マリーの日記
9がつ1にち はれ
きょう わたしは とても すごい たいけん を しました
なので きょう という ひ を わすれないために にっき に のこしたい と おもいます
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エルフ達が生活する集落。
森と川のある自然豊かな地にそれはある。
その集落から少し離れた場所。
古い馬小屋とそこを清掃する1匹の幼いエルフ。
馬が1頭飼育されている。
「ふぅ~キレイになりました。アルフさん、後で散歩に行きましょうねー」
その身なりから、豊かな生活をしている訳では無いようだが、幸せそうに満面の笑みを浮かべている。
飼われている馬の毛並みはとても綺麗だった。
余程大切に育てられているらしい。
「ヒヒィィィィィン」
馬が突然鳴き出した。
「アルフ、どうしたの!?」
心配して駆け寄る。
安心させようと首を撫でるが、馬が落ち着く気配はない。
すると、
ズドォォォォン!!!!
馬小屋の周囲一帯に轟音が響き渡る。
積まれていた薪や干し草が崩れ落ちていく。
「ヒィィィィィィィィィィンンッ!!!」
馬が暴れ始め、もはや制御不能だ。
「はわわわ、どうしよう・・・。」
「イタタ・・・。」
小屋の中から見知らぬ少年が姿を現す。
「って、あなた誰ですか!?」
エルフはパニック状態だ。
「えっ?・・・って、その耳は!!」
少年はエルフに急接近し、耳をまじまじと見つめる。
「本物・・・!?」
「あっ・・・あなたは?」
「触っていい?」
「ふぇ!?」
「・・・ダメ?」
困惑するエルフ。
「えっと、ダメじゃないですけど・・・。」
「ホント!?それじゃ早速・・・。」
少年の手がエルフの耳に触る。
「・・・・うぅ。」
エルフの耳は冷たい。
だが、程よく柔らかい。
そしてスベスベでツヤツヤとしている。
「これがエルフの耳か~。」
「////」
照れているエルフ。
ようやく満足した様で、耳から手を離す。
「君、ありがとう!」
とても満足気だ。
「あの・・・。」
それとは対称的に不満足そうなエルフ。
「ん?」
「あなたは何処の誰なんでしょうか?」
「あ、僕のこと?僕は和。よろしくね。」
軽く会釈する。
「こちらこそ!あの・・・私、マリーって言います!」
礼儀正しくお辞儀をする。
「で、何処から来たか聞きたいの?」
「はい。挨拶の時は皆、素性を明かしますので・・・。」
「へ~この世界にもそういう文化?ってのがあるんだ~。」
目をキラキラさせ感激に浸る。
「・・・あのぉ・・・。」
話が前に進まないことにもどかしさを感じるエルフ。
「ごめん、ごめん。僕は多分この世界とは別の世界から来たんだ。出身地は神奈川県横浜市!」
「別の世界?」
「そう、今流行の異世界転生って奴。」
「・・・?」
少年が話す理解不能なワードに首を傾げる。
「あはは。やっぱり分かんないよね。まあ、説明とかは時間があればしてあげるよ」
少年とエルフの会話は続く。