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幻想神戦 ティアナ  作者: 川端 大夢
第一章 勇者が死んだこの世界で
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異変 (2)

 アインとセロが宿で休んでいる間、カイとルーナは、カイの革鎧の修繕ができる店と、ニコ到着を祝って少し贅沢な食事ができそうな評判のいい食堂探しをかねて町の散策を、ファムは町の教会を訪ねていた。

 アインが聞きたかったのはファムの話である。


 そもそもにして、何の伝手もなくこの二コの町にやってきたわけではない。


 このニコは、キーロス辺境伯がその城を構える辺境伯領内最大の街ではあるのだが、つい数年前までは、教会に司教がいなかった。


 エレーニアは熱心な信者の多い国ではあるのだが、それはごく都市部の話で、まだまだ布教活動がおよんでいないところは少なくはなく、辺境領などでは、教会はあっても、司祭がいればまだましな方である。

 聖王国時代から、この地を納める代々のキーロス伯自身が信者であることもあって、このニコにも教会はあるのだが、先の戦乱の際に、司教がいなくなって以来、その座は不在となっていた。数年前に若い司教が赴任することになるまでは、そこでの大きな祭の際などは、国境近くの隣国の村の司教で、カイたちの養父でもあったフォロンを招いて、執り行ってきた縁があった。キーロスに若い司教が来ることになったのも、そもそもフォロンの口利きがあっての事である。


 その縁があって、一つはエレーニアの王都 テナンの教会への紹介状を書いてもらうために、この二コに来て、ファムに教会に行ってもらっていたのだ。


 二コなら、ファムもルーナも見習い助祭として、フォロン司教について来たことがあり、教会にも顔を見知った人もいるが、テナンには誰も行ったことがなく、無論、知り合いもいない。そんな見ず知らずの大都会にいきなり飛び込むより、情報を収集し、テナンへの伝手も確保できれば……とのもくろみがあって、この二コにやって来たのだ。


 まず紹介状の件に関しては、二つ返事で了承してもらって、ひと月ほど教会で面倒を見てやって欲しいという内容でしたためてもらったものを、明日以降に取りに行く算段になっている。


 おまけに、教会が大地震で壊滅的な被害が出ているというキリルの首都 リオキリルへの支援のための人と物資をテナンの教会に輸送するための馬車に、護衛も兼ねて同乗してもらってもかまわないという話まで付けてきてくれた。


 ファムが教会に行ったもう一つの目的は、こういったリオキリルで起こった大惨事と、その後に関する情報収集である。


 リオキリルだけではなくその近辺の町や村にも、その被害はおよんでいて、正確な被害状況は、半月近く経った今でも、まだ正確には掴み切れていない。しかし、続々と避難民が南下してきていて、エレーニアと国境を接するキリル南西の町や村は大混乱となっていた。


 その混乱は、すでにエレーニア国内も波及し始めていて、王都 テナンへ続く大街道沿いの一番北、キリルとの国境にあるマケロン男爵領では、数日中に国境閉鎖に踏み切るなどと噂が立って、国際間の人道問題になりかねず、王都まで巻き込んだ問題にまで発展しつつある。


 そこで、王都では、急遽、救援隊を組織し、すでに第一陣は、まずはマケロン男爵領を目指して王都を立っていて、ニコの教会にも後続の部隊への協力を求められていた。そのためにニコからも少なからず物資と人を、王都に送る算段になっていて、そこにカイたち五人が同行すれば、色もつくだろうという話もあるのかもしれない。


「キリル国内は混乱を極め、収束への道筋はまだまだ見えていないようですね。この状況下で、エレーニアが、その手助けのための旗振りをするというのなら、選択肢は大きく二つ。ここに残って、経験を積みながら、さらに情報を集めながら、事の成り行きを見定めるか、テナンヘ行くか?今から村に戻るのも一苦労以上のものがあるでしょう。しかも、たとえ戻ったところで我ら五人で何ができるわけではない。」


 ここまでの状況を聞いてアインが提示した選択肢に対して、カイは即答した。


「テナンへ行く。」


 そう言うだろうと他の四人は容易に想像できていた。

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