魔物討伐実習終了
あらかじめ持って来ておいた、水筒の水を口に含み、『ごぉらぉらぉ.....プシュ』
軽くうがいをした。
そして、もう一度足を踏み入れた茂みの方へ、戻る
そこには、クラス全員の死体が、見るも無惨な姿で転がっていた。
「つい30分前まで、一緒に笑っていたのに」
まぁ笑っていたと言うより、同じ空間でってだけなのだが。
友達が居ないと、表現に苦しむ。
「おやおや!!!ネズミが一匹残って居ましたか?」
どこからともなく、声の用な音が聞こえてくる。
すると、人形の魔物イヤ魔神が、三人木の陰から、出てきて何か言っているが、魔神達の言葉が分からない。
「またこいつも、さっきの子達と一緒か、「そのようだ、楽しそうに私たちのペットを狩りに来た愚かなものたちよ。」「こいつも、殺しておくか?」そうしよう!さもなくば、我々が殺されるかもしれん」
魔神達は、勝手に話をまとめたのか、言葉が分からなくても、何か良からぬ事を考えている時の、顔をしている。
まぁ最初から悪い顔だし、見分けがつきにくいけど、何となく頬の緩みで分かった。
さてどうするか。
あっ
「へッへッへチョロイ」
ちょっと考えた隙に、半径一メートル程の間合いを開けて、囲まれてしまった。
魔神の一人は、レイピアで使われる細長い剣を、もう一人は、拳を握り顎の方にそろえ軽快なステップを踏んでいる。
そして、リーダー格の用な魔神は、自分のまわりに、星形のものを置き何かを唱え出した。
まずい、下手しあれは、まじゅ?つだ昔聞いたことがあった、魔族の中でまあまあ強い奴等の中には、魔術という奇っ怪なものを操る奴が居ると、その攻撃を交わしきれなかったら最後、当たった部分が消滅すると。
確かそんなだった。
どうするか?
「良し、殺るしかない、ホォォォ」
魔神の動きを止めるため、大声を出してみた。
・・・・
だが止まらなかった、何か叫んだぞみたいな顔をしただけであった。
だが、魔術を集中している奴が、失敗したのか俺の後ろで、跡形も無く吹き飛んだ。
「あいつ、バカだ!思わねぇか?」
「そうだな!人間の声に集中を切らしてしまった、あぁなって当然だ!」
何か二人で喋り出した、若干だが魔神の動きが止まった。
良し今だ。
『シャッ』
『スタッ』
ステップを踏んでいた魔神が、ステップを辞めた、瞬間に魔神の二人に勘づかれないスピードでステップを辞めた魔神の背後に回り込んだ。
「なッ何?」
「後ろだ!後ろ~!」
「遅い」
右手で魔神の首を掴み、力一杯握ってみた。
『グググ』
今にも吐きそうだ、自分でやっておきながら、まだ戦い方に慣れていない。
『バキボキッゴト』
うさまじく、鈍い音と共に魔神の首は、消え残ったのは、切り離された首から上と胴体である。
それらは今、俺の周りに転がっている。
レイピアの剣を持った、魔神は剣を地面に突き刺し、肩を落とし座り込んだ、その行為からは、殺気を感じなかったので、近づいてみた。
「おい!言葉通じるか?」
「ん?あぁ」
何かこいつには、通じているらしい。
「君の力をあなどっていたよ、君には僕たちじゃ勝てない、どうか気がすむように、殺ってくれ!」
「まぁ襲ってきたから、本気出したけど、もう少し話をしてくれたら、変わってたかもな!」
「そうだね!さぁ……最後に君の名前を聞いても良いかい?」
と言いながら、魔神は剣を抜き斬りかかって来たが、既にバックステップを取って殺す準備をしていた。
魔神に名を名乗るか!
