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陽剛村  作者: 環流 虹向
18/22

腹ごしらえ

「う…くっ…。」


意識を取り戻した私は椅子に縛り付けられていた。

罠にはまったのか。

刑事として情けない。


なぜか服が変えられている。

シーツのような大きい布で簡単に作られたもののようだった。


なんとか手か足か動かせないかと思い、動かしてみたがギチギチに縛られていてどうしようもなかった。


はあ…とため息をついて少し落ち込みながらどう脱出するか考えていると、かすかだが声が聞こえる。

少し高めの可愛いらしい声だった。

しかし、少し遠いところなのかなにを話しているのかわからない。


巫女の声は落ち着いた声だったのでこんな声を出せないはず。

だとしたら行方不明の人の誰かなのだろうか。


「おーい!助けてくれ!」


今出せる限りの声を出す。

しかし声は近づくことも止まることもなく、なにか話しているままだった。


しばらくすると扉が開く。

私は死を覚悟する。


「金武さんおはようございます。」


神主が食事を持って扉の前に立っていた。

またあのいつもの笑顔だ。


「おい、この縄を取ってくれ!」


「えーだめですよ。金武さん逃げちゃうでしょ?しかもまだ見学は終わってませんよ。」


縛り付けてまで見学させるってどういうことだ。


「先にこれを食べてください。」


と言って、粥とフルーツ盛りを膝の上に置かれる。


「あ、ごめんなさい。縛ってるから自分じゃ食べられませんよね。」


と言って、神主はしゃがみレンゲをとり粥をすくい、

フゥフゥと冷ます。


なぜこの状態で食事をしなければならないのだろう。

と考えていると神主はその粥を自分の口に入れて咀嚼し始めた。


どういう状況?と思わず顔をしかめる。


そして突然、神主は立ち上がり私の首を掴み咀嚼した粥を口から直接流し込んできた。


「んー!っっん!」


抵抗すると舌を入れて無理やり押し込んできた。

神主は慣れたように、口の中に粥を流し込むよう圧力をかけてくる。


私はそれに負けて、粥を飲み込んだ。


「うんうん!まずは腹ごしらえしないとですよね!」


と、爽やかな笑顔でまた粥を冷まし始める。


「なんでこんなことするんだ。」


「金武さんが見学したいって言ったんですよ?見学するには必要なんです。」


と話しながら粥を冷ます。


私はだいぶ危ないものに足を突っ込んでしまったのかもしれない。


しかし戻るに戻れなくなってしまった。


だれか、助けてくれ。

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