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エッセイアラカルト

ゴキブリ人生相談

作者: 降井田むさし

こっちで勝手に考えたありきたりな悩みを、こっちで勝手に解決していきます。


普通にアドバイスをするのではなく、ゴキブリになりきって、ゴキブリ目線で答えていきます。


ゴキブリの行動と重ね合わせながら、答えを導き出すやり方で、人生相談に答えていきます。では、いきます。





悩み① 17歳・女性


「恋をしてしまったんですけど、告白がどうしても出来ません。どうすれば勇気が出ますか?」




僕は他のゴキブリに何度も恋をしました。


そして、見事にフラれました。


告白をした後の心は、とても晴々していました。


暗いところ好きで、そこに慣れてしまい、光のある場所に行くことに、僕は少しの躊躇がありました。


でも、一歩踏み出したことで、その後の景色はガラリと変わりました。



僕たちゴキブリは飛ぶことが出来るんですけど、忘れていつも飛んでいません。


飛べるのだから、飛んだらいいんですけど、地べたをササッと、颯爽と走り抜けてしまうのです。


僕も飛ぶことは出来ていませんが、出来ることをやらない手はありません。


逃げられたり叩かれたり、そんなことは、ゴキブリの世界では当たり前です。


だから、それを思い浮かべて怯えずに、前向きになって伝えてみましょう。


ゴキブリは居場所がない生き物です。


でも、人間には居場所がそれなりにあります。


僕はなんとなく隠れがちなゴキブリですが、隠れていても何も変わりません。


スリッパ苦手、スプレー怖い、などと思っていたときは、もっと暗かったです。


でも今は、ポジティブに考えて、楽になりました。


ゴキブリという名前には、濁ってしまう濁点が2個もあります。


悲鳴はかなり聞いてきて、もう聞き飽きました。


触角が気持ち悪いとよく言われます。


黒光りが、苦手だと言われたこともあります。


こんなゴキブリがいるのだから、愛を伝える勇気なんてちっぽけです。


フラれるダメージなんて、比べ物になりません。


失恋の悲しみよりも、告白できた達成感の方が強く残ることでしょう。



ゴキブリを嫌いという人が、ほとんどです。


苦手だから遭遇したくないという人ばかりです。


でも、ひとりは必ず、好きと言ってくれる人がいるのです。


世界にひとりくらい、そういう人はいるのです。


そのひとりに辿り着くまで、迷わず告白を続けばいいと思います。

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