第4話 今日から新メンバー?
今回から日付は変わり4年後の春。
癒亜は21歳。涼介は20歳。約束した年。
みんなはどう変わってるのだろうか。
久しぶりの日本だ。やっぱりふるさと日本の空気はなんか安心できる。
思い出の校舎であるあの学校は新しく改築され、綺麗になっていた。
現在は第1寮と第2寮しかないらしく、今後は別の人数の少ない男子校と
合併させて人数の多い寮学園にするらしい。
さて、パリではいろんなことが出来た。まずフランス語がぺらぺらになれて
おいしいものをいっぱい食べて、パリで出来た友達と一緒に
海でイルカショーを見たり、実際にイルカに乗って泳いで見たり。
写真もムービーもたくさんとった。
そして時々日本の状況を日本に留学しているパリの友達と連絡しあったり。
本当に楽しい時間だった。
今日は4月10日。桜があちこちで満開を迎えている。
1週間前に涼介さんから手紙が届いた。
S★Kエンターワールドという大きな建物の社長室に来てと言われ
携帯のナビで待ち合わせ場所に向かった。
全体が透明な大きなガラスで立てられていて、大きな階段が外からでも見える。
そして入り口も大きく、いろんな人が一気に出入りできるようになってる。
屋上からはすごく大きいSweet★Kissって言うのかな?
そのメンバーがカッコイイ衣装でカッコイイポーズを決めてる布で出来たものが
掛けられている。
メンバーは全員で3人。
よくよく見ると右側の人って涼介さんだ。
すごい。あのとき、人気じゃないって言ってたのにこの4年間で
自分たちの事務所が建つほど人気になったんだ。
わたしは芸能界よりも自分の夢でもある保育士さんの夢を叶えたい。
パリで小さい子供を見つけたとき、わたしを見て笑顔になってくれた。
同じ世代の人じゃなくて、小さい子供たちと一緒に同じ空間で
いろんなことをしたいって思えたから。
今日のために買ったガーリー系のファッションで髪も
学校の時は短かったけど今はショートボブくらいなので結べる。
あえて前と違う印象で社長室に向かった。
「薊・・涼介さんと待ち合わせしてた・・あ、あの桜木癒亜です。」
「秘書の松井です。今お呼びしますね。」
外のほうからキャーと聞こえたので、ふと窓のほうに行くと
ファンがたくさんいた。見ると全員若い女性ばかりで
見るからにすごい人数。
カリスマバンドという名がつくほどの人だったなんて知らなかった。
涼介さんだけじゃなく、他のメンバーのお二人まで社長室に入ってきた。
「あぁー!!涼介さん?」
「ん。あっ!」
「学校のときと全然違うような・・。」
「悪かったな。違ってて。」
「それに口が悪くなってる気がします!」
「前の俺とは違うんだ。」
なんと口が悪くて、でもすごくカリスマ的オーラが出てて
とにかく、前の涼介さんじゃなかった。
他のメンバーの2人はすごく優しくて、すごく明るいのに。
「俺は空海聖、よろしく。」
「俺は宮里大、よっ!!」
【よ、よろしくおねがいします!!】
カリスマ性ってこんなに感じるものなんだ。
納得していると、見知らぬ男の人に目隠しされ車に乗せられた?
車で移動している途中にやっとアイマスクを取ってもらえて
見てみると、広くて綺麗な家がポツンと一軒。
「ここはどこ?あなたは誰?」
「わたくしはSweet★Kissマネージャーの笹船です!ども!」
「マネージャーさんだったんですか・・。」
「これがあなたの新しいホームです。共同生活に最適な。」
「きょ、共同生活?」
「今日からあなたはSweet★Kissのメンバーだ。」
「え?」