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心腐る

作者: あめふらし

 あるところに、一匹の動物がいました。

 彼は自分が何の動物なのかを知りませんでした。

 自分が何の動物なのか気になって、彼は他の動物たちに自分が何者なのか聞くことに決めます。

 最初に出会ったのはイヌでした。彼はイヌに尋ねました。


「僕は一体、何の動物なのだろう。教えてくれ、イヌさん」


 イヌは答えました。


「君が何の動物なのか分からないけど、イヌではないよ」


 イヌは続けます。


「君は頑張れない動物だから、イヌとは違う」


 彼はその言葉を聞いて自分がイヌではないという事が分かりました。

 彼は頑張ったと誇れるようなことが何もなかったのです。

 次に彼はネコに会いました。彼はネコに尋ねました。


「僕は一体、何の動物なのだろう。教えてくれ、ネコさん」


 ネコは答えました。


「お前はきっとダメな動物だ。必ずネコじゃない」


 ネコは続けます。


「お前は自分を好きじゃないから、ネコじゃないんだ」


 彼はその言葉を聞いて自分がネコではないということが分かりました。

 彼は自分のことを好きじゃなかったのでした。どちらかというと、嫌いでした。

 次に彼はトリに会いました。彼はトリに尋ねました。


「僕は一体、何の動物なのだろう。教えてくれ、トリさん」


 トリは答えました。。


「あなたは素敵な動物よ、でもトリじゃないわ」


 トリは続ます。


「あなたはいつも楽しくなさそうだもの、トリならもっと楽しそうよ」


 彼はその言葉を聞いて自分がトリではないということが分かりました。

 彼は自分が楽しくなさそうに生きていることを実感していました。

 楽しいこともあるけれど、楽しくないこともたくさんありました。

 彼は最後に、何でも知っているというキツネに会いに行きました。

 彼はキツネに尋ねました。


「僕は一体、何の動物なのだろう。教えてくれ、キツネさん」


 キツネは答えました。


「君はヒトだよ。頑張れなくて、自分が好きじゃなくて、楽しく生きていない動物は、ヒトしかいない」


 その言葉にヒトは自分がヒトだったということを思い出しました。

 

「君は自分が何者なのか知れて良かったかい?」


 キツネは尋ねます。

 ヒトは何も答えられませんでした。

 でも本当はヒトということを思い出したくなかったのです。


「そうか、君も自分を認められないか」


 キツネがぽつりと呟きます。


「でも安心して、ここなら何の動物にもなれる。君の憧れを言ってごらん?」


 そしてヒトは……。


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