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RETURN ~少女好きの俺が悪者を倒す~  作者: 半裸紳士
王道横溢編
31/81

魔剣士ユリカと記憶の断片

すみません、玉鋼ください(白目)

ボキャ貧つらぁい。

クラス対抗戦。少なくとも穏やかじゃない事は確かだろう。

キョトンとした俺の顔を見てユリカは溜め息を吐くと仕方がないと言わんばかりに説明してくれた。


「知らないよね、やっぱり。クラス対抗戦って言うのは長期休み明けに行われる実力テストよ。この学園の生徒は長期休みの期間中にそれぞれの方法で自分を鍛錬するのが主流になってるからね。クラス対抗戦はその上がった実力をチェックする為のイベントみたいなところ」


そう言えばユリカも己を鍛錬云々と言ってアレチェスカ王国のギルドに通ってたんだったか。俺は納得して頷いた。


「となると俺は随分不利なわけか…」

「ま、本気じゃなかったにしろ私に勝てたんだからDクラスに負ける事はないと思うけど…」


なんで不安そうなのかは敢えて聞かないでおこう。

その後、雑談をしながら始業式が行われる式場に着いたのだが、特にこれと言った出来事は無かったので省く。

それにしてもわざわざ式専用の建物まで用意しているとは恐れ入った。どれだけ金を使っているのやら。



始業式も終わって教室に戻って来た俺達はリンドが来るまでの間雑談をしていた。雑談と言っても喧嘩をするハルートやリーナを傍観したりしつこく話し掛けてくるジェイルを軽くあしらったりしていただけなのだが。

もう既にHR始まりのチャイムが鳴っているのに対してリンドの姿は未だにない。どうせ怠けてるに違いない。


「おー、皆揃ってるな?明日はクラス対抗戦だからゆっくり休んで挑むように!以上、解散!」


突然、教室の扉から首だけを出して登場した当のリンドは聞き捨てならない一言を残して去ってしまった。皆、「え、それだけ?」と言った表情をしつつも帰りの準備を始めている。

心では戸惑いつつも体は既にリンドの滅茶苦茶さに慣れてしまっているんだろう。俺もそんな風になるのかと思うと身震いしてしまう。

だが、それは重要な事じゃない。今一番重要なのはリンドの言ったクラス対抗戦の件だ。

聞き間違いでなければ確かにあの怠慢教師は明日がクラス対抗戦と言った。早過ぎる。ユリカは近々と言っていたが、あまりにも近過ぎてちびってしまいそうだ。


「さ、帰ろうぜ。お前何号室なんだよ?」

「え、ええ?お前ら適応し過ぎだろ…」


さも当然かの様にカバンを持って帰ろうと誘ってきたハルート達に困惑の視線。当の皆は首を傾げてただ俺を待っているのみ。なんだか怖くなってきた。


「…戸惑っててもしょうがないか。ええっとな、確か309号室」


皆に聞こえない様にボソッと呟いて気を取り直した俺はハルート達に部屋の番号を教える。番号を聞いたハルート達は急に凍り付く様に動かなくなった。


「立ったまま、死んでる…?」

「死んでねーよ!え、何お前?あの魔剣士と同室なの!?」


復活したハルートが俺に詰め寄って尋ねてくる。それにしても魔剣士とは酷い言われ様だな、ユリカの奴。


「魔剣士?ユリカがか?」

「ユリカ!?名前呼び許されてるとか相当目付られてんな!」


そろそろ頭が追い付かなくなってきた俺はハルートを引き離すと両手の平を向けて「すてい、くーるすてい」と落ち着かせる。


「何だ、言ってる事がよく理解出来ないんだが」

「そう言えばお前記憶無いんだっけ。有名な話だぜ、あのセリオリーゼが最強の剣士になる為に全ての魔剣を探して世界中を渡り歩いてるってのはさ」


最初にあった時も魔剣をくれと強請ってきていたのを思い出す。そうか、最強の剣士になる為に魔剣を求めてたのか。それなら納得―出来ないな、うん。

何故最強の剣士になる為に魔剣を集める必要があるのか。後どうしてそこまでして最強の剣士になりたいのか。


「魔剣を集めたら最強の剣士になれるのか?」

「伝承ではそうされてるらしい!」


リーナが横から割り込んで教えてくれる。ほら、そうやって割り込むからハルートが獲物を横取りされた獣みたいな顔して襲い掛かって来るんだぞ。


「伝承?」

「ああ。何でも五本しか存在しないって言われている唯一無二の聖剣に匹敵する程の力を秘めた魔剣を全て手元に揃えると最強の剣士としての力を得られるとか」

「なるほどな…どうして最強の剣士になろうとしているのかは分からないけど、何となく理解した。で、どうしてハルートはその魔剣士が同室ってとこに食い付いたんだ?」


次に気になったのはそれだった。目を付けられた、とか言っていたな。


「確証のない噂なんだけどさ、セリオリーゼはあのスタイル抜群の体を利用して男を蛻の殻にしちゃうらしいんだ…」


俺の問いに、リーナは声を控えめに落としてそう言った。スタイル抜群で男を魅了するのは昨日の一件で確認済みだが、蛻の殻にするの意味が分からない。

もしかしてあのたまに見せる図々しさが原因になっているのかもしれない。物をノーリスクハイリターンで手に入れようとする姿から誰かが噂立てた可能性も十分考えられる。

俺も魔剣ただでよこせって言われたからな。


「そんな噂が…」

「ツヨシ、いる?」

「噂をすれば…!」


ユリカの登場にクラスがざわめく。思い返してみれば始業式に向かう際にも周囲の生徒がヒソヒソと何か話していた。もしかして目を付けられた編入生君可哀想的な感じだったのか。

取り敢えずこのまま返事しないのも素っ気ないから手を振っておく。俺に気付いたユリカが手を振り返してきた。こうして見ると噂なんて嘘みたいに清楚な美少女なんだけどな。


「どうしたんだ?」

「何。用事がなきゃ来ちゃ行けないって言うの?」


ムスッと頬を膨らませて両手を腰に当てた少女(ユリカ)が顔を寄せてきて俺の根底を刺激する様な台詞を吐く。

――根底?俺の根底って、何だ?

突然の疑問に俺は動きを止め、右手で顔を覆う様にした。今までつっかえて留まっていた記憶の奔流が一気に溢れ出して俺の空白を塗り替えていく。

武術を極めるべく世界を渡った記憶。

探偵として相棒と共に数々の困難を乗り越えた記憶。

邪神の遊戯とやらに巻き込まれた記憶。

少女を守ると誓った男、火野鋼としての記憶が不意に蘇ったのだ。


「あ…」

「え、ちょっ――」


一気に流れ込んできた記憶の奔流には耐え切る事が出来ず、俺は全てを思い出す前に意識を手放してしまった。

だがこれは大きな進歩と言えるだろう。全てを失った男は何でもない、学園生活の中で最初の一歩を踏み出す事に成功したのだから。

「魔法」

世界中の人間が常識的に扱う事の出来る体内に張り巡らされた目に見えない魔力回路を通る

魔力を利用して発動する力。複数の属性が存在しているのだが、それはまた今度説明。

魔法にも種別があり、下の通りになっている。

初級魔法、中級魔法、上級魔法、最上級魔法、神級魔法、乖離魔法

   ↓    ↓    ↓     ↓    ↓    ↓

   弱    普    強     滅    国    世

   い    通    い     茶    が    界

                   苦    や    滅

                   茶    ば    亡

                   強    い

                   い

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