嫌いな子
掲載日:2026/03/11
貼り出されたクラス替えの同じクラス欄に彼女の名前を見つけ、私は大きなため息をついた。
「静かな女王様」――それが彼女のあだ名。
男子は最初こそ色めき立つが、会話が弾まず気まずい微笑ばかり見せる彼女を、すぐにいない者として扱うようになる。
しかし女子は違う。彼女はなりたかった少女の夢そのもの。
ビスクドールのようなその美しさを、誰も無視できないからだ。
彼女という存在が、カーストの頂点を問答無用で決める。
『頂点に嫌われないこと』それが今までのルール。だが内向きで人見知りな彼女の登場で、仲良しに選ばれなかった者は、その他大勢へというモブキャラに自動的に格下げされる。
お世辞で白旗を上げても、小動物のようにピクリと驚き、困った顔をするだけ。だから、もうお手上げ。彼女に政治は通用しないのだ。
彼女とその周囲だけ照らす見えないスポットライト。明るい方に、つい目がいってしまう。
透明になった女子達はクラスに爪痕ひとつ残せず忘れられる。
少女にとって、美しさは残酷だった。




