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プロローグ

ある日、届いた黒い一通の手紙。

何の躊躇もなく、宛先のないその手紙を開いた。

俺はこの手紙で、後々後悔することになる。

手紙にはこう、綴られていた。



高木 彩斗(たかぎ あやと)様へ


あなたは1000人に選ばれた1人です

世界の命運をかけて戦ってください

来る、来ないは自由です

明日、緑市中央公園にPM5時に来てください

来なかった場合、欠場とみなします

欠場する、しないは自由ですが、世界の命運がかかっていることをお忘れなく



は?

第一感想がこれだ。

極普通の人なら当たり前の反応である。

いかにも怪しげな、そして非現実的なことをいきなり突きつけられても、悪いイタズラだとしか思うことができない。

世界のために戦え?

こんなアニメや漫画の世界みたいなことを書く年頃といったら、やっぱり小学生だろうか。

しかし小学生にしては文章が大人びすぎている。

パソコンで印刷ってことも小学生にとっては難しい。

中学生か?

いや、こんな馬鹿なことに時間を費すくらいなら友達と遊んでいるだろう。

高校生ではない。

もう一度、きっぱり言おう。

高校生ではない。

俺が高校生である限り、高校生はこんな馬鹿げたことはしないからな。

そんなことを考えながら暇つぶしに六法全書を開く。

高木彩斗は高校1年生。

飛び抜けた秀才であり、運動神経抜群、超美形、おまけに家は大富豪といった羨ましすぎる生活を送っていた。

ただ、両親を幼いときに亡くした。

これだけはどうしようもならないが、唯一自分にかけているところだった。

そんな彩斗には毎日が平凡すぎてつまらなかった。

だから、と言っても理由になるかどうかは分からない。

それでも何故か、妙に手紙のことが気になった。

人間は誰でも、こうしたい、こうなりたい、といった希望があり、それが不可能なことであると分かっていても、もし目の前にその願いが叶えられるチャンスがあれば、後先考えずに動く。

だから詐欺とかそういったことが成り立ってしまう。

今、彩斗は人間がそういった行動をとると頭で分かっていても、本能は行きたいと告げていた。

開いた六法全書はまったく視界に入っていないようだ。

手紙が気になって気になってしょうがない、と言ったところであろう。

彩斗には毎日が平凡すぎた。

つまらなく、暇すぎた。

結果、明日彼の住んでいる緑市の中央公園に行くことに決めた。



『後々後悔することとなる』

それは間違いだ。

届いた瞬間から後悔するべきだったのだ。

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