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花嫁は王冠を抱いて ~ヴォワ=デートによるカラフルデイズ~  作者: 紙木 一覇


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第09話 ボッチ寂しい!

「――で、どこまでついてくるの?」


 ファミレスを出て五分。家路へとついたハイ=ルミナの後ろを小さな白いドレスの少女と赤いウェアの少女がゆく。


「決まっているだろう? キミのアトリエ――家だよ」


「当然だ」、そんな風に。


「もう遅い時間だから帰りなさいお嬢さま。脚を反転させるの。反転させなさい」

「もう遅い時間だから近場で寝泊まりしようと思っているのだよ」

「そっちの子はボディーガードでしょ? 安全じゃない」


 エアラリスを指さしながら。


「そう! わたしがいるかぎりヴォワさまには指一本とて触らせません!」

「じゃそう言うわけでさようなら」

「おっと」

「ぎゃふん!」


 走り出すハイ=ルミナ。その靴をガッシとふむヴォワ。当然のごとくハイ=ルミナはすっころんだ。顔から歩道につっぷした。相当の痛みがあったと思われる。


「はっ、鼻が折れたらどうするの⁉」

「オオ、赤くなっているね。ごめんなさい」


 綺麗に腰を折って、謝罪を一つ。


「……素直に謝られると怒りの矛先が行方不明になるんだけど」

「狙ってやっているから」

「狙いかよ!」

「まあ折れてないようだからそうがなるな。

 それよりもこれからについてを話そうではないか」


 パイプをくわえ、ヴォワはゆったりと先頭を歩きだす。


「こらこら、未成年がパイプ吸ったらダメでしょう」

「心配ないよ」

「合法ハーブですから!」

「……なぜキミが言った?」

「会話に入りたかったからです! ボッチ寂しい!」


 合法ハーブだったらいいんだっけ? 頭をひねるハイ=ルミナをよそにエアラリスはヴォワの横に並ぶ。

 その後ろでハイ=ルミナが――


「おっと、路地裏に逃げようなんて考えないように」

「うっ……なんでわかるの?」

「私は感情の色とて()えるのでね」

「色?」


 目を丸くする。


「私は能力といっているが、世間では共感覚や病気というね。まあ詳しくはネットで調べたまえ」

「仕事でしか使わないって言ったでしょ」

「『ハイ=ルミナ』がだろう? キミがそうだとは言っていなかった」

「……ばれてーら」


 さしてくやしくなさそうに舌を出す。


「でも、あまり使わないのは本当よ。ハイだっていくつか作品出しているんだから」

「ほぅ」

「ま、『ハイ=ルミナ』の方が腕あるからハイはおまけだけど」

「自分を卑下するのはやめたまえ。キミはキミで本気でやっているのだろう? それなら全て誇っていいはずだ」


 ヴォワの言葉に、再び目を丸く開く。


「……そんなもん?」

「そんなもんだ」


 そう言われて、初めてハイ=ルミナの口元がゆるんだ。


「ようやっと笑ってくれたね」


 つられてヴォワの口元も。


「――え? 笑ってる?」

「ほほえま~ってやつです」

「……そっか。まいった。まいったね。まいったって言おう」


 満足したように、笑いながら。


「よし、それではあらためて帰ろうか」

「あ、ハイの家に泊まるのは確定なんだ」

「確定だ」


 しかしそこから十分。


「……ふぅ」


 パイプをくゆらすヴォワの口からケムリが吐き出される。呼吸と言うよりため息と一緒に。


「まくか」

「はいです」

「え? うわ⁉」


 突然ヴォワがわき道にそれた。エアラリスは素早くハイ=ルミナの手を引っ張るとその後に続く。


「ちょちょちょちょどうしたの⁉」

「警察をまく」

「は⁉」

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