〓3.最低だ俺。
保健室――
先生はいない。
「ったく…俺に感謝しろよ」
「急に泣きだしてごめんね。勝手に出てさ、止められなくて」
「俺こそ…ごめん」
「いや、頼んだあたしが悪いの!普通こういうのは女友達に話すもんだよね。でもあたし今女友達がいなくて。応援してくれたらうれしいな〜と思っただけだから」
「ごめんやっぱり無理」
「うん。そういうと思った。でもなんで無理なの?」
「それは…。じゃあ今から俺の質問に答えて。そしたら教える」
「いいよ。で質問は?」
「もう泣くんじゃねぇぞ」
「うん。泣かない」
「絶対だぞ」
「もうしつこいな〜。早く!」
「言うよ。お前いじめられてるだろ」
有紀奈はびっくりしてた。
どうせ“なんで知ってんの?直哉には言ってないのに。”とか思ってんだろ。
「い、いじめられてないよ」
「嘘はつけ。」
「う、嘘じゃない!」
「じゃあその手首にあるアザみたいなものは何?」
「ぶつけたの」「本当にぶつけたのかよ。本当のこと言え!」
「……嘘だよ。直哉には心配させたくないからさ。しかしよく見てるね〜」
当たり前じゃん。俺お前を好きだからよく見てるに決まってる。「当たり前じゃん。俺、お前を親友と思ってるし」
「うん!あたしもだよ☆」
「このことは将也には内緒にしとくよ」
「ありがとう。やさしいね」
「どーも」
「あ、そうそう。そっちこそ嫌な理由教えて」
俺は有紀奈の腕をつかんで近くに来させた。「な、何?」
ぐいっ
無理矢理有紀奈にキスをした。
「やだ!」
「ごめん…」
「っ…」
有紀奈は保健室から出ていった。
「あー何やってんの。俺」
ファーストキスは俺のモノ。なのに心は俺のモノじゃない。