プロローグ(はつとうこう)
「次は、リスナーさんから送ってもらったお便りとか質問にお答えしていきましょうか」
「はいはーい。どんなん来とるん?」
「そうだねえ……。まずは軽いところで、『おふたりさま こんばんちゃ。 がくせいのころに けいけんした ふしぎな できごとは ありますか?』なんて」
「はーい、こんばんちゃ。不思議、なあ。つってもオレは平々凡々な学生時代やったし、レーカンとかもないから、そーんな面白いお答えはできんのだけど。キミの方はどう?」
「ハードル下げてない?、絶対後出しでイイの出してくる流れじゃん、それ。まあいいけど。でも、ボク自身はさっき言ってたのと似てて、それこそ平凡だよ。平凡。目立つことしなかったし、友達いないし、付き合ってる相手もいなきゃ、趣味も本読むくらいだし、運動苦手だし。学校にはまじめに行ってたけどさ」
「うっわ、悲しいくらい今も変わらない気がするんだけど……いや、悲しい話じゃないし、そんでそっから不思議エピソードが始まんの?」
「だからまあ自分がどうこうってことはなくってね。ただ、うちの親が定期的に転勤するんで、結構な回数、転校してたんだよねえ。だいたい1年単位かな。早いと一学期」
「はぁ?そんなしょっちゅう転勤する仕事があるん?まあ、たしかに不思議っちゃ不思議かも、だけれども」
「いや、それは不思議ってこともなくて、んー、不思議なの? よく分かんない。そこは興味なかったなあ。また引っ越しかあ、くらいな感じでさ」
「いやいや、親の仕事少しくらい興味もってあげてよ。にしても、そこの話じゃないのか。じゃ、なんなん」
「そうそう、で、その転校した中に、今になって思い返すと色々と不思議なことする学校があって。当時は何も考えずにぼけーっと通ってたから、そんなもんかなって感じだったんだけど」
「あー、あるよねえ、変な校則の残ってるガッコー。靴下は白だけーとか。うちとこは『バレンタインにお菓子を受け取らない』なんてビミョーな校則もあったっけ」
「なんだそれ、持って行くのはいいのかとか気になるんだけど。キミのそれは後から聞かせてもらうとして、そうゆう変わった校則的なのじゃなくて、なんだろう、決まりごと、いや、なんだろう……」
「んー、暗黙の了解?」
「そうそれ、暗黙の了解だね。そういうのがあって。それこそなんてことないフツーの公立の学校だったと思うんだけど、そんな特徴もない地方の…って、実名出すとアレか。ま、いいや、ヘンな学校とでも呼んでおきますけど……」
※週イチ更新予定です(プロローグなど含む全11回)。