。じゃあ、いただきます!」
「うむ。感謝でござる。では馳走になる!」
俺たちは勢いよく野菜スープを平らげた。もう、出汁がどうとか、野菜の旨みがどうとか、何も考えられない。
「お代わり!」
「某ももう一杯所望!」
「呆れたねえ、そんなに腹を空かせてたのかい? はいはい。すぐ持ってくるからね」
結局、二人とも黒パン1個と3杯のスープを平らげた。バカの三杯汁? この極限状態にお上品なことは言ってられないんだよ? ああ、パンはお約束の黒くて固いヤツ。
お代は合わせて銀貨1枚でいいとのこと。
ご馳走様でした。
その後は眠気が襲ってきた。
女将さんに部屋で休むことを告げる。夕食は要らない、朝まで寝かせてほしいと頼む。起こすのは明日の朝、ギリギリ朝食の時間が終わる前にしてもらう。
宿の仕事も一段落した頃になるからと、快く引き受けてもらった。
鍵をもらい早速部屋へ。三階の1号と2号室。トイレの場所だけ確認して解散。それぞれの部屋に入る。
生活魔法『クリーン』を身体だけでなく、部屋中に掛けて、ベッドにダイブ。速攻撃沈。
おやすみなさい。
異世界生活4日目。
女将さんに起こされた。
「痛っ!」
全身これ筋肉痛の塊。特に足がヤバイ。ここ三日間はハードだったからな。宿に泊まって緊張が一気に緩んだんだろう。
特に俺は戦国時代の人たちと違って運動不足な現代人。しかも、チートなレベル上げも新さんは元の4倍なのに対して、俺は6倍以上なので、急激なレベルアップに身体が慣れなかったんじゃないかと推測する。
部屋の外に出ると新さんも出るところだった。新さんにも『クリーン』は教えたから身支度は簡単だ。流石に宿では笠は被っていない。チョンマゲと月代(さかやき、っていうんだって、真ん中の剃ってる部分)が目立つがしょうがない。帽子装備も考えよう。う~む。着物と激しく似合わん。
「おはようでござる」
「おはよう、新さん。調子はどう?」
「流石に疲れが出たでござる。動けぬほどではござらぬが、ケント殿は辛そうでござるな」
「あはははは」
笑うしかない。今の俺は正に生まれたての子馬だ。
何とかトイレまで辿り着きお勤めを果たす。
そして食堂へ。
「待ってたよ。早く食べておくれ。やだよ、アンタ、大丈夫かい?」
「あははは。大丈夫、大丈夫」
女将さんにも心配された。
まずメシにしよう。
宿泊用サービスメニューは、なんだか昨日食べたものと似ている。黒パンとスープ。スープはちゃんと肉が入っているとのコト。何の肉かはあえて聞かなかった。
食べながらこれからのことを相談する。主に装備関係について。
ラノベ知識を持っている俺が主導させてもらった。新さん曰く『借り物の知識でも、役に立てばOK』だそうだ。
必要以上に目立たないために服装はこちらの世界のものに替える。できれば新さんの武器も。
これには別の理由もあって、日本に帰るときに日本の服がなかったらマズイことになると思うからだ。
現代日本より戦国時代のほうが誤解が大きくなるのではないかと言ったら、『さもありなん』とか何か想像しちゃったみたい。ま、所詮は服だから、見た目だけ似ている和服っぽいのを自作してもいいんだけどね?
後はブーツか。錬金術で作れるか試したいところだけど、今日明日では無理そう。しばらく使えそうな安物でいいから服と一緒に購入することに決定。
で、あとは新さんのヘアスタイル。
きっと武士の矜持とかもあるんだろうな~。
「某に髪を切れと? ザンギリにでござるか? しかしそれでは某が国に戻った折、非人と見間違われることになり申す」
あー。あの時代って髪型で身分を現してるところがあるからな。単にプライドだけの問題じゃないね。
「じゃあさ、昔のサムライがやってたみたいに、サカヤキ? は剃らないで、全部伸ばして後ろで『馬の尻尾』みたいに結ぶのはどう?」
何が昔のサムライか自分でもわからないが『ポニーテール』を提案してみた。
「なるほど。総髪でござるか。主家無き身と見られるのは業腹でござるが、改めて月代を剃り落とすのに造作もなきこと。なるほど良い考えでござる。いや、ケント殿は我ら武家についても博識でござるな」
褒められたが、漫画やテレビに出てきただけだよ。新さんの中で俺の評価はどうなってるんだろ?
期待に押し潰されそう。死ぬる。
「ここにケントとシンノスケという者は泊まっているか!」
密かに身悶えしそうになっていると、宿の入り口から、そんな声が聞こえてきた。
えー? また何かイベントが起きるの?
【作者からのお願い】
「面白かった」「続きが読みたい」と思われた方は下記にある【☆☆☆☆☆】で評価していただけますと、執筆の励みになります。




