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RETURN ~少女好きの俺が悪者を倒す~  作者: 半裸紳士
王道横溢編
35/81

Aの怒り!お前ら沸点低過ぎ!

タイトル変更に変更を重ねました!(また変わるかもしれません)

前回の話でA、B、C、Dに分けて試合を行うと描きましたが、それはこちらのミスです!

クラスはS、A、B、C、Dしかないので実際はA、Bに分けての試合となります!修正済みです。

試合のないクラスは生徒用に用意された観客席で待機か、アリーナ内にある一クラスなら十分余裕のあるスペースの室内訓練室で体を慣らしておくのが基本らしい。今回、一回戦目に試合のある俺達Cクラスはそのどちらにも行かず、直接ブロックごとに分けられた結界の中に移動する。

相手はSの次に強いAクラスだ。程良い緊張感がクラスの雰囲気を作っている。Bブロックの試合会場内に入ると、少しして高らかな笑い声が聞こえてきた。


「ふふふ…ふひはっひはははははは!」

「なんだその笑い方」


ついそう零してもらう程に変な笑い方をしたのはAクラス側の中央を陣取っている灰色の髪の男だ。右手で顔を覆い仰け反る様に笑っていた。


「いや、ふふっ!すまない…余裕過ぎてつい笑ってしまったよ」

「まるで見計らったかの様なタイミングでしたね」


そう言って艶やかな銀髪を揺らして前に出たのはセリアスだ。その表情はお前達など眼中にないとでも言っているかのようだった。

俺は視線だけをセリアスから灰色の男にずらして見る。


「当たり前だ。見計らったんだからね」


ドヤ顔で言う台詞じゃないと思う。


「それはご丁寧にどうも。では、無駄話はここまでにしておきましょう」

「無駄話、だとぉ…!?」


意外に沸点の低かった灰色の男は自分との会話を無駄と論され眉間に皺を寄せる。怒らせて大丈夫なんだろうか。如何に小物臭がすると言えども相手はAクラス。Cクラスの俺達とは実力の差があるのでは。

そう考えたところでセリアスがこれ以上何も話す事はないとAクラスに背中を向けて戻ってきた。最早そこまでされて怒りが爆発しそうになっている灰色の男を哀れんでしまう。


「ぐぬぬぅ…!コケにして――」

『それでは!これよりBブロック第一回戦、Aクラス対Cクラスの試合を始めさせてもらいます!まずは両クラスの担任はくじ箱で出場する生徒を五人選んで下さい!』


灰色の男の言葉を遮ってBブロックの司会が進行していく。哀れ。

ずっと白い箱を持って俺達の後ろを着いて来ていたリンドが言われた通りにくじ箱から数字の書かれた玉を五つ取り出した。ピンポン球に近い大きさをしている。


「出席番号で言うぞー。んーと、7番!15番!8番!10番!1番!」


ちなみに俺の番号は最後の35番らしい。


「よっしゃ!来たぁ!」


すぐ近くにいたリーナがガッツポーズを決めて喜ぶ。カラリーナだから8番辺りか。


「早速私の出番ですね」


次にセリアス。15番。


「…頑張る」


名も知らぬ黄色の髪の大人しそうな男。7番。


「わ、私!?」


キョドっている青髪の女の子。1番。


「ふ、ふぇぇ…」


青髪の女の子とキャラが被ってしまっているあたふたとする水色の髪の女の子。10番。


「く、くそ!くじ引きくそ!!」


選ばれず悔しがるハルート。27番。

取り敢えず、試合に出る生徒は決まったみたいだ。Aクラス側も決まったらしく、灰色の男含めた五人の生徒が仁王立ちして俺達を威嚇していた。全員同じ腕組みポーズを取っている。


「よっし、お前ら!絶対に勝てよ!負けたら飯奢れよ!」


何とも気合いの入らないリンドの応援に、選ばれたクラスメイトは背中で任せろと語った、様に見えるが相手をするのが面倒だから無視しただけだった。

Cクラス代表に選ばれた五人はそのまま、この結界の内側に張られたもう一つの結界の中に入っていく。この結界の中こそが真のバトルステージ。そこから出れば即負けと見なされるのだ。


「お、お前達!この俺をコケにした事、後悔させてやる!」

「Aクラスなんて相手にもなりません。すぐに決めさせてもらいます」


その言葉にAクラスの五人の生徒は怒りで顔を真っ赤になり敵意を剥き出しにした。お前ら沸点低いな。

違ってCクラスの五人は至って冷静だ。普段ハルートと喧嘩ばかりしているリーナも黙々と準備運動をしている。

ちなみにこのクラス対抗戦は五対五で行われる。大事なのはチームプレイ、所謂連携と言うわけだ。

セリアスが挑発染みた発言をする理由は相手を怒らせ連携を崩す為だろう。ここまで怒るとは思っていなかったみたいだが。


『――では、Bブロック第一回戦、Aクラス対Cクラス。試合開始!』


その合図で両クラスの代表が一気に武器を召喚する。

――え、何だって?武器を召喚?


「なんだあれ…」


震えた声で呟く。気になってはいた。何故皆武器を持たずに戦おうとしているのだろうと。もしや魔法だけで戦うつもりなのではないかと。

だがそれは見当違いだった。事もあろうが今まさに己の武器で白熱した戦いを繰り広げている生徒達は何もない場所から武器を召喚したのだ。もう、驚いたね。


「うわあ、いまからでもおしえてもらおう」


そう思って見渡して見るとなんと近くにナラクがいるではないか。俺は蟹歩きよろしくナラクの隣まで近付くと声を潜めて言った。


「お、おい、ナラク」

「ん?何か用か」

「じ、実はさ、俺あの武器召喚するやつ知らないんだわ…ちょっとやり方教えてくんね…?」

「ああ、あれは予めに武器を登録しておかないと出来ないぞ」

「そ、そんな…!!」


膝から崩れ落ちた。

「勇者」

魔王と対する存在。古来より伝わる聖剣を武器に歴代の魔王を退けてきたと言われている。

今回の勇者に選ばれたのはセインと呼ばれる若者で、歴代最強に近い存在とも謳われている。

聖剣のみならず数多の武器の才にも恵まれ、素手も然りである。歴代最強と呼ばれた勇者ハゲチラシも

過去に素手で魔王を圧倒し討ったと言われている。

勇者として生まれた者は皆、無垢で純粋な心を持ち合わせ正義感に溢れる事が約束されている。

ちなみに歴代勇者達は魔王を討った後、一度も姿を見せる事なく行方不明になってるとか。

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