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第18話 「前日」

 




 透明な日差しに照らされて、白煉瓦の街並みは光を放って輝いているように見えた。

 午前八時にもなると、もう人の姿も多く見られるようになってきて大通りも賑やかになってくる。

 人の歩く音、人の話す声が、早朝は薄明るく静かだった王都を埋め尽くしていった。

 わたしは一昨日宿泊した宿屋とは逆方向、つまりディアンに連れられた湖のある方角に向かって歩いている。




「えっと……。アリシアちゃん? この通りになにかいるの……?」




 アリシアはわたしの肩を後ろから掴んでいた。お助け隊の拠点を出たときからこうしている。端から見れば、おそらく前方に何かいて、それに怯えているように見えるだろう。

 適性判断のときもこうしていて、昔からの癖らしい。


「そういえば、アリシアちゃんはいつから王都に?」


 そう問いかけるとアリシアは肩を掴む手を緩め、空を見上げて考える素振りをした。


「エレナちゃんは王都の外から来たんだっけ? わたしはずっと王都に住んでたんだ」


「そうなんだ! ……ってことは王都の地理に詳しい?」


「……少しは」


 アリシアはそう呟くと顔を少し傾けて、優しく微笑む。

 その笑顔はわたしの中の疲れを取り除いてくれるような、愛おしいものだった。

 天使か。そう思った。背後の太陽の光によって、アリシアに後光が差しているように見える。神々しさというか、彼女に会ったばかりのときとはちが違う、不思議な気高さを感じる。

 こうしてアリシアに触れられていると、体の筋肉が緩む感覚に陥るのは気のせいか。


「そういえば、アリシアちゃんがどんな超人か聞けてなかったね……。えっと、強いの?」


 わたしがそう聞くと、微笑んでいたアリシアは困った表情をして、掌をこちらに見せるようにした。


「全然、強くなんかないよ。わたし自身、なんで対帝国抵抗部隊に配属されたか……」


「アリシアちゃんもわたしと一緒の部隊なんだ。でもこの部隊に来たってことは特別な超人なんじゃ……? アリシアちゃんの力って一体」


「わたしの口からは言えない。守秘義務っていうのがあるみたいで」


「守秘義務?」




 わたしが聞き返したところで、お助け隊拠点裏の大通りに出たようで、人混みの声にアリシアの声はかき消されてしまった。

 裏の大通りは、賑やかで活気のある表の大通りとは違い、少し落ち着いた雰囲気があった。

 道の脇には洒落た喫茶や花屋が軒を連ねている。表の通りのように八百屋や鍛冶屋などはなく、少々敷居の高い印象を受ける。少し散策してから、脇の店に入ろうと、わたしとアリシアで話し合った。


「そういえば、あの人は今日はどうしたの……?」


「あの人?」


 唐突にアリシアに聞かれ、心当たりが思いつかなかったので聞き返すと、一瞬硬直したアリシアは少しだけ困った表情を見せた。


「ほら、適性判断の前に一緒にいた。彼氏……さん?」


「えっ!? ディアンのこと? ないないない! 誰が……」


 慌てて弁明すると、アリシアは残念そうに、表わすならしょんぼりとした。


「ディアンとは会ったばかりだし、今日はディアンとは別で行動しようかなって思って」


 わたしがそう言うとアリシアはそっと微笑み、続けた。


「エレナちゃん」


「?」


「ディアンさんとすごい仲よさそうだったから」


「そ、そうかな?」


 特に自覚はなかったが、アリシアがわたしがディアンと一緒にいるところは僅かしか見ていない筈だ。ちょっと見ただけでわかるようなくらい仲よさそうにしてたか? などと考えていると、目当ての店を見つけたのかアリシアは目を輝かせながら前方に向けて指をさした。

