オアシスと言う名の罠
話が進んだと思った!?ちょっとだけでしたぁ~!!
ごめんなさい。
◇
雲一つない晴天。雨が降れば足場が泥濘んで歩き難いし進行速度も相応に遅くなるからこう言う日は旅に持ってこいだ。
そう言いたいところだったのだが、残念ながら今の俺達にそんな余裕は何処にもなかった。
「あっぢぃー…」
日陰などなく、ただただ果てが見えない一面砂の旅路を空から降り注ぐ熱線もとい日光に照らされながらダラダラと歩く。
現在、俺達は砂漠を渡っている途中だ。
「何時まで続くのよ…!本当にこっちで合ってるわけ!?」
「テキスト情報だから間違いない、筈だが……」
水分補給をしたいけどその肝心の飲料もつい先程底を突いた。まさか砂漠がここまでしんどいものだとは思ってなくて補給していなかったのが裏目に出たのだ。
かれこれ砂漠に入って3時間が経過している。そろそろ街があっても言い頃だとは思うのだが。
「もう、駄目です…」
「あっ!?お、おい!アエスティー!?」
とうとうアエスティーが倒れた。何度か休憩も挟んでいたのだがそれでも限界が来てしまったらしい。
慌ててアキラが支え、肩を貸す。このままではジリ貧だ。いずれ皆倒れてしまう。
「仕方ない。一旦休憩にするぞ!」
「この暑さじゃ気休めにもなんないけどね…」
「くそ…魔法が使えないって不便なんだな」
アキラがぼやいた通り、この砂漠では魔法が使えない。何だかそう言う領域になっているのだとか。
もう何度魔法さえ使えれば、と言葉にしたことか。いい加減この暑さに苛立ちすら覚えてきている。
そんな時だ。ふとシュラが遠くを指差した。
「あれ、もしかしてオアシス…?」
「何!?」
全員が一斉に指差す方角を凝視する。こればかりは普段大人しいアエスティーでも食い付いた。
「オアシス……水だ…水が飲めるぞおおお!!」
「やったああああ!!」
「早く行こうぜ!もう喉が渇いて死にそうだ!!」
「これでやっと一息付けそうです…!」
それぞれが歓喜と安堵の声を上げる。不思議と疲れも吹き飛び、俺達はオアシスへ目掛けて駆け出す。
しかし、何時だって神は残酷だ。こんな非常時にだって、平気で俺達を見捨てる。
「オアシスだイエェェェエイ………え?」
目と鼻の先にオアシス、と言うところで突然5人の足が砂に沈んだ。
「あれ?俺らもしかして縮んでる?」
「いやいやいや…そんなわけないでしょ?」
「でも、これ、視界が下がって……」
「気のせいだって!暑さにやられてるんだよ俺達!」
「そうそう!さあ、早く水飲みに行こ?」
身に着けている服の隙間と言う隙間から砂が入り込んできて変な感じだ。もう、認めるしかないだろう。
「はは、ははははは…」
それぞれから思わずから笑いが溢れる。残るは後頭だけとなってしまっている。
「ハハハハハハハハハハッ!」
だんだん可笑しくなってきて高笑いすらしてしまう。駄目だ、もう俺以外の皆の姿が見当たらない。
「くそ…!くそ…!」
藻掻いても藻掻いても一向に状況は変わらない。寧ろ悪化する一方だ。こんなの馬鹿げてる。
「チックショオオオオーーーーーーッッッ!!」
そこで、俺の視界はブラックアウトした。
「独創魔法」
簡単に言えばオリジナルの自作魔法。そう簡単に使えるわけでもなく、作れるものでもない。
魔法を極めし者でさえ一つの魔法を作り出すのに早くて1年掛かると言われているが、ツヨシのように
極限状態まで追い込まれ、思考や集中力が研ぎ澄まされた状態でならば魔法の理論などを無視して
作り出せるようになる。現状、後者の方法で独創魔法を作れたのはツヨシのみ。




