神隠し
中学校になって、私と美佳は校区の関係で別々の学校に通うことになった。私と美佳は次第に疎遠になり、私は私の友達をつくった。そして、ある日、私は美佳の通う中学校の友達に出会った。世間話をちょっとした後、その子は思い出したかのように言った。
「美佳って子いたでしょ。」
「うん。」
「その子がいなくなったらしいわよ。」
「え。」
私は驚いて、耳を疑った。
「なんか。朝、家を出たきり、中学校には来なくて、いなくなったらしいわよ。親も先生も慌てて探したらしいけど、どこにも見つからないって。そして親が警察に捜索願をだしてもう1ヶ月になるけど、死体も見つからないって。みんな神隠しにあったんじゃないかって言ってるわよ。」
「美加が?」
「そう。」
私は絶句し、暫く沈黙が流れた。そして、私はその旧友に尋ねた。
「美佳って、中学校ではどんな子だった?」
その旧友はじっと何かを考えている様子だった。そして重い口を開いた。
「そうね。まわりからは「変人」って言われてたわ。友達もいなくて、何回か靴を下駄箱から隠されたりとかしてたわね。」
私にも思い当たる節はあった。美佳はやっぱりどこか変わった子なんだ。
そして、私達は違う話題に移っていった。でも、私はずっと美佳のことを考えていた。