 店先には赤丹色の花壇が置かれ、色とりどりの花が咲いている。

 そこにはテラスもあるようで、茂みが包み込むようにあった。

 王都の白い街並みの中で、白煉瓦と赤煉瓦で作られた建物に、茂みの緑が鮮やかに主張している。

 扉をくぐり抜けると、カウベルのカランコロン、という心地よい音が耳に入ってくる。

 客はいたが、満席ということはなく店内は静かだった。木目はマガボニーのようで、暗い色味に赤みを含んでいた。全てが相まって、店に立ち入ったわたし達を癒してくれているようでいた。


「わー、すごいおしゃれなお店……」


 わたしは無意識に小声で言葉を発していた。わたしの飾り気のない服装が浮いているのではないか? と思えてきて、少し恥ずかしくなってくる。

 するとカウベルの音を聞くなり、カウンターの中から赤みと緑を含んだ、暗い色合いの制服を身につけた人が出てきた。


「二名様ですね。ご案内いたします」


 故郷の大衆食堂の賑やかな雰囲気とは全然違う。これが王都か。

 案内された席につくと、アリシアは即座にメニューを手にした。


「……どうかな。お気に入りの場所なんだ」


 店内を懐かしむように見回すアリシアに習い、わたしもそうする。

 ふと天井に目をやると、吊り下げられた照明が白い光を疎らに放っている。

 どうやら直接光を放っているのではなく、外から受けた光を反射させているようだ。

 カウンターの奥の棚には、蜜漬けの果実や、酢漬けの野菜などが詰められている瓶が並べられている。どこに目をやっても、洒落たものばかりが目に入ってくる。

 アリシアとでなければ、おそらく足を踏み入れてていなかったであろう。

 おそらく口でも空いていたのだろう、そんなわたしを見て、アリシアはわたしの様子を伺うように名前を呼んだ。


「エレナちゃん? はいメニュー」


 受け渡されたメニューを見てまず驚愕した。これもまた故郷の大衆食堂とは違っていた。

 メニューに料理の写真がついていないのだ。


「写真とかついてないんだね……?」


「ついてないみたい。だから知らない名前の料理を頼むとなにがくるかわからないんだ。エレナちゃん今どんなのが食べたい?」


「えっと……。まだお昼にもはやいし甘いもの、いただこうかな」


 そう言うとアリシアは「こんなのどう?」とメニューに載っている、料理を説明してくれた。

 暫く審議してから、苺や木苺があしらわれたパンケーキを二人で注文した。


「アリシアちゃんとは第一次試験以来だね」


「本当だ……。その時はゆっくりできなかったから、ちゃんと話すのはこれが初めてかも」


「はは、じゃあ改めて、対帝国抵抗部隊所属、エレナです。よろしく」


 わたしは座ったまま小さく敬礼をすると、アリシアも、小恥ずかしそうにしながら同じように敬礼の姿勢をとった。


「同じく対帝国抵抗部隊所属、アリシアです。よろしく、エレナちゃん」


「うん」


 2人で微笑みあう。アリシアの笑顔は相変わらず、天使のように愛くるしかった。


