95 転移者達の日々(2)
「「「「ハッ!ハッ!ハッ!」」」」
早矢が騎士と模擬戦闘をしている間、他の転移者達は木剣で素振りをしていた。
木剣が振るわれる度に転移者の額には汗が浮かぶ。
その様子を観ていた年嵩の騎士が口を開く。
「後3セットしたら休憩にします。頑張って下さい。」
転移者達からは声には成ってはいないが、目では何かを訴えていた。
その事に年嵩の騎士は気が付いていたが無視をしながら転移者達と木剣を振り続けた。
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4人転移者達は荒い息を吐きながら地面に座り込みながら口々に愚痴の様な不満を漏らしていた。
「クッッッソ!異世界に誘拐されてやらされる事が素振りや体力づくりって!どうなってんだ!」
オールバックロン毛男の言葉に同調する様に金髪ウェーブも不満を漏らす。
「こんなアニメの様な世界何だから、もっとアニメっぽく強くなれないの?」
金髪ウェーブの言葉に三つ編みおさげもうんうんと頷きこの場に居ない転移者の話をした。
「そう考えると早矢さんは凄いですね。私達が素振りをやっているのは体力づくりと剣を扱える様に成る為ですが、それを免除された早矢さんって体力も剣術も元居た世界の時からあったて事ですもんね。」
「そうね…最初は何でアイツだけなんて思ったけど。まぁ、アレを見せられたら納得よね…」
三つ編みおさげの言葉に金髪ウェーブは、一度だけ観た、騎士と早矢が戦っていた時の事を思い出していた。
そんな3人より少し離れた場所で小太り眼鏡だけが小さく口を動かし誰にも聞き取れない声でブツブツと何かを言っていた。