決勝戦開始
か、感想が、きた…!?ありがたやあ、ありがたやあ!!
これはやる気スイッチ入りますわぁ…!
数分が経過し、SクラスがとうとうAブロックに姿を見せた。青みがかった銀髪の男が数人の美少女達を取り巻きに堂々と中央を陣取っているのが分かる。
勿論、その中にはユリカはいない。群れるのが苦手なのか、一番端っこに腕を組んで立っていた。胸が強調されていてつい凝視してしまう。仕方がないよな、男だもん。
『――さあ、いよいよクラス対抗戦も決勝を迎えます!ここまで圧倒的な力を見せつけてきたCクラスの実力は果たして最強を誇るSクラスに勝つ事が出来るのでしょうか!!』
司会の声を覆す様な歓声が上がり、俺は思わず耳を塞ぐ。もう嫌だ、早く帰りたい。
「決勝だ。優勝すれば俺が得する。だからお前ら勝てよ!絶対だぞ!」
「相変わらずの自己中ぶりですが気にしないでおきましょう。――言われなくとも、私達は勝ちます」
目を瞑り、そう告げたセリアスを中心にクラスメイトは一斉に頷く。この一致団結感、俺は嫌いじゃない。
長くも感じたクラス対抗戦もこれでラストだ。別に勝っても俺達にこれと言った得は無いのだが、ここまで来れば最早乗りかかった船だろう。持てる力をぶつけてやる。
俺は思い出した記憶を密かに整理しつつも、目の前の戦いに集中しようと思った。
『それでは両クラス、代表生徒を選出してください!』
「27、35、12、3、9!」
素早く代表生徒の番号がリンドの口から述べられる。この選出で喜ぶと言えばやはり、一人しかいないだろう。
「いぃぃぃぃよっしゃああああああああああああああああああああああ!!」
これまでにない程の声を張り上げ、両腕を突き上げるハルート。さながらゴールを決めたサッカー選手の様だ。
今までの様子を見ていたクラスメイトが良かったなあ、と口々に慰め出し、慰められたハルートは感極まって男泣きした。そっとしておいやろう。
「つーか、また俺か。可能性は低いと思ってたけど結構運良いな」
二度目の、しかもユリカとも戦える可能性のある試合に出れたのは幸運と言うしかないだろう。俺は依然としてその場から動かないユリカへ視線を向けた。
目が合う。そのユリカの瞳が待っていろ、と言っている気がして俺は気合いを入れ直した。彼女の全力はまだ見た事がないが、条件は相手も同じだ。
俺が記憶を完全に取り戻している事は知らないだろうし、そもそもユリカが実際戦った俺は全く本気ではなかった。本気を出そうにも、実力を生かす土台が無かったのだから。
「何だか緊張してきたぜ!」
そう言ったのは橙色の髪をした男。3番だった気がする。
「まあ、相手はSクラスだし分からん事もないな」
次は灰色の髪の男。12番だ。何処かAクラスのウォンドとか言う奴と被っているが敢えて触れないでおこう。と言うより皆カラフル過ぎだろ。
「とにかく勝てばいいんでしょ?ウッドとクスイは引っ込んでキズナさんに任せなさいって!」
そう言って無い胸を張る9番の茶髪の少女。どうやら相当自身があるらしい。
そうこうしているうちにSクラスの代表五名が決まったようだ。
Cクラスの代表は俺、ハルート、ウッド、クスイ、キズナ。
Sクラスの代表はユリカ、金髪、緑髪、黄緑髪、白髪。
お互い睨み合うと、ステージに上がった。俺と対峙する形になったユリカは不敵に微笑んだ。
「まさかこうも綺麗に当たるとは思わなかった」
「俺もだよ」
「手加減、しないからね?」
「当然だ。俺もしないからな」
俺も笑い返してやる。ふとクラスメイトを見てみると他のメンバーも挨拶が終わったみたいで、既に戦闘態勢に入っていた。実にやる気に満ちている。
『それでは、決勝戦。Sクラス対Cクラス、試合開始です!』
司会の試合開始の合図と共に歓声、試合開始のベルが鳴らされる。怒濤の音の嵐に耳を持っていかれそうになりつつも、俺は後方にバックステップで離れていくユリカを追って地を踏み締めた。
「無ノ刻」
異界より召喚されし神級邪悪獣が引き起こすと言われている現象。
無ノ刻が起こると世界中の魔力源、自然が枯渇し生命もいずれ死に絶えて文明自体が
止まってしまう。亡世の支配者の時代にも発生したのだが、何かの心変わりか亡世の支配者自身が
身を犠牲にしてその身に宿る膨大な魔力と生命力を解き放って無ノ刻から世界を救った。
一説では、無ノ刻は文明を一転させる為の現象なのではと考えられているとか。




