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魔法少女はもう泣かない  作者: 存在X
第二章 『小さな一歩』
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第十二話 ハーブとクッキー

彼女が目を覚ましたのは

日も登ってしまった時分。


時計を探すまでもなく

もうブランチタイム。


顔を洗い

木蘭色の外套に腕を通し

半ば寝ぼけ眼で

身だしなみを整えるべく向かうのは

鏡の前。


写っているのは

長い銀髪にすこし癖をつけ

寝ぼけ眼の茶色い目をこすっている

彼女自身の見慣れた顔。


15年間、付き合っている顔ですから

見れば問題点もすぐにわかります。


寝癖の付いた銀髪に気づき

そこでクスリと小さく笑います。


ゆっくりと、丁寧に。

時間をかけ髪を梳く彼女の表情は

とても穏やかでした。


仕上がりを確認したところで

彼女はニコニコと、満足げに頷きます。


ぽん、ぽん、ぽん、と。

道具をポーチにしまいこみ

うーん、と背伸びをすれば一日が始まります。


「お目覚めですか、エルダー・アナスタシア?」


「うん、貴女はいつも早起きだね、アフア」


「使い魔にございますれば」


尻尾が揺れていることに

彼女はおや、と気が付きます。


心なしか、上機嫌そうな使い魔嬢。


「何か、良い知らせ?」


お分かりなりますか、と首をかしげて見せる白い賢犬。

分かるよ、と彼女は微笑みます。


「船便を見つけてまいりました」


「えっと船便? マルケラスまでのってことかな」


「はい」


ここから、と目で問う彼女。

ぺこり、と使い魔の犬は頷いて肯定します。


「アフア、私、思うんだ。ウォーカーって、やっぱり、木の乗り物に乗っちゃダメな運命なんだよ」


焦り声に対する返答は

微動だにしない論理です。


「乗り物酔いは、別に魔法とは関係ございませんが」


「ばっさりだなぁ……」


「使い魔ですので」


じっと、彼女を見つめる

白犬の双眸に浮かんでいるのは

断固たるロゴスの意思です。


「運命っていうのは、魔法じゃなくてもあるんだよ?」


「ロゴスに反するお言葉づかいでございますね」


じっと、じっと、じっと。

使い魔の眼差しが

彼女を見つめています。


けれども、彼女も『私たち』の一員なのですから。

押してダメならば、引いてみるぐらいの

手管はございました。


「アフア、貴女って使い魔っていうよりは、学者先生じゃないの?」


「よい淑女たるもの、勉学も怠りませんので」


にべもない返答。


これは、ダメだなぁと彼女も

論難はあきらめざるを得ないと悟っているのでしょう。


「……うへぇ」


淑女には、少々ふさわしからざる声。


零れ落ちてしまったそれは

白き使い魔の双眸をぎろりと光らせるにたるものです。


「また、そのような」


「勘弁してよ……」


「まぁ、ご安心くださいませ。今度の乗り物は、きっとエルダーのお気にも召すことかと」


「もー狭い空間で、がたごと揺られるのは嫌だよ。運河用の船だって、船倉のよどんだ空気は一緒じゃん!」


「ご安心くださいませ」


「じゃあ説明」


「はい、かしこまりました」


宜しいですか、と使い魔は説明を始めようとしました。

ですが、と申し上げるべきでしょう。


彼女の性格をよくよく承知しているのですから。

お話の前に、飲み物と小道具の用意にも抜かりはございません。


宿の人に手配を依頼したのは

ジンジャーブレッドとカモミールの温かなお茶。


10時のお茶、と世間では申すのでしょうか。

優しいカモミールの芳香と

程よいジンジャーブレッドを軽い朝食代わりにいただきつつ

彼女へ使い魔は説明を始めていました。



語るのは、運河を使った水運の歴史。


水の流れをいかにして、社会が活用し始めたか。

滔々と流れる水がごとく

叡智を使い魔が彼女に説明を始めています。


ああ、とそこで使い魔が思い起こすのは

『私たち』へこのようなお話を申し上げた日々のことでした。


懐かしくもあり。

どこか、忌々しくもあり。


それでも、『私たち』の記憶なのですから。

『私たち』のために、

彼女と白犬は語り継ぐでしょう。


それが、彼女たちの旅路なのですから。

容貌の描写はもう少しあった方が、よいのかな……?


悩ましい限りです。


あれが足りない、こーいうのが欲しい、逆に『これは余計だ』等々コメントを頂戴できますと大変に幸いです(;´・ω・)

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