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乾杯のお相手は

作者: 白鷺雪華

季節は太陽照りつけ、植物生い茂る夏


私は買い物を終えて帰宅した。

「ただいま〜」

帰宅の挨拶を告げて、愛用のマイバッグをテーブルに置く。

「さ、まずは手洗い、うがい」

外から帰ったらまず手洗いうがい。

コロナが落ち着いてもこれはいつの世も絶対!

「いやー、まさかピーマンの特大袋があるなんてねー。

半分は今日使って、もう半分は明日使おう」

「なにがいいかなー。せっかく夏野菜の季節なんだし、

茄子とさば味噌煮缶で炒めよっかなー」

そんなことを考えながら購入した食材を冷蔵庫に収納していく。

「さて、まだ作るには早いから、

読んでる途中の本を読み終えてしまおうかなー」

そう言って私はソファに座って読書に集中した。



そして夜を迎えた。


私は一品作るためにキッチンに立っていた。

そのために必要な食材を予め取り出しておく。

「さて、まずは特大袋のピーマンを縦半分に切って、

種などを取り除いて細切りにしていく」

複数のピーマンを使う場合は種などを

まとめて器に入れておくと後片付けが楽だ。

「そして、油を切ったツナ缶と鰹節を加える」

数日に分けて食べるので水気はない方がいい。

「最後に醤油で整えれば完成」

洗い物を少なくするために

細切りピーマンを初めからタッパーに入れて、

調理も全てタッパーの中で行っている。


生のピーマンが抵抗ある場合は加熱してもいいが、

私は素材を味わいたいので生のまま調理している。


冷蔵庫で冷やしてる間に入浴を楽しむため、

バスルームへと向かう……



入浴後……

しばらく火照った体をお茶やうちわで休ませた後、

宴の準備をするためにキッチンへと向かう。


先程作ったピーマンとお酒にグラスを持って、

テーブルをセッティングしていく。

自分と夫の前にグラスを置いてそれぞれ好きな酒を注いでいく。

そして、グラスを重ねないように傾けて乾杯を交わす。


まずはお酒を一口口に含ませる。

「んんー、やっぱりこれが私には合うねー。」

普段飲み慣れた味と香りが舌と鼻を通り抜ける。

飲み込んだ後、余韻を残しながらピーマンを口に運ぶ。

「うんうん、ピーマンの生の苦みとツナの強い旨味、

鰹節がいいアクセントになってお酒にピッタリだねー」

「これは、お酒を楽しめる人が作る料理だし、

お酒を味わえる人が良さに気づけるね」

「もちろん、ご飯のお供としてもいけるから、

常備菜としてもいいかもね」

自賛しながらもこれは他の人にも作ってもらいたいなと思う。

宴は今始まったばかりだ。

明日を気にせず飲めるというのはなんとも気が楽になる。

私はグラスのお酒をもう一口口に含んだ。



遺影の中の夫がふと微笑んだような気がした……


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