「アリシアちゃんは王都に住んでるんだよね? このお店にはどういう思い入れが……」


 わたしが尋ねると、一瞬凍ったようにアリシアはテラスの見える窓の方を眺め、かえす。


「昔、お母さんによく連れてきてもらってたんだ」


 アリシアの表情は過去を懐かしむようでもあり、どこか悲しげで、儚かった。

 笑顔を作っていたのはわかるが、その目は笑ってはいなかった。

 もしかして聞いてはいけなかったのか。もしそうならと思うと申し訳なくなる。


「お母さんと……。仲よかったんだね?」


「ううん。お母さんはどう思ってたのかわかんないけど」


「わかんない?」


 わたしが恐る恐る聞いたところで、アリシアはわたしの顔を一瞬見たが、すぐに反らす。


「わたしは、雇われた使用人に育てられていたんだ。家族はわたしが超人であることをあまりよく思ってなかったんだと思う。本当のところはよくわからないけど」


「そう、なんだ……。でもここ、お気に入りの場所って」


「わたしとお母さんは別々の家で暮らしてたんだ。でも月に一回、お母さんが会いに来てくれた。そのときに連れてきてもらってた。ここではお母さんの笑顔が見れた」


 アリシアの表情が和らぐ。


「わたしは、アリシアちゃんのお母さんはアリシアちゃんのこと、好きだったと思うよ」


 ここまで話してあることに気がついた。アリシアの「昔、お母さんに連れてきてもらってた」という言葉。

 もしかしてアリシアのお母さんはもう────。

 わたしの不安そうな顔を見て気を使ってくれたのか、アリシアはわたしに微笑みかけ言った。


「ありがとね。エレナちゃんの話も聞いていい?」


「いいよ。なんでも聞いて!」


 わたしは沈んでしまった空気を持ち直そうと気丈に振る舞った。

 そこで注文していた料理が届く。

 白く円形の、平たい皿に手のひらほどのパンケーキが二枚置かれている。その上には攪拌された生乳と真っ赤な、おそらくベリー系のソースがかかっていた。小粒の苺や、木苺と共に飾られた薄荷の葉が全体を引き立たせている。


「わー美味しそう!!」


 わたしは思わず感嘆の声を漏らしていたし、アリシアの顔は幸せそうに緩んでいた。

 そこからは他愛もない話をしながら、料理を食した。




「エレナちゃんは明日の盗賊確保作戦、行くんだよね」


「……うん」


 少し重たくなったお腹を摩りながら通りを歩いていると、横にいたアリシアは言った。


「ごめんね、わたしは行けないんだ」


 アリシアは泣きそうな顔をしてしまった。


「そんな顔しないで、アリシアちゃん」


 わたしがアリシアの肩を掴むと、アリシアは顔を上げわたしの顔を見つめる。


「わたしは今回の作戦には参加できない。盗賊たちを確保するこの作戦、わたしを危険に晒せないから行っちゃダメだって。わたしは"切り札"だからって」


「切り札?」


 クロエさんが"異質の能力"と評価した、アリシアの超人の力が関係しているのか?

