〓4.好き
俺は有紀奈を追いかけた。有紀奈はまだ廊下に立っていた。
「……有紀奈、さっきはごめん」
俺があやまると有紀奈は何も言わずに走っていく。
「待てよ!」
俺が有紀奈の手首をつかんだ。
「触らないで!直哉があんなことする人だとは思わなかった」
「ごめん」
「そんなにあやまるならあたしの初キス返して!」
俺達はそれから話すことはなかった。
「なぁーお前らどーしちゃったの?」
「別に」
「付き合ってんだろ」
「はぁ?」
「だって有紀奈、お前のこと…」
有紀奈が将也の口をふさぐ。
「ちょっと来て。話たいことがあるの」
「なんだよ。俺は話すことなんてねぇ」
「……」
「用がねぇなら俺は戻る」
俺が席につこうとすると、有紀奈がいきなり抱きついてきた。
「はなせよ。皆が見てる。それに、どうせお前、俺のことなんてなんとも…」
「思ってるよ!」
「何言ってんの?意味わかんね」
クラスメイト全員の前で言われてもなぁー。
「あのさ、じゃあ今日一緒に帰ろ。そのとき話そ」
「うん」
あれから何時間かたち、遂に話すときが来た。
「ほら話せよ」
「あたし実は……直哉がずっと好きだったの!」
「ははぁ?」
「将也の情報集めも近づく為の口実。さっきのは演技」
「んだよぉー」
「で、直哉の気持ちは?」
「俺も有紀奈の事が好き」
「直哉がもてるからあたしがいじめられたんだよ〜」
「そうだったの?」
「そうですよ」
俺達は笑いながら帰った。
いままでありがとうございました。