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陽剛村  作者: 環流 虹向
22/22

仕事始め

そのTVでは、外国の男性が飲酒運転で捕まったが酒を飲んでいないと主張を続けているので、よくよく調べて見ると体内でアルコールを作ってしまっていたらしい。


酵母菌が体内に住み着くと、酒が人間で作れてしまうなんて面白い。


僕に近寄ってきた女性で、色々試して見ることにした。

まずはお手製の酵母菌サプリを定期的に飲ませて

僕の手作りご飯と外の食事処での違い。


やっぱり自分で作った方が効率よい気がする。


それからは効率よく体液を取るために

色々試行錯誤して、人間が快感を得た時に出る分泌液が一番美味しくて量が多い。


なるべく若い方が甘く淡い味わいが出ること、

快感が続いてるほど味の深みが増すことがわかったので、若い女性と男性を集めることにした。


集めている間は、僕のことを応援してくれる1人の子が頑張ってくれた。

男性は父上。

老いてはいるけど体は健康だから意外と出る。

申し訳ないけど上の世界では亡くなったことにした方が話が早いので、面倒だが葬式を挙げた。


始めて面白半分で買ってくれたあの大学生も、今は僕と一緒に御神酒を作ってくれている。

なぜかあの酒を飲み続けるとみんな夢心地で現実も見なくなる。

僕にとってそれは好都合だった。


最近では泊りがけでここの村に来てくれた若い人たちを修行と名前を変えて、

御神酒作りに手を貸してもらっている。


数年経ったら、この村で嫁いでもらうかなと流尽さんに伝えたら、協力してくれると言ってくれた。

流尽さんはこの村にずっと住み続けてきた住人だから、この限界集落化しているこの村を救いたいらしい。

流尽さんは、人がここに来やすいように民泊や送迎をしてくれた。

そして若い子だけに修行の勧誘をしてくれた。

流尽さんが動いてからは、人が集まりやすくなった。

本当にありがたい存在だ。


だから今この魅流神社はこうやって立っている。


そんな中、感のいい人がここに来た。

40代の男性。


この村に住んではいないが、面白い酒があると聞いてここに来たらしい。

何日も何日も見学したいと言ってきたので

もうこの人にも手伝ってもらおうと思って見せたら


「この人たちの知り合いへ連絡したか?」


と当然聞かれた。

していないと答えるとそんなんじゃすぐにここが怪しまれると言って、機械いじりを始めた。


するとどこかに何通かメールを送った。


「こういうことしないとすぐに怪し慣れて、逮捕されるぞ。」


と言われたが、僕は機械が弱いので、このヒデさんに手伝ってもらうことにした。

1日3食、寝床ありでこれをやってくれている。

なぜヒデさんがこのことを通報しなかったのかはわからないけど、きっとこの人にも居場所がなかったんだろうな。


みんなが自分の居場所を守るために、ここのことを黙認してくれて今が成り立っている。



「わかります…?」


僕は縛り付けられた金武さんに質問する。


「居場所を守るためだとしても、こんなこと許されない。」


「別に許す許さないっていう事じゃないです。この場を守るためにやってるだけです。」


「だからぁ…だぇ…」


「あ、アルコール作ってるんですか?優秀ですねー。これからに期待です!」


頬が赤くなる金武さん。

どんどん呂律が回らなくなってきて、視点もどこを見てるかわからなくなっていく。


「助けは来ないですよ。」


僕は金武さんの目線に合うように、携帯を見せる。

さっき金武さんがわざわざ送ってくれたメール。


「ヒデさんが、あなたのお仲間にデータを送ってくれたんです。楽しそうにご飯を食べてる行方不明になってるみんなと金武さんが写ってる写真。

一応1人1人いい笑顔の写真も送ったら金武さんのお仕事がなくなったので戻ってこいと言っていたのですが、ここで修行するって伝えておきました!」


「てふぇ…はなぁっ…」


「今日からよろしくお願いしますね!」


僕は金武さんとお酒を作る準備を始めた。

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