 ちょうど雲が太陽を隠し、通り全体が暗くなる。冷たい風が背中を舐めるようになぞった。


「わたしの手を握って」


 アリシアは眉を寄せ、そう告げる。一瞬きょとんとしてしまったが、すぐにそうする。両手をアリシアの両手と絡める。




 アリシアのでは細く、なめらかだった。柔らかい。

 アリシアはわたしの手を握る力を強めた。


「エレナちゃん、いくよ」


「えっ?」


 アリシアがそう一言呟くと、体の力が手先から抜けていく感覚を味わう。

 喉の奥でなにか柔らかいものが痞えるようだ。体の緊張、そして筋肉も緩む感覚。

 足が震え、蹌踉(よろ)めいてしまう。




「あぁっ、エレナちゃん、ごめん」


 蹌踉めくわたしの手を握ったアリシアは、そのままわたしの体を起こしてくれた。


「なんか……。変な感じだった」


「力を使った」


 ほとんど一瞬の出来事だったが、その感覚は確かに感じた。何の能力かはわからなかったが。

 守秘義務があるから、口ではもちろん言えないだろうし、本当ならわたしに対して力を使ったことだって、教官たちに知られたら処罰を受けるかもしれない。

 ただ、手を握った状態で能力を発動させたということは、対象者に触れた状態でしか能力を発動できないのか。

 もしかしたらアリシアの肩を掴む癖は力と関係しているのかもしれない。

 そんなことを考えていると、背後に気配を感じた。瞬間。




「よっ! 元気にしてるか?」




 馴れ馴れしく話しかけてきたのは、藍色の髪を後ろで束ねた青年。その額にはゴーグルがある。

 大きく筒状に、顔の下半分を包み込む襟元をした重々しい服は、革の生地と相まってか重々しく感じさせる。

 肌は白く、下衣は逆に膝より少し上で切ってあった。


「お会いしたことありましたっけ……?」


「あっれ、俺のこと知らない? 知らないよねー」


 青年は残念そうに自信の後頭部を摩る。

 彼が言ったように、わたしはこの青年を知らない。おそらく会ったことすらないだろう。


「アリシアちゃん、知り合い……?」


 わたしがそう聞くと、少し考えてからすぐにアリシアははっとした表情になった。

「エレナちゃん、多分、この人教官だよ。お助け隊の拠点で見たことある……、気がする」


「おっ、そっちのお嬢ちゃんは俺のことがわかるみたいだな! 感心感心! そうだ、俺はお助け隊教官、ランドだ」


 目の前にいるランドと名乗った教官は、同じ教官であるヘレスさんやクロエさんとは違う雰囲気を持っていた。

 ジェラルドさんとも違う、明るいというか軽い印象を受ける人だ。


「す、すみません……。教官とも知らずに失礼なことを」


「ん? 大丈夫大丈夫! そんなことよりクロエ先輩から召集、かかってるぜ」


「すぐ行きます! ……アリシアちゃん、ありがとね」


「ううん、わたしも楽しかったよ」


 わたしとアリシアは、ランドさんに連れられてお助け隊の拠点に戻った。

 ランドさんはクロエさんの後輩なのか。クロエさんはランドさんより若く見えるが。

 ランドさんが後からお助け隊に入ったのか?

 というより、もしかしてアリシアの能力を体感したところを見られたんじゃないか。







 お助け隊拠点、地下の長官部屋にわたしたちは召集された。

 長官の椅子に座るルキウスさんの前にクロエさんが仁王立ちしている。

 わたしたちが来たのを確認すると、クロエさんは少し横へ寄る。


「急な召集をかけてすまない。今回、我々対帝国抵抗部隊だけでなく能力の高いお助け隊隊員も本作戦に参加することが決定した。彼らと共に、盗賊たちを捕らえてほしい」


 ルキウスさんは白い髭に隠れた口を動かした。


 そこにいたのは、お助け隊の紋章を胸につけた男性二人。

 適性判断のときに見かけた記憶がないのでおそらく先輩隊員だ。

 ディアンは長官の椅子の向かい、左側にいるその二人の方を見つめている。

 この部屋にアリシアはいなかった。




 一人は明るい髪色をしていて、そのさらさらとした髪は目にかかるかかからないかというとこまで伸びている。

 体格はその身長にしては細長いように見える、長身の男性。ヘレスさんと似たような正装をしているが、その衣服はヘレスさんのものとは違い黒かった。


「エドモンドって言いますー。こうやって、対帝国抵抗部隊と一緒に動けるなんて、光栄です、へへ。やっぱみんな強そうっすねー」


 その顔には、仮面のような笑顔が浮かんでいた。

 なんというか、ディアンとはまた違う飄々とした印象を受ける。

 胡散臭さの裏に隠れた不気味さと、その余裕そうな態度からひょっとしたらものすごい実力者なんじゃないか? と感じさせる。


 もう一人の男性は、エドモンドと名乗った隊員と対象的な黒の髪色をしていた。その髪は腰ほどまで伸びており、後頭部で結ばれている。

 その代わり前髪はすべて後ろに流されており、彫りの深い顔は白い肌をしていた。エドモンドと同じ衣服を身につけているが、エドモンドよりもしっかりした体格をしており、身に張り付く布に余りはないようだ。


