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口裂け女はかくありき

ここに一つの殺人機械がある。


名を「口裂け女」と言う。



機械と言っても別に歯車で作られているわけではない。


燃料で動くわけではない。


彼女の身体は町の人々の噂と霊脈と魔力と言霊で作られている。


特定のコミュニティ内で彼女の噂が一定回数語られる事により町に自動的に彼女の身体が発生するのだ。


人気の少ない薄暗い路地に1人の人間が通りかかった時のみ具現化するのだ。




彼女は極めて機械的な行動基準を持っている。


まず対象の人間に話しかける。


対象が自分の姿を見た後に問いかけをする。



「わたし、きれい?」



その後の行動は幾つかに分岐するが最終的には対象を殺して立ち去ってしまう。


そんなとても単純な行動基準だ。



彼女という存在が生まれてから数十年。


彼女はこの基準を破ったことは無い。


破るようには出来ていない。


極めて機械的な存在。


それが殺人機械としての彼女の性質である。



彼女から問いかけを受けた者の反応は様々である。



ある者は「きれいだよ」と言った。


その者は口ごと頭を切り落とされた。



ある者は「きれいじゃないよ」と言った。


その者は口ごと頭を切り落とされた。



ある者は絶句し答える事が出来なかった。


その者は口ごと頭を切り落とされた。



ある者は命乞いをした。


ある者は彼女の行動の無益さを語り説得しようとした。


ある者は全裸になり彼女に対して性的行為を働こうとした。


ある者は自分だって過去に大怪我して醜い傷が残る酷い目にあったと主張した。



全て口ごと頭を切り落とされた。



問答の内容に意味は無いのだ。


どんな反応であろうとも最終的には相手を殺す。


それが彼女の存在意義であり存在理由。


自分を地獄へ運ぶベルトコンベアに対して幾ら言葉を投げかけようとも結果は変わりはしない。


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