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RETURN ~少女好きの俺が悪者を倒す~  作者: 半裸紳士
無名国編
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奪還!

長い風邪との戦いが終わりただいま復帰いたしました!


地獄だ。

俺は最初にそう思った。部屋の入り口は通れず、上にも戻れない。挙げ句に窓一枚のこの部屋で逃げ場がない上に未知数な異質者がわんさかといるこの状況は正しく地獄に思えたのだ。

しかも冗談のきつい事に前列にいる数体の異質者はノコギリや釘、ハンマーまで持っている。まるでこれから拷問でもするかのようだ。


「うぅ……ツヨシ、様…?」

「っ!?シュラ!?」


歩み寄って来る異質者から逃げるように後ろへ徐々に下がり始めた瞬間、不意にシュラの掠れた声が背後から聞こえてきたので首だけを動かし後ろを確認するとそこには長い台があり、その上でシュラが寝かされていた。


「ごめん、なさい……守ってたら、魔力吸い取られちゃって……」

「無事ならそれでいい!あんまり喋るな、安静にしてるんだ…」


シュラを見る限り傷は一つも見当たらない。しかし、凄く弱り切っている。

原因は恐らく魔力を吸い取られた事にあるんだろう。疑う訳ではないが、シュラの言っている事が本当で今も尚歩み続ける異質者が持っている武器が関係していると言うのであればこの状況に対する対処の仕方も変わってくる。

つまり異質者のやり方はこうだ。対象の魔力を動けなくなるまで吸い上げ、こうした場所で解体して肉塊もしくは人体アートに変え、元の世界へ返す。

読みが正しければテキストの言っていた不可解な死も納得出来るかもしれない。テキストへ視線を移すと当のテキストも同意見のようで、全身を使って頷いた。

決まった。ならば俺が出来る事はただ一つ。窓を破って逃げる方法だ。この塔の窓は大きめなのでそれが出来る。

シュラを取り戻していない状態でのこの方法は論外だった。だがこうしてシュラが手元にいるのなら別だ。何時でも逃げ出す事が出来る。

その為には、魔力を吸い取られる以前に素早く行動に出る。


「見てろよ間抜け共!俺は逃げるぜ!」


台に寝かされたシュラをお姫様だっこで抱き上げる。魔力不足で力が抜けているせいか地味に重みがあるが、このくらいは朝飯前だ。

異質者が俺に到達するより前に窓へと走り、そのままの勢いで窓を突き破る。この時、シュラの抱き方を変えて頭を守る様にし、そして魔力を送りながらテキストを掴んだ。

外へ飛び出すと案の定空中だったがテキストで滑空している為、特に問題は無かった。


「まさに脱兎の如き逃走劇でしたね!」

「お、俺にかかればこんなもんよ!」

「ツヨシ様、震えてるよ……」

「…正直一か八かだった。もしあそこで躊躇って窓破れなかったらどうしようかと……」

「敗因が窓に跳ね返されたからだなんて死んでも言えませんよね!」


ちょっとしたハプニングもあったが、何とかシュラを取り戻した事により余裕が戻ってきた俺はそんなくだらない話をしながら地上へと確実に降りていくのだった。

「恩恵」

前世で最も優れていた部分を能力として授かったもの。しかしこれは前世があれば誰でも得られる

と言う訳ではなく、女神アルテシア様を通して転生した者にのみ与えられる。

恩恵の例としては、前世で女の子によくモテていた男には女の子を自然に引き寄せ、魅了する恩恵が

与えられるなど。

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