109 隠密(堂々)部隊 (準備終)
ゴマン配下の魔族が空を見上げている事に気が付いた他の魔族達は同じ様に空を見上げた。
鈍い音が鳴り勇気ある魔族が消えてから数十秒。
空を見上げた魔族達は空から黒い何かが落ちて来るのに気がついた。
逆光で良く見えないがそこそこな大きさで、人と同じ大きさぐらいはある事が分かった。
空から落ちて来る物体が地上に近づくに連れて魔族達の表情が引き攣って行った。
ドシャリ
水気の含んだ物が地面へと叩き付けられた。
「ひっ!」
誰かの引き攣った悲鳴が魔族の集団の中で響いた。
落ちて来た物。
それは、ゴマンへと真正面から反対意見を言った勇気ある魔族だった。
顔は潰れ、身体からは骨が露出している。四肢などは非ぬ方向へと曲がっていた。
「「「……」」」
そんな悲惨な死体を観た魔族達は緊張した様子でゴマンへと視線を向けた。
「他に反対の者はいないか?」
「「「…」」」
ゴマンの言葉に誰も声を出せなかった。そんな魔族達様子を観たゴマンは機嫌良さそに頷く。
「よし!では、今回の作戦を説明する!」
ゴマンは誰も声を上げないのを見て了承したと解釈した。ゴマンの話す声を聞いている者達に物申したい様な表情を浮かべる者はいなかった。
皆、ゴマンの機嫌を損ねる事を恐れているからである。その代わりに魔族達の顔には怯えた表情が浮かんでいた。
そんな魔族達に気づく事無くゴマンは話を続けた。