セリルダルカ大陸
忘れてましたけどアキラの回復魔法によってツヨシの負傷した右目右腕は再生しています。
◇
船が港を発ち数時間程が経過し、ついに俺達は新たな大陸、セリルダルカの大地に足を着けた。
「や、やっと着いたぁ…!」
船酔いの騒ぎ以降グッタリとしていたシュラがやっと解放されたと言わんばかりに地面に倒れ込んだ。俺は苦笑しつつ周囲を見渡した。
どうやら大陸が違ってもその他は何処も同じらしい。
「ここがセリルダルカか。あんまし変わんねえな」
アキラが俺の感想を代弁する様に言った。ユリカやアエスティーも同意見なのか頷いた。
何にしても皆疲れているだろう。ここは休むべきだと判断した俺は皆を集めた。
「今日はここで宿を取って休むぞ。旅の再開は明日だ、いいな?」
一刻も早く休みたかった俺達は早速見つけた宿屋へと足を運び二つの部屋を取った。勿論、俺とアキラが一つ、シュラ、ユリカ、アエスティーが一つ、と言った部屋取りだ。テキストは物として扱う。
部屋に荷物を置いてベッドに豪快に座る。するとふかふかの掛け布団が俺のお尻を優しく包み込んでくれた。旅に出てからはずっと野宿をしていた反動か、とても癒やされた気がした。
まだ温もっていないひんやりとした感触が心地いい。
「あー、疲れた!」
「否定はしないけどさ、俺達特に動いたりしてないよな?」
「……そりゃあそうだけどさ。肉体的に疲れてなくても精神的に疲れてる的な、あれだよ!」
「なるほど。あれが何なのか気になるが言いたい事は何となく分かったわ」
「流石アキラだ!もうアイコンタクトで何もかも通じちまうのな!」
「何もかもとは言わないけど長い間お前の相棒してたんだ。それくらい分かって当然だろ?」
肩眉を下げて言ったアキラは部屋の窓からセリルダルカの港を見下ろした。二階の部屋なのである程度の景色が見れた。
「それにしても何かさっきとは違って慌ただしくないか?」
「あ?慌ただしい?」
アキラが訝しげに窓から外を見つめる姿に気付いた俺は隣で外を拝見した。
「ただ事、じゃなさそうだな…」
「ちょっとは休憩させてくれてもいいんじゃねーの?」
「ツヨシは休んでてもいいぞ。俺が様子見てくる」
「何か危険な事があったら迷わず呼べよ?お前すぐ突っ走るからな」
まさに脱兎の如く。まだ隣にいるとばかり思っていた俺が横を見ると既にアキラはおらず、代わりに部屋の扉が半開きで放置されていた。少しの間、呆然としていた俺だがその後何の躊躇いもなくベッドにダイブして夢の世界へ旅立った。
薄情で結構。疲れは時に人を変えてしまうのだ。そんな俺の姿を見ていたテキストは静かに呆れるのだった。
「鷺ノ森探偵事務所」
生前、ツヨシとアキラもとい鷺ノ森晟良が探偵として拠点にしていた探偵事務所。
ツヨシもアキラと共に探偵をしていたので縁のある場所で、結構有名な事務所だった。
現在も存在はしているもののそこには誰も立ち入る事はない。




