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相棒はご先祖サマ!?  作者: 樹洞歌
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第19話 またまた魔法の実験と検証

 来たくて来たわけじゃない異世界。帰れる希望が出てきて、更にチートでスキルを覚えた。浮かれていたことは否めない。そのあとゴブリンたちの要請を断り、さらに殺生をこの手で行った。虫を殺すのとはわけが違う。同じ生き物なのに。



 異世界での二日目の夜も俺が先に眠らせてもらった。身体より心が疲れていたので甘えさせてもらった。もちろん、交代の時間にはしっかりと起こしてくれと念を押して。


 やはり疲れていたのか、横になり目を閉じるとあっという間に眠りに落ちた。今度は爺さんに呼ばれることなく交代時間になった。起こされるとまるで時間か経っていないかのように思えるほど熟睡したらしい。

 新さんも交代するとすぐに眠ってしまった。今日は、色々心配をかけたからな。ゆっくりと休んでほしい。


 見張り番中、またまた魔法の実験と検証を行うことに。

 それしかすることがないし、何もしないで起きてると、ついゴブリンたちやウサギのことなんかを考えてしまうからだ。


 派手な攻撃魔法はまたの機会にする。俺はどっちかっていうと便利魔法のほうが好きだ。『生活魔法』とか『アイテムボックス』とか。あと便利そうなのが『転移』。極めたら『異世界転移』もできるかもしれない。爺さんからの情報だと結局コスト次第なんだが。まあ、研究のし甲斐はある。地道にやろう。


 まずは『亜空間倉庫』の改良でもするか。いま倉庫全体が『時間遅延10倍』になっているが、

 これを三つのブロックに分け、『通常時間』と『時間加速』を加えたい。保存の目的だけでなく、今後も実験を繰り返すだろうから色々な条件があるのが好ましい。


 あと、夕食に食べたウサギだが、食べてからあるラノベ知識を思い出した。血抜きまでは新さんも行ってたが、熟成はしなかった。何でも殺してからすぐに食べると固くて不味いそうだ。実感できた。これは、グルメ物ではなく刑事物の範囲かもしれないが、死後硬直が原因らしい。


 今回のように狩りをして仕留めた獲物をすぐに食べなければいけない時もあるかもしれない。そんな時、時間を加速できたらどんなに便利か。

 また、この世界に味噌、醤油がなかったとしたら、やはり自作するしかない。非常に幸いなことに新さんが味噌を持っていた。なるべく使わずに保存して、いつか麹菌を培養できるようにしたい。その時も発酵速度を自由に操れたら研究が捗るというものだ。


 では、『亜空間倉庫』の改装。やっぱり保存が主目的だから、8:1:1にしておこうか。今100㎥あるから……


『報告:現在『亜空間倉庫Ⅰ』は110㎥になっています』


 ナビさんから突然の連絡。え? 110? 通報ですか? いえ、なんでもないです。

 それにしてもナビさん、今頃報告ですか?


『回答:ステータス変動後、即時報告に設定を変更しますか?』


 あー、どうだろ? ゲームっぽいな。忙しい時なんかは逆にウザそう。

 やっぱりこのままでお願いします。


『回答:了解しました』


 じゃあ、改めて区分けするか。8、1、1に分かれろ! 精神集中! 

 どうだ! ナビさん、成功した?


『回答:肯定します』


 よし。じゃあ次は『付与』だ。1のブロック二つの『時間遅延』を取り消して、一つに『時間加速』を付与する。それっ! 精神集中! 

 ナビさん、結果は?


『回答:成功しました』


 よし、順調だ。これも『無属性魔法Ⅹ』のおかげなんだよな。許可してくれた神爺さんには感謝だぜ。

 あとは……ナビさん、名前の登録しておいて。普段使う『時間遅延』のを『倉庫』、通常時間のを『倉庫A』、『時間加速』が『倉庫B』で。よろしく。


『回答:了解しました。これより「亜空間倉庫」の区分を「倉庫(時間遅延)」・「倉庫A(通常時間)」・「倉庫B(時間加速)」と呼称します』


 これで色々実験できる。

 ところで『時間加速』は何倍?


『回答:10倍です』


 ふ~ん? 『時間遅延』と同じままか。確か『付与魔法』はレベルⅡになってたよね。関係なかったのかな? それとも精神集中が足りなかったのか。

 まあ、今すぐ問題があるわけじゃなし、気長に検証していこう。新さんもまだ『空間魔法』習得していないみたいだし。


 次は何の実験をしようかな?



 検証をしているうちに夜が明けた。


 それまで行った検証内容は、


 この世界の時間をナビさんに24時間制で表示してもらうこと。カレンダーも。ちなみに今日は精霊暦1018年5月32日。え? 32日? まあ、これは後で。

 マップ索敵範囲内での魔法の遠隔制御。特に地面を底無し沼化させ、タイミングを見計らって瞬時に固める正にハメ技の特訓。

 大気中の気体の分離。酸素、窒素、二酸化炭素。からの~液体酸素、液体窒素、ドライアイス精製。これは凶悪な武器になる。


 それから、時間が足りなかったので本当に検証だけに終わったが、神界でスキルを取得する際、思いつかなかったものや、ポイント不足で断念したスキルを、何とか自力で取れないかを試してみた。ちょうど新さんが『空間魔法』を取ろうとしてるようにだ。理論上は取れるはず。

 ただ、取り方がわからん。


 取りたいのは『結界魔法』と『治癒魔法』。

 結界魔法は無属性魔法で同じことができるとは思うが、コスパがどうか心配だ。相手の攻撃と同じエネルギーをぶつければ相殺できるのは道理だが、非効率だと思う。まあ、使い続けていれば自然に効率的な使い方を覚えるかもしれないし、そうなったらスキルが生えてくるだろう。


 で、治癒魔法なんだが、光魔法か水魔法で代用できないものか? ゲームやラノベ的にはそういう作品も多数あったはず。やればできる、の精神で検証を続けよう。

 そもそも、神界では特に思いつかなかったし、爺さんに質問もしなかった。たぶん、『神聖魔法』とか、神に祈りを捧げる、なんていうシステムを無意識に避けていたのではないかと今になって思う。


 さて、新さんにはもうちょい寝ててもらって、俺は朝飯の準備をしよう。

 といっても夕べの残りを暖め直すだけ。ウサギよ、昨日はあまり喉を通らなかったけど、もう大丈夫。美味しく食べてやるからな。


 竈に火を入れ、スープを温める。うん、味噌の香りが食欲を擽る。


 これで栄養をつけて、今日こそ街に辿り着くぞ! 


「新さん! おはよう! 今日も異世界はいい天気だぞ!」

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