表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私が月に行く件

作者: 緋桜 雪

どうやら、私こと柊真琴は月へ行かなければならないらしい。

地球の未来のためだとか。

いや、正確に言えば幼なじみの草川京がなんだけど。

何故か巻き込まれた。





遡ること二日前学校から帰ると、お隣さんである“草川さん”の家の前にリムジンが止まっていた。

何が起きた?と呆然となっていた私だが、まぁ、関係ないだろう。親戚でも来ているんだろう。と気楽に考えていた。


思い返せば、小さい頃なんて月1で止まっていたのだ。

見つける度にはしゃいでいたけど、ここ8年くらい見かけなかったから、すっかり忘れていた。

なぜ今更?という疑問を心のそこに沈めて、今日のおやつはシュークリームだったかな。なんて考え、家の前でニヤニヤしていたあの時の私を殴りたい。


丁度出てきたみっちゃん(草川の母)に

「あら、まこちゃん。グッドタイミングよ」

とニコニコ笑顔で家の中へ連れ込まれた。

「みっちゃん、私はシュークリームが食べたいのだよ。」

なんて言ってみたら、

「駅前の人気でなかなか食べられないと噂のシュークリームがあるわ。食べてから帰りなさいな。」

と言われ、全力で頷いていた。

食べ物につられたのだ。

間違っていたと気づいた時には既に遅く、リビングには京ちゃんとテレビで(一方的にだが)お会いしたことのある我が国の天皇陛下と首相様、パソコンには各国の首長様がいらっしゃった。解せぬ。


促されるまま、京ちゃんの隣に座ると、話を再開していた。宇宙がどうのこうの、月に行くなど訳がわかんなかったが、シュークリームが来たのでとりあえず、後で京ちゃんに聞くか。

などと難しいことは後回しにして美味しくシュークリームを頂いた。

「……と言うことでよろしいですか?」

天皇陛下のお言葉に頷いた京ちゃんは私に

「真琴もいいよな?」

と言った。何のことかわからんが、京ちゃんが言うことは昔から正しくて今回も京ちゃんがいいっていっていることに間違いなんてないはずとあっさり頷いた。

では失礼と言って去っていったお偉い様方を見送って

「なんの話をしていたの?」

って聞いたら、やっぱりなと苦笑いしていた。

「一言で言うと、月に引っ越すことになった。」

「あぁ、そう。」

と生返事で返し、事の大きさに気づいたとき、絶叫した。

「月って空気のないところ?あのつきだよね?そんなとこ行って京ちゃん死なないの?」

などなど質問攻め。

落ち着けと言われて、落ち着けるか!!と返したら、軽く叩かれた。

「俺の家族全員地球人じゃないんだよ。だから、問題ない。」

あっさりとさらりと放たれた京ちゃんの言葉理解できません。

地球人じゃない?アメリカ人とかインド人とか?間違えた地球人か。

日本人じゃないと聞き間違えたんだよね。

だって異国風の顔立ちだもん。京ちゃん。

脳内変換は合っていて、聞き間違えだ。

だから気にしない気にしない。……って、はぁ?

「ようやく戻ってきたね。俺は正真正銘オルディアっていう星の出身だからね。」

何処だそこ?とりあえず、なんだかわかんないけど、京ちゃんは宇宙人なんだね。

「宇宙人ってさ、酸素なくても大丈夫なのか?」

だって、月ってないんでしょう?酸素。

「まぁ、少しくらい吸わなくても平気。真琴もだろ?」

は?なんて言った?いや、私正真正銘地球人でして、酸素命!?なんだよね。

だって息止めてたら……

あれ?平気だったような……

水泳息継ぎいらなかったなそう言えば、

「真琴もオルディア人だね。俺たち見張り兼護衛だし。にしても、真琴知らされてなかったんだな。オルディア語話せるのに。」

何だその言語。

「もしかして家族だけの秘密の言葉ってやつ?」

柊家には何故か他人に話すなと言われている言語があり、生まれた時からそれを含め十ヶ国語以上は話している。

日本語で会話していたと思えば、いきなり英語を話し出したり(母が)、英語きたかと思ったらフランス語にかわっている。

今思えば、おかしいよ。お母さん。

「じゃあ、みんなに話して、早口で理解できない。とか、何語だよ、それって言われたあれが!?」

「みんなに話したのかよ……………

多分それだな。って事で、明後日には出られるように準備しろよ?」

なんで私もなのよ。

「お前んとこも、一緒に行くんだよ。さっきいいって言っただろ?」

いや、私知らなかったし。

「まぁどっちにしろ、お前んとこの母さんと父さんはオッケーしてると思うよ。見つかってるし抵抗はしないって言ってるからな。」

見つかったって何が!?

なんか、腑に落ちないな。





こんな感じで私は月へ行った。

なんか一気に家ごとで引っ越し。魔術らしい。

何でもありだな。

そして、どうやら地球から見えない月の裏側が宇宙と地球の中継地点らしく、色々な宇宙人と出会った。

人型が多かった。そして美形。

たまに人型じゃないのもいたけど。




酸素じゃなくても息はできてる。

微かに空気があるようで。本当に少ないが。

本当は呼吸という行為が必要ないらしい。

お母さんいわく、小さい頃の私は呼吸をしていなく、というか出来なくて自然にできるようになるまで、外には出られなかったらしい。

一度出てみたら、呼吸していない私に周りの人が不自然な子だと遠巻きで見ていたらしい。

流石にどこが不自然かなんて気づかれはしないが、とにかく大変だったらしい。

視線がね。お疲れ様です。




お母さんはオルディアの姫でお父さんと恋に落ちた為、駆け落ち。

お父さんは王宮で護衛をしていたらしい。

国を裏切っていいのかよ。

って突っ込まなかった私を褒めて欲しい。

まぁそんなこんなで地球に来たんだって。

何年か過ごしていて、隣にみっちゃん達が来て、見つかっちゃった、あはは。

って言う感じだったらしい。

私に地球人じゃないと言わなかったのは気づいていると思っていて、じゃあ面倒だしいう必要ないね。そして、それ以来忘れていたと。酷いよね。


なぜだか、地球を出ると耳が生え尻尾も生えてきた。これが本来の姿だなんて受け入れられるか!!




私、柊真琴はオルディアの勉強をしながら月で生活中です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