4.森の主との死闘 ①
森に足を踏み入れると、すぐに数匹のスライムが視界に入った。先程と同じ方法で、一つ一つスライムを倒していく。
数匹倒したところで、草葉の陰から突然一匹の兎が飛び出してきた。
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ラビット
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その無邪気な動きに一瞬心を動かされたが、やがて現実が頭をよぎる。この世界では、生き残るためには強くならなければならない。そのためには、目の前の兎を倒すしかない。
ぴょんぴょんと跳ねる兎に、私は背後からそっと近寄り剣を振り下ろした。その一撃が兎の命を終わらせる。
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レベルアップしました
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レベルが3に上がった。
体が前よりも軽く感じられ、ステータスの上昇が身体能力にも影響していることを感じた。
森の奥へと進むにつれ、次の獲物が現れた。
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アルミラージ
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今度は、頭に鋭い角を持つ兎だ。角兎が黙って私を見つめ、突如として襲いかかってきた。反射的に剣を防御に使おうとしたが、間に合わず、肩を角で貫かれ鋭い痛みが走った。
「――っ……!」
叫んだ私の声が森に響く。
角兎はなおも跳び回り、私を威嚇している。しかし、次に襲いかかってきたとき、私は咄嗟に角を掴み、そのまま地面に叩きつけた。角を握りしめたまま、剣で角兎にとどめを刺した。
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レベルアップしました
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レベルが4に上がり、肩の痛みはあるものの出血や傷は思ったほど深くはなかった。
体が軽くなっていく感覚に、初めての充足感を覚える。
私は徐々に強くなっている。生き残るための戦いが私の意識を少しずつ変えていた。
森の中を歩きながら、岩の上に座り込み、深く息を吸い込んだ。
ステータス画面を呼び出すため、心の中で呟いた。
目の前に現れた透明な画面には、私の新しい能力値が映し出されている。
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ユリアーナ
レベル:4
HP:247 / 282
MP:120 / 120
筋力:10 体力:8 敏捷:6 運:6 魔力:14
未割当ての能力値:残り100(消失期限:レベル50)
アクティブスキル:
『紅焔の加護』
パッシブスキル:
『感染症』
『孤立』
『脆弱な肉体』
『油断』
『欠損した魔力回路』
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筋力や体力、それに魔力が特に大きく成長していた。
魔力……元の世界では魔法が使えたが、この世界でも同じく使えるだろうか。
"ファイアボール"と念じて手を掲げると、手から火が出た。
しかし出力がとてつもなく弱い。これでは炎の玉ではなくただの弱火だ。
チリチリと、火が手元で心許なく揺らめいていた。しかも、出力をいくら上げようとしても一向に強くならない。
「ふん!」
力んでその火を飛ばしてみるが、すぐに消えてしまった……思わず頭を抱える。
単純に、まだ魔力が弱く出力できないのか。
それともパッシブスキルのせいで出力が制限されているのかもしれない。
それぞれのスキルをタッチすると詳細が表示された。
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パッシブスキル:
『孤立』 他者から受けたHP回復の効果が80%減少
『感染症』 HP自然回復にかかる時間が70%増加
『脆弱な肉体』 状態異常にかかりやすくなる。また、状態異常の継続時間が50%増加
『油断』 受けるデバフが80%増加しバフは80%減少
『欠損した魔力回路』 常に魔力が全身から漏出し、一定時間でMPが減少する。また、魔力の減衰率が80%上昇
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"孤立"、"感染症"、"脆弱な肉体"、"油断"、"欠損した魔力回路"……。様々なデバフスキルを持っているが、
なかでも"欠損した魔力回路"が厄介だった。まずはMP減少効果だが、これはどうやら自然回復の時間とちょうど相殺されてしまっているようだ。
先ほど炎を出して、MPが110まで減ったが、その後109と110を行ったり来たりしている。MPが減少して、その後自然に回復して元に戻って……とちょうど釣り合っている状態だ。
それと、飛ばした火がすぐに消えてしまったのはおそらくここに書かれている”減衰"のせいだ。手元から離れれば離れるほど魔法の効果が大きく下がっていくようだ。
それならば、身体から放出するのではなく身体に"付ける"形で魔力を使えないだろうか。
試しに魔力を足に纏い、その場でジャンプしてみた。すると、少ない力で高くまで跳躍することが出来た。
特定の部位に纏えばやはり筋力増強に使える。まだ魔力が弱いからか効果は薄いが、どうやら成功しているようだ。
これを応用すれば、防御にも使えるのではないだろうか。
試しに全身に魔力を放出してみると、いい感じで薄く魔力が滞留しているようだ。
これを常に維持し続ければ魔力が壁のようになり衝撃を吸収してくれるはず。
次の戦闘では試してみよう。
ステータスを見ると、「未割当ての能力値:100」という項目も存在した。
試しに10ポイントをステータスに均等に割り振ってみると、やはり能力値が上昇した。それに連れて体も軽くなった。
とても便利だがこの世界の全貌が未だに謎に包まれているため、この能力値の使い方は慎重に考えることにした。
最後に、アクティブスキル「紅焔の加護」――
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アクティブスキル:
紅焔の加護「蜈ィ縺ヲ縺ョ閭ス蜉帛?、縺?0%荳頑?縺吶k」
「鬲皮エ?縺?蜉0%荳頑?縺吶k」
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これは詳細画面を開いたが文字が読めなかった。
ノイズが走り視認できない。目を凝らすと「0%」のような文字は確認できるがそれ以上はわからなかった。目が痛くなるのですぐに画面を閉じた。
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