第11話 偏食は体によくないよ
口調が変わった。あきらかに。
けれどもヴォワたちは眼をすがめるだけでさして動揺はなく。それどころかハイ=ルミナは気づいているだろうか? ヴォワが前に、エアラリスが後ろに陣どっていることに。
二人に挟まれている状態でハイ=ルミナは腰の袋から彫刻刀を四本取り出し左右の手に握る。
「こそこそされんのもキライだがだからって堂々と引っつかれるのもキライなんだよ」
「スキキライが多いね。偏食は体によくないよ」
「問答する気はねーよ!」
「おっと」
ヴォワに向かって切りつけようとするハイ=ルミナ。しかし彼女の脚をエアラリスが素早く払って転ばせる。その上にのっかりハイ=ルミナの首元にナイフをつけた。
「ダメですよ、ヴォワさまに危害はノンノンです」
「……っち」
「エアラリス」
「はいです」
ヴォワは銃弾を一つ取り出してエアラリスの左目の下にもっていく。すると彼女の左目から涙が一滴だけ銃弾へと落ちて。
「さて」
「オイ!」
涙の染み込んだ銃弾を小さな銃にセット。倒れているハイ=ルミナの右肩に銃口を押し当てる。
「なにを――」
「心配しなくていいよ。ちょっとばかり痛いだろうけれどすぐに血液に溶けて消えるから」
「やめろ!」
ガ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッ!
鳴り響く銃声。重なるハイ=ルミナの悲鳴。突然の凶行に見えるこの行為の目的は。
エアラリスの左目は義眼だ。コンピュータで管理されている義眼。内部ではヴォワの視た色が常に分析・解析されていて流れる涙はヴォワが持つに相応しい『銃弾』を造り出す。
「今回はただキミを含む一定以上の狂気を持つものに眠ってもらうだけのものだ。消えるわけではないから安心したまえ」
「……くっ……そ」




