表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RETURN ~少女好きの俺が悪者を倒す~  作者: 半裸紳士
王道横溢編
36/81

衝撃の事実

ずんだぁ…



戦況は驚いた事にCクラス側が優勢だった。Aクラスは為す術なく、Cクラスの連携の前に防戦一方となっている。


「あそこまでやれるもんなのか?」

「なんだ、知らなかったのか。別にCクラスは弱い奴らの寄せ集めではないんだぞ」

「え?そうなのか?」

「何かしら大きな欠点を持った者を集めたのが俺達Cクラスだ。レイネースもそうだがスパーニャもあの姉妹も実力だけで言えばSクラスでも申し分ないくらいだ」


今告げられる衝撃の事実。Cクラスは実は落ちこぼれクラスではない事も衝撃だがもう一つ、キャラ被りした気弱な少女二人が姉妹だった事も驚きだ。


「セリアスとハルートの欠点は察したけど、あの二人は何が欠点なんだ?」

「見てみろ。あの二人の戦いに何か思う事はないか?」


姉妹の戦いに思うところ。言われてみれば、二人とも近接攻撃か魔法での援護に偏っている気がした。

青髪の少女はひたすら後方で魔法を使いつつ、近付かれれば物凄い速度で逃げ回っているのに対し、水色の髪の少女は「ふぇぇ…」などと情けない声を上げながらその華奢な体とは倍程の差がある大剣を振り回し、距離を取られればすかさず距離を詰める、を繰り返している。

そう、どちらとも近接なら近接、魔法なら魔法と徹底しているのだ。


「言われてみれば…」

「さっきからずっと魔法ばかり使い続けているのは姉のアリス・ランス。彼女は魔法の扱いに長けてはいるが、武器の扱い体術、所謂体を駆使した戦いに関してはリンド先生からゴミの体当たりレベルの評価を貰っている。逆も然り。妹のサリス・ランスは見ての通り近接攻撃に特化し過ぎていて魔法の評価はリンド先生曰くクソ以下だそうだ」

「アンタの評価ひっでぇな!」

「うお!?なんだ急に…」


リンドの辛辣な評価にツッコミを入れつつも、俺は内心ランス姉妹の戦い方に納得した。つまり二人の欠点はそこなのだ。姉は前衛で戦う事は出来ないが後衛ならばSクラスレベルの力を発揮でき、妹は後衛で戦う事は出来ないが前衛ならばSクラスレベルの力を発揮する。

短所をお互いの長所で補い合う事でランス姉妹は成り立っているとも言えるだろう。とは言え、既に自分なりに短所を克服しているようだが。


『おおっとー!?これはぁー!!シャラハットさんとレイネースさん!凄まじいコンビネーションを見せつけましたぁー!!』


ランス姉妹の戦法を観察していると、不意に司会が興奮した様子で叫んだ。どうやらリーナとセリアスのコンビネーションが凄いらしい。

見てみると既にAクラス二名が地面に伏していて、威勢の良かった灰色の男は尻餅を突いていた。


「おおお、お前ら!こ、こんな事してただで済むと思うなよぉー!?」

「この大勢の中でよくもまあ頭の悪い発言をしますね。言えばこの場にいる方々は皆証人ですよ?」

「ぐぬぬぅ…!お前らに負けるくらいなら、いっそ場外負けしてやる!!」


明らかな墓穴を掘った上に尻尾巻いて逃げ出した灰色の男を見てセリアスは呆れて溜め息を吐く。


「ステージング・プロプトーシス」


詠唱破棄で発動された地属性の初級魔法、ステージング・プロプトーシス。その名の通り、指定した足場を突出させる魔法だ。


「ウォンド・ガラワルイ。アナタの敗因は――」


突然突出した地面に足下を救われ、大袈裟に飛んだウォンドの落下地点にはリーナが武器であるハリセンを構えていた。最初は何の冗談かと思っていたがこれが何気に強い。ハルートを叩いている時とは全く別物と言っても過言ではない威力を誇っているのだ。

俺はこの戦いで見てしまっている。ハリセンが地面を抉るのを。それ故に、目を背けてしまった。


「トンズラこいた事だぜ、バーカ!!」


その音はまるで、巨大紙風船を思い切り鳴らしたかの様な音だった。死んだな、変な名前に灰色。

同時にランス姉妹の方も残り二人を片付けたらしく、リーナとセリアスの下に向かっていた。これで無事に第一回戦を終える事が出来る。


「…ん?」


そこで、俺は集まった四人を見て疑問に思った。――後一人、足りない。


「あの黄色は何処行った?」

「黄色…オレット・コーナか。彼なら途中で場外負けしたぞ」

「何!?」

「…ごめん。つい出てしまった」


何時の間にか近くにいたオレットは申し訳無さそうに目を伏せる。影が薄いのか、単に俺が見落としていただけなのか。とにかく、第一戦は勝利を迎える事が出来た。この調子で優勝を目指そう。

俺は生徒用観客席で不敵に笑むユリカへ顔を向け、そう心に決めた。

「聖剣」

世界に二本とない唯一無二の勇者専用装備。えくすかりばーではない。

元々はファヴル二ア国にある霊山に保管されていた。一応勇者以外でも引きずって持つ事なら

出来るが、持ち上げる事は不可能とされている。勇者が触れると軽くなる勇者大好きっ子。

魔を断ち切り勇者にエネルギッシュな恩恵を与える聖剣は決して折れる事はなく、さらに

魔剣を圧倒する力を持つ。現在はツヨシ達と争った闇国とアレチェスカ王国を繋ぐ洞窟で

崩れた瓦礫の下に放置されている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