証明の決闘2
ふと恋愛小説を描きたいと思った人生でした。
活動報告でも宣伝していますが、9月29日に新作恋愛小説「異種☆恋!」執筆開始致しました!
「まさかエレキがこうも容易く…!?」
「マシロは俺達の中で最弱…そいつに負けるとはさっきの覇気もただのお飾りだったようだな?」
実は最強の亡世の支配者ですとは言うわけにはいかない。あまり歴史の中で亡世の支配者はよく思われていないのだ。何と言っても生前のマシロは力で全てを支配した帝王だったらしい。
ここでそんな名前を出して悪夢再来と思われてしまえば新たなる敵として捉われかねないだろう。マシロの正体まで報告しなかったセインに感謝極まりない。
「ぐぬぬ…!ラスタ!今度はお前だ!」
「了解した」
今度は白髪の男を出してくるようだ。見たところ二刀使いか。
シュラは一応持ってきていたカバンから魔王城にて拝借した剣を取り出した。それは真っ赤な剣。俺達が旅に出たあの日に俺が掲げていた特殊な剣だ。
テキストの知識ではこの剣は灼熱の魔剣フォウルグラウだそうだ。過去に魔王を倒した勇者が残していった遺物らしい。
「ほう。魔剣を所持しているとは…」
「あれ、分かるの?」
シュラが何食わぬ表情で魔剣を振るう。まさか一目で魔剣と見抜くとは俺も正直驚いた。
「魔剣使いは勘で分かる」
「へえ、凄いね!」
純粋に褒められ何とも言えない顔をしたラスタは腰に提げた両の鞘から青い刀身の剣を抜き取った。恐らくラスタの剣も魔剣なのだろう。そう思考したところで、ミレリアス王が間に入る。
「準備は整ったようだな?では両者、配置につけ」
「ふふふー、負けないんだからね!」
「俺も負ける気はない」
お互いに火花を散らせ、対峙する。場が静まり、ただ始まりだけを待つ。ミレリアス王が数歩下がり、手を上げた。
「アレチェスカ騎士団第二部隊隊長、ラスタ・リューグネイル対魔王討伐の英雄、シュララ殿。勝負、開始!」
「はあっ!!」
金属音が鳴り響く。先制を取ったのはシュラだ。半分の力とは言え十分に成長しているシュラはたった一歩の踏み込みでラスタの懐に潜り込んだ。だが、凄まじい反応速度でその状態での防御は危険だと判断したラスタは即座に後退し、シュラの斬り上げを両の魔剣で防いでみせた。
「中々やるな」
「まだまだ、これからだよ!」
勢いを増す剣戟。火花が散り、金属音が響き、周囲に緊迫感が漂う。俺は互角に見えるその戦いに一切の心配もしていなかった。
シュラの半分でやっと互角の相手だ。本気を出していれば今頃シュラが勝っているに違いない。ふいに、ラスタの剣が片方離れた場所に突き刺さった。
「…降参だ」
そこでラスタがもう片方の剣も離して両手を挙げる。どうやら今ので自分では勝てないと判断したらしい。
「魔剣使いたる者その手から魔剣を手放した時点で勝敗は決している」
「でも、まだ一本残ってるよ?」
「この氷結の魔剣ラセリアは水神の魔剣ファドゥムがあってこそ真の力を発揮する。一本では力が半減してまともに戦えん」
「だったらまた取って戦えばいいじゃん!」
「言った筈だ。魔剣使いは魔剣を手放した時点で敗北となる。お前も頭に入れておくといい」
それは何かのルールなのか。ただそうとだけ告げるとラスタは魔剣を拾って立ち去ってしまった。冷静さを保っているが、きっと悔しいのだろう。騎士としても、魔剣使いとしても。
「この勝負、相手側の棄権によりシュラ殿の勝ちとする!」
「釈然としない勝ち方だなぁ…」
「後はツヨシ様だけだよ!」
「何気に初めての戦闘になりますが…きっと大丈夫でしょう!」
歓声に混じってテキストが耳元で囁く。せっかく気にしない様に意識していたと言うのに。
俺は高鳴る鼓動を抑える様に深呼吸をして、前に出た。
「では、両陣代表配置についたな?」
「準備は出来ている」
「ここで貴様の偽りを証明してみせるぞ!」
ここまで追い詰められておきながらまだ信じていないのか、副団長は俺を指差して宣言した。追い詰められていると言う点なら俺も同じだが、だからと言って負ける気は一切ない。
念の為、もう一度深呼吸をして落ち着く。肉体的な疲労なし。魔力貯蔵万全。やってやる。
「アレチェスカ騎士団副団長兼第一部隊隊長、ミシェ・ルノワール対魔王討伐の英雄、ツヨシ殿。最終勝負だ。気合い入れて――」
「―――大変です!!魔王軍残党を名乗る軍団が現われました!結界を破られるのも時間の問題かと!!」
何時もタイミングを見計らったかの様に奴らは来る。俺は一人の兵士の報告に、溜め息を吐きながら慌ただしく移動を始める騎士達の後を追うのだった。
『不屈』の加護
女神アルテシア様よりセインが授かった最上級の加護。
この加護の所持者は不屈の魂を持ち、どんな状況に陥ろうが決して折れる事が無くなる。
既述の『勇者』の加護と抜群に相性が良い。




