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田舎とも都会とも呼べない街「桜羽町」
ショッピングモールなどの集まる都会的な面もあれば少し離れれば海も山も畑もあるような場所でこの街で最も有名なのは初等部から大学までありこの街の半分ほどを占めている学園の存在だろうか。
ありとあらゆる学科が集まり全てはそこだけで完結するようなそんな場所。
変わった職業に着きたくても学ぶ場所が分からないならここへ行けと言われ各界の有名人を排出しているらしいが母体数が多いだけと言われればそうかもしれない。
そんなちょっと変わったところもある街。
そんな街の中の森の中。
看板があるわけでもなく参道も整備されている訳でもなく唐突に現れる鳥居。
そこから参道が現れ左右には狐が置かれている。
右手には手水舎があり水が流れている。
真っ直ぐ続く石畳の左右には赤い灯篭が置かれ、その先には神門がある。
神門をくぐると見えるのは御神木である大きな桜の木。
左右に石畳が広がっているが真っ直ぐ歩いていくとその先には社殿がある。
ここはほとんど存在すら知られていない神社。
とても立派だが人にはほとんど知られていない。
しかしいつも賑やかな声が聞こえてくる。
人は集まらないがあやかしの集まる場所。
聞こえぬものには静かなこの場所。
聞こえるものには騒がしい。
姿が見えぬものには寂れてみえるが、見えるものにはお祭り騒ぎ。
鳥居をくぐれば結界の中。そこは神の庭である。
妖が困ったのならばここに来るといい。
妖で困ったのならばここに来るといい。
妖事屋とそこの神様が助けてくれるだろう。
これは妖の万事屋となった少年の物語。