「俺はジン!たんていさ」
「たんてい?何それ」
「俺も知らん!お前の名は?」
「僕はマサトシ!トシって呼んでくれ!」
魔神のくせに、意外と普通な名前だった。
「さぁジン!殺れ」
剣を地面に突き刺し、両手をあげもうお手上げみたいな顔をしている。
「そう早まるな!最後に聞きたいことがある!お前達は魔神の中でどれくらいの、立場なんだ?」
両手を下ろし、活き揚々と喋り出した。
「僕等は、さっきの二人も同様、魔神イヤ魔族の中で最弱の方だ、魔術を使えるからと言って強くなければ意味がない。
そして、僕等は格好だけの、子供に過ぎない、そして魔族には王が存在する。
その王の名は!『グシャ』ガハ」
マサトシが王の名を明かそうとしたとき、マサトシの胸が二メートルくらいの細長い剣に貫かれた。
「マサトシ、喋り過ぎたお前は、裏切り者だ、死ね。」
貫かれた剣は、更に深く刺し込まれ、マサトシを胸から上に、割いた。
「ウッ」
吐き気を我慢できた。
そして、マサトシの死体を跨ぎ茂みの奥の暗がりから、身長約2メーターくらいの、魔神が出てきた。
全身鎧で、顔は兜に覆われており、表情を読み取ることはできない。
「マサトシは、さきも言った通り、喋り過ぎた、魔神王に定められた魔族にとって、忠誠を誓う為の守秘義務だ!
そして、それを破り喋ったものは、たとえ魔族だろうが、斬り捨てねばならない、見苦しい所をみせてしまった。」
「まぁ喋らそうとしたのは、この俺だ!
お前が謝る必要は無い」
と言いながら、身構える。
「そう警戒せんでもよい、貴様の力使い勝手によっては、魔族を陥れる事も容易では無いだろう。
だがそれくらい、力をつけた貴様とも戦ってみたい、だからもう少し鍛練を積むがよい、今日の所は見逃してやろう。どうだ?」
どうだって、確かにいきなり得た力で戦ったが、体力はついてこない。
しかも連戦となると........イヤしんどい、ここは話に乗っておこう。
「あぁその提案、乗ろう!だがしかし、一緒に後ろを向き約3秒でここから離れる!!!!良いな?」
「なぜ3秒?」
「お前の素早さなら、後ろを向いた瞬間に、背後をとる事は容易だろう、だから3秒あれば逃げ切れると、思ったからな!」
「そういう事か、だが背後をとるような、卑怯なマネ........と言っても信用がとか言うのだろう?
あぁでは先に後ろを向こう!」
と言い、魔神は後ろを向いた。
「じゃあ次に123で、向いた方向に走り出す、良いな!」
「あぁ」
「1」
と言い後ろを向く。
「2」
足に力を込め向いた方向を一直線に見る。
「3」
地面を強く蹴り、走り出す。
魔神も同じように、走り出したようだ、そして3秒後後ろを向いた、魔神は居ない、どうやら約束を守ってくれたらしい。
なんというか、肝が座ってるというかなんというかって奴だ。
そして街の門を目指す。
街の門に向かう途中、魔オオカミが出たが、軽く牙をもぎ取り、ナイフで首筋をかききり、魔オオカミの動きを封じた。
まだ息があり、のたうち回っているがそれは無視しておこう。
・・・・・
門に着いた。
「日も暮れて来たし、明日にでも先生に報告をしよう」
そう思い、家に向かう。
家に帰る途中、カナエを除いたクラスの皆の親らしき、大人達が門に向かって歩いて行っているが、それは置いておこう。
・・・・・・
家に着いた。
家の扉が開いている、無用心だ。
「ただいま…」
お母さんの返事が無い、どうしたのだろうか。
リビングに母の姿はあった。
「ただいま…」
だが返事を返して来ない。
そして、近づき状態を起こして、吐きそうになった。
母の頭が無かった。
「母さん?母さん?.....かあさーん」
その日から三日間、家を出ず学校にも行かず、部屋に閉じこもった。