魔王のすくーるらいふ
『君、留年ね。』
「…へ?」
これは、勇者が魔王を倒したその100年後の物語である。
むかしむかし、あるところにゆうしゃがいました。
ゆうしゃはまおうさまをたおし、おひめさまをすくいだしました。
そしてゆうしゃは、おひめさまとおたのしみのよるをすごしました。
しかし、おひめさまにはのろいがかかっていたのです。
ゆうしゃにのろいがうつってしまい、ゆうしゃは、はんしょくのうりょくをうしなってしまいました。
こうして、しんせいなゆうしゃのいちぞくはとだえてしまったのです。
私が昔よく読んでもらった絵本である
何の呪いだったかって?
言うまでもなくまい…エイ(自重)
勇者が呪いにかかってから10年後、倒された魔王の母細胞から再生し、
今現在までに壮絶な繁殖をみせた。
それは魔王を一人見つけたら60人いると思えと言われるほどである。
そんな魔王界につい最近、義務教育が導入された。
なんでも優秀な人材を育成し、真面目で強く上品な魔王になってほしいらしい
「馬鹿じゃねえの?」
『あ?』
「いえ、なんでもありません」
え?私が何をしているかだって?
愚問だな…この怖そうな教師、先ほどから飛び交う恐怖の二文字…
そう、私は今…【留年の危機】なのである。
『おい、聞いてんのか?』
「え、あ、はい!」
『お前こんままじゃ単位が足りねぇぞ?』
「お言葉ですが…」
「私に単位はないのかもしれません」
「しかし、私には秀でた長所があります」
『ほう…その長所とは…?』
「私には、生き物を愛する気持ちがあります!」
『…は?』
「へ?」
『お前魔王がどんな仕事かわかってる?』
「いえ?」
『お前なんで単位落としてるか分かってる?』
「まったくもって落とされる理由に心当たりがないです」
『……』
『留年決定n…』
「ちょっ!」
「ちょっと待ってください!」
『なんだよ』
「結果、結果をだせばいいんでしょ?」
『おう…』
「いいでしょう…出しますよ結果、出して見せましょうよ」
『それならいいんだけど出せんのか…?結果』
「私を誰だと思ってるんです?なめてもらっちゃ困りますよ」
『……』
「なんせ私はLDKなんですから」
『…それを言うならYDKだろ?』
「そうとも言う」
「とにかく結果を出せばいいんでしょ?」
『おう』
「やったりますよ!」
~一週間後~
「せんせー」
『お、なんだ、やればできるじゃないか』
「なんせYDKですから」
『で、何をやってきたんだ?』
「ふっふっふ…見て驚かないでくださいよ?」
『ん?…見る?』
「じゃじゃーん」
『……』
『これは…?』
「え?アリの巣ですが?」
『お前は何をやっているんだ?』
「アリの観察ですが?」
『……』
『君、留年ね。』
「…へ?」
こうして、私は楽しいスクールライフを繰り返すのである。