「エドモンド。無礼が過ぎるぞ。俺の連れが失礼した……。俺はクライヴ。国家安全保障支援部隊隊員だ。対帝国抵抗部隊と共に作戦を遂行できること光栄に思う」


 二人が紹介を済ませると、クロエさんは二人の前に仁王立ちして、腕を組む。


「今回の作戦に参加するのはこの二人と私、そしてエレナちゃんとディアンさんよ! 新入りの二人にとっては初めての仕事ね……。覚悟しなさい」


 クロエさんの口調は自信に満ちた感じというか、なんというか嬉しそうだった。

 そこでヘレスさんが口を挟む。


「喋り方」


「う、本当へレスってそこ気にするよね」


 クロエさんが呆れたように言うと、ヘレスさんは少しむすっとして続ける。


「その喋り方はクロエじゃない……。からな」


 本当に仲がいいな、この二人。

 そんなことを思っていると、ヘレスさんと目があったので思わず目を反らしてしまった。

 しかしへレスさんは気にもかけず、再びクロエさんの方を向く。

 クロエさんはヘレスさんと目配せをすると、わたしたちの方を向いた。

 仁王立ちしながらクロエさんは口を開く。


「王都を出て、郊外まで約三時間。ここからは駱駝(らくだ)で向かう。みんなには目立たないように外套を被ってもらうね。今日の午後十一時から出発して到着予定は明日の午前二時。統率はこのわたし、クロエがするよ! エドモンドとクライヴ、そしてエレナちゃんとディアンさんの五人でこの作戦を遂行する! みんな、準備はいい?」


 クロエさんが問いかけると、わたしたちは「大丈夫です」だとか「おう」と掛け声じみた返事をした。




「あ、あの」


 声をかけるとランドさんは「ん?」と目を大きくしてわたしより少し身長の高い体を屈ませ、こちらに耳を向けた。


「どうして、さっきわたしたちがあそこにいるってわかったんですか……?」


「んー? たまたま、かな?」


「そ、そうなんですか……」


 召集がかかってすぐにランドさんが伝えに来たとすれば、おそらくわたしかアリシアは教官につけられている…。

 ルキウスさんが言っていた"統率・監視"というのはこのことを言っていたのか?

 どちらにしろ、自分の行動をいつも見られることになると思うのはいい気がしなかった。




 そこからは、 支度を済ませてから駱駝を王都の城門まで運んだ。


「食糧に医療道具、とりあえず準備はこれでよし、と……。みんな、支度は済んだ?」


「ん、俺はできてる」


 ディアンが相変わらずぶっきらぼうに言うと、クロエさんはディアンの方を見ることなく、わたしの方を向いた。


「エレナちゃんは準備、いいかしら?」


「あっ、大丈夫です。いつでも出れます」


 ヘレスさんがいないところではその喋り方をするのか。

 そう思ったところでふとディアンの方を見ると、ディアンもこちらを見ていた。困惑した表情で。

 わたしと目が合うと、ちょうどクロエさんが馬車の方を向たので、わたしはディアンの方へ忍び足で走り寄る。


『ね、ねぇ……なんかクロエさん、ディアンのこと無視してなかった……? ディアン、なんかしたの?』


 限りなく声量を絞って小声で話す。


『し、してないって……! なんだ、俺クロエさんに嫌われてるのか?』


『さ、さぁ……わたしはわかんないけど……。心当たりとか……』


『ないないない。というかまだクロエさんと喋ったことないぞ……』


 ディアンの言葉に合わせて彼の手も空気を仰ぐように動く。


『そ、そうなの……!?』


 二人でひそひそと話していると、今度はエドモンドとクライヴが挙手をした。


「あ、俺たちも大丈夫っす」


 エドモンドがそう言うとクライヴは尾のような、結んだ黒髪を揺らしながら続ける。


「……俺もだ」


 その一言を聞き、クロエさんは先程やったようにふたたび腕を組み仁王立ちをした。




「じゃあ、対帝国抵抗部隊、盗賊確保作戦。出発よ!」







 彼女が高らかに宣言すると、わたしは拳を強く握りしめた。

エレナちゃん達の本当の初仕事がはじまります。

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