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コント【24歳、Wワーク女子のモーニングルーティーン】

作者: 摩耶

場所……姉の部屋(妹とルームシェア)

役……ツッコミ=姉 ボケ=妹(主にナレ)


姉「今日はどれを見ようかな……」


姉、スマートフォンを操作する


姉「あ、24歳、Wワーク女子のモーニングルーティーン。これにしよ」


姉、画面をタップする。


姉「あれ?この間取りってウチっぽい……って、ウチじゃない!

  【ネガティヴ1000円没収BOX】が映り込んでる!

  何?投稿してるの和子(かずこ)?」

 

姉、呆然と画面を見る。


姉「字幕がないって事はナレーション?」


姉、イヤホンマイクを取り付ける。


ナレ「午前8時、彼女の朝は気合から始まる」


姉「始まったけど、誰この声!彼氏?和子って枯れ専?」


妹、カメラに映り込む。


妹「は―っはっはっはっはっはっはっ!」


姉「これ……ハリセンボンマスク!しかもハリが1本も折れていない初期デザイン!

  20万出しても落とせなかった超レアマスク!」


ナレ「そう、彼女はある時は大学職員。またある時はマスクマン」


姉「極端なWワーク……全然気づかなかった。あぁ、被り方が雑!ハリが折れる!」


ナレ「午前8時10分。表の顔を守る行動を開始する。まずは歯磨きから」


姉「これは基本ね」


ナレ「しかし彼女はマスクマン。命よりも大事なマスクを歯磨き粉で汚すなぞ

   許されない所業である」


姉「そうそう。汚したら20万の価値が下がる」


ナレ「そんな事もあろうかと準備したのはマウスウォッシュ。

    欠かせないタッグパートナーである」


姉「無理やりプロレスに持って行かなくても」


ナレ「しかし彼女はマスクマン。歯磨き粉もマウスウォッシュも同義!」


姉「えっと?何固まってるの?まさか、そのまま飲んじゃう?」


妹「ブ―――――ッ!」


姉「毒霧!悪役(ヒール)なの!」


ナレ「全てを綺麗に吐き切るのは鍛錬が必要だ。

   今の彼女にとってハードルは高く失敗はつきものである」


姉「要は汚したって事ね」


ナレ「ぴえん」


姉「ナレが格好つけて言う台詞じゃない!」


ナレ「午前8時15分。ワークアウトを始める」


姉「いったい何するんだろ?小っちゃい時から運動からっきしだったけど」


ナレ「最近のトレンドはボクササイズ」


姉「ナックルパートって反則……そっか、5カウントまでなら反則負けにならないか」


ナレ「ここでいきなり前回り受け身!(どたぁん!どたぁん!)」


姉「近所迷惑!」


ナレ「場外で投げられた時も想定しなくては思わぬケガにつながる。基本は大切だ」


姉「世間の常識って言葉知ってる?」


ナレ「この時ほど1階にこだわってよかったと彼女は安心する」


姉「やたらを押してきたのはこのため?」


ナレ「午前8時30分。表のマスクを守る自身との戦いが始まる」


姉「マスクって言っちゃってるし」


ナレ「その1:まずはシャワーで汗を流す」


姉「早速、脱ぐじゃない?それだけはぜっったいにダメ!!」


ナレ「勿論、バスルームまで脱ぐつもりはない」


姉「その考えは立派だけど、プレミアもののマスクって防水加工されてないよね」


ナレ「そのための防水透過仕様のアンダーマスクは基本だ。

   本来は人様にお見せできるものではないが、9時半には家を出なければ遅刻は免れない」


姉「本当だ。あと1時間ないじゃない」


ナレ「故に、この姿で失礼してテンポアップを図る」


姉「アンダーマスクってそれ?まんま、銀行強盗なんだけど」


ナレ「午前8時40分。職員のコスチュームをまとう」


姉「普通のリクルートスーツでしょ?

  ハリセンボンマスクでもキツいのに銀行強盗なら公開処刑じゃない」


ナレ「しかし、彼女はマスクマン。

   羞恥に晒される覚悟なくしてマスクなぞ被らない」


姉「あ、さいですか……」


ナレ「午前8時50分、朝食に取りかかる。バナナ・シーザーサラダ・そして何よりもプロテイン」


姉「出た。朝からプロテイン」


ナレ「実はトーストよりもプロテインがダイエット効果や美容効果が見込め、

   美のキープにタンパク質は欠かせない」


姉「何気に意識高い事やってる!」


ナレ「しかし、食べるには下半分を脱がねばならない。

 下半分とはいえ、素顔を晒すのだけは避けなくてはならない!」


姉「律儀さが逆に残念だわ」


ナレ「苦渋の選択だが背中の映像でご勘弁いただこう」


姉「もうどこからツッコんだらいいのやら」


ナレ「午前9時10分。朝食の流れに乗ったまま表の仮面をかぶる」

  

姉「ややこしいからメイクと言いなさい」


ナレ「お見せしたいのは山々だが、マスクを脱ぐか脱がないかの違いのみで」

   さして特別な事はしていない」


姉「マスクをヘアバンド代わりにするだけで十分特別な事だと思うけど……

 あれ?……ちょっと……」


ナレ「午前9時20分。出勤直前に忘れてはならぬマスクの脱ぎ忘れ。

  慌てて出かけて恥をかいた事もあるが、それもマスクマンの誉れ」


姉「恥を誉れって言わないの!じゃなくて!」


ナレ「では、行ってきます。皆様にもいい事がありますように……」


姉「オーバーのハリセンボンマスク!20万何処にやったの!」

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