開け!魔王の門!
おっひさー☆
お待たせ致しました。
◇
轟く騒音。揺れる足場。跡形もなく黒き力の奔流に消し飛ばされる砂漠王ゴブリオン。愕然とする俺。
「え、ええええええええっ!?」
「大丈夫!?ツヨシ様!」
「お、お陰様で」
魔王の力でぽっかりと空いた壁の穴からひょっこりと現れるシュラに苦笑いしつつ安全だと伝える。
まさかの展開に俺は愚かテキストも驚き、地面に倒れ伏せている。多分ビビり過ぎて死んだフリをしているに違いない。
気付けば周りの砂漠ゴブリンの群れもアキラの手によって片付けられてるしちょっと皆さん規格外過ぎじゃないですかね?
当のアキラはシュラの攻撃を余所にアエスティーを回収して安全を確保してるし。俺もうついていけない!癒やしのユリカさんは何処へ…。
そこへ2度目の轟音。シュラとは真逆の、と言うか俺の背後の壁が粉々に吹き飛びそこからユリカが剣を片手に現れる。
「あばばば…!」
「どうしたのよ、そんな恐ろしいもん見るような顔で?」
「恐ろしいぜ俺…皆強過ぎて…」
「アンタの鍛錬が足りないだけ――ってそう言えばアンタを鍛えるって話スッカリ忘れてたわ、私」
とんでもない剣技を披露しておいて何でもない顔でマイペースな発言をするユリカも怖い。魔剣無しでも十分化物なんだが。
「そうだ、テキスト様!」
「……何ですぅ?」
ムクリと起き上がって浮遊し始めるテキストにシュラが尋ねる。
「テキスト様って確か現在までの事なら何でも分かるんだよね?」
「イエース!キーワードさえおっしゃって下されば何でも!」
「じゃあね、私が囚われてた場所の事、分かる?」
「そこを調べてどうするんです?」
「あそこに荷物置きっ放しだったから取りに行きたいなーって!」
「なるほど!では少しお時間を…」
荷物なんて取りに行ってどうすると言うのか。シュラに預けてた荷物なんて鉱石と魔剣くらいの筈…。
「そうか、卵か!」
「正解!あの子を1人にしておくのは可哀想かなって!」
「確かにそうだけどさ。どうやってそこまで行くつもりなんだ?」
「位置さえ分かれば後はイメージで魔王の力の痕跡辿ってワープ出来るんじゃないかなって思ったんだ」
魔王の力は未知数だ。あらゆる可能性が隠されているのかもしれないが、果たしてそんな曖昧な事が出来るのか。…出来そうだなあ、シュラだったら。
「はいはーい!バッチリ特定しました!きっと驚きますよぅ!」
「本当?見せて見せてー!」
俺も気になったからシュラと一緒になってテキストを覗き込む。
そこには驚愕の事実が記されていた。
「ロストネイムに続く山の頂上…だとぉ!?」
「目的地のすぐそこ!ツヨシ様!」
「ああ…!ここに行けたとしたら、スッゲー短縮出来るぞ!!」
2人で顔を見合わせて頷く。俺達の言葉に反応した残る3人も顔を上げ、希望を抱いた。
魔王の力に頼ると言うのも変だが、俺自身無力に近い為に利用出来るものには縋っておきたい。と言うか何でもいいから俺にも無双出来るようなチート能力を授けて欲しい。
「シュラ!」
「うん!早速、やってみるよ!」
離れたシュラが両手に黒い光を纏い始める。勿論巻き込まれないように遠くに移動した。
「さあ、開いて!魔王の門!!」
突き出された両手から黒い光が解き放たれ、渦を描いて空間との衝突を起こす。やがて空間に皹が入り、徐々に周囲へ侵食していく。
そうして完成した巨大な空間の裂け目は見ているだけで吸い込まれそうだった。あの中に入るのは少しばかり、嫌、かなりの勇気が必要だ。
「本当に通れるのか、これ…?」
「さあ…?」
不安を俺にぶつけてくるアキラに対し、俺はそう返す事しか出来なかった。
「魔剣の試練」
結局は持ち主に寄生して肉体を得る為の嘘っぱち。最強の力を得る為の試練だと言っておけば皆ホイホイ信じ込んでくれると言うことで魔剣達の間でテンプレな口実となった。




