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七女って・・・子供どんだけいるの?

店へと入ると父さんと母さんが暇なのだろうか?椅子に座って談笑していた。


全然客が来ないけど、ここの店大丈夫なのか?


両親の店の行く先を不安に感じながら、声をかける。


「ねぇ、やく「お待たせー!」


ちょうど声をかけた瞬間に店のドアが開き、モニカが帰ってきた。


「あら?モニカちゃんおかえり。用事は済んだの?」


母さんがモニカに近寄り声をかける。


「うん。ただいま!ちょっとね、人を連れてきたんだ〜」


母さんとモニカが並ぶと母さんは合法ロリなドワーフなだけあって、モニカの方が年上に見える。


っと、それよりも人を連れてきた?

どういう事だ?


害意センサーに反応が無いから、今のところは悪い人では無いとは思うが。


これが範囲に入ってないだけだったら、笑えるな。


「誰を連れてきたの?」


母さんが首を傾げて、人差し指を顎に当てながら聞く。


なんつーか、似合ってるな。ロリ!!って感じがする。


そんな事を思いながら、父さんを見てみると、目をハートマークにして母さんを見ながら『萌え・・』と呟いていた。外見は良いのに、残念な人に見える。


やっぱ完全なるロリコンなのね?

まぁ気にしないけど。多分・・。


「おじさんもおばさんも知ってる子だよ」


モニカが言うと同時にお店のドアが再び開く。


「失礼しますわ」


ドアからは、プラチナブロンドの髪を長く伸ばし、毛先がいくつかのドリルな感じになっている美少女と、後ろには、メイド服を着た黒髪ショートで黒目の、これまた美少女が入ってきた。2人とも歳は15歳前後に見える。


うぉ!!ドリルヘアー!初めて生で見た!


美少女な部分よりも、ドリルに目がいってしまう。前世では生で見た事なかったからな。


後ろの子はなんだろう?

ジャパニーズって感じがするんだけど?

同郷さんじゃ無いよね?転生者は稀って言ってたし。


「あら?マリアンちゃんにカンナちゃん久しぶり」


「久しぶりだね」


やはり知り合いなのか、母さんと父さんがドリルとメイドさんに挨拶をしている。


「お久しぶりですわ!」


「お久しぶりです」


ドリルは、はつらつと、メイドは、お淑やかに挨拶を返している。


俺的にはドリルヘアしてる人って元気一杯のイメージがあるんだよな。


そんな事を思っていると、ドリルがこちらを向いて目を輝かせる。


「まあ!この子がお二人のお子さんですのね!!可愛いですわ!」


そう言うと、俺の方へ瞬時に近寄り、口が触れそうなほど顔を近づけてくる。


美少女のドアップは緊張するんですけど!?


「あ、あの。初めまして、エミリオです」


俺が少しビビりながら挨拶を返すと、満面の笑みで頷きながら返事をしてくれる。


「ワタクシはマリアンですわ!よろしく、エミリオ!」


「お嬢様。近すぎでございます。エミリオ様がビビっております」


ビビって無いやい!(嘘)


カンナが諌めた事で、マリアンとの距離が離れる。安心したのも束の間、今度はカンナがドアップになった。


「私はお嬢様のお付きのメイドで、カンナと申します。よろしくお願いします。エミリオ様」


「よ、よろしくです」


思わず変な言葉になったが、仕方ない。

2連続美少女ドアップは、心臓に悪い。


直ぐに、カンナが離れたので、父さん達に説明を求めて目をやる。


「エミリオ。マリアンはね、辺境伯令嬢なんだよ。昔父さん達が弓の指導をしてたんだ」


父さんが柔和な笑みを浮かべながら教えてくれる。


薬師の父さんが弓の指導?どう言う事?


俺が疑問に思っていると、母さんが口を開く。


「お母さんとお父さんはね、昔冒険者だったのよ。それで縁があって、辺境伯から是非娘の指導をって頼まれたの」


初耳ですけど!?


俺が驚いたまま固まっていると、そのまま会話が進んでいく。


「冒険者でもAランクの方々ですわ!そんな方達に私のような七女が教えていただけるなんて、名誉な事ですわ!」


「まぁ冒険者に関しては昔の事だけどね」


「そうそう。50年前くらいだもんね」


マリアンが自分の事のように誇らしげに話すのを、謙遜している感じの両親。


ドワーフとエルフだから見た目通りの年齢では無いと思ってたけど、何歳なんだよ。

それに七女って、辺境伯はどんだけ子供いるんだ?


「因みに私はミリー様よりハンマーでの戦い方を学びました」


俺に向かってカンナが新たな情報を教えてくれた。


ドワーフはハンマーのイメージが確かにあるけど、メイドでハンマーですか?

ギャップすごいな。なんか知らんけど、ハンマーに100tって書かれてるのを想像してしまったわ。


「ところで、辺境伯・・ライドは元気かい?」


「元気ですわ!」


「それなら良かった〜。もう随分と会ってないもんね」


「お父様は忙しい方ですので。そうですわ!今度一緒に食事をしましょう!」


いやいやいや。一般人がそう易々と食事に行けないでしょ!


心の中でツッコミを入れていると、カンナが耳元で囁いてくる。


「大丈夫です。ライド様もお二人に御指導頂いたので、友人の様な間柄です」


あ、そうなの?それなら良いのか?

正直貴族のことなんざ、よく分からんけど。


「まぁ今度機会があればそうしようか。それで、モニカちゃんが連れてきたんだよね?なんでまた?」


「ん?それはね、えっと・・その・・」


父さんに理由を聞かれたモニカがしどろもどろになっている。


絶対何も言い訳考えずに連れてきたな。

どうすんだよ。


「それはワタクシが久しぶりにお二人にお会いしたかったのと、モニカから聞いていた、エミリオに会いたかったからですわ!」


「そういえば、タイミングが合わなくて、エミリオとは会ったことなかったわね?」


「そうですわ!」


焦るモニカをフォローする様にマリアンが代わりに答える。


そもそもモニカは何で知り合いなんだ?


「私を含め、お嬢様とモニカ様の3人で冒険者パーティを組んでおりますので」


再び耳元でカンナが俺の心を読んでいるかの如く、答えてくれる。


なるほど。パーティをね・・・。

それはそれでパーティを組むキッカケと何で七女とはいえ、辺境伯令嬢が冒険者してるのかというのも気になるけどね!


それで俺に会いにきたっていうか、モニカが良いこと思いついたって事で連れてきたと思うんだけど、これどうすんの?


そう思っていると、マリアンがこちらを向き、笑顔を作る。


「それでは折角お会いできたので、どうでしょう?エミリオ。ワタクシとお茶でもいかがですか?」


「へ?」


急にマリアンからお茶の誘いを受けて、間抜けな声を出してしまう。


「お嬢様。時間も時間ですので、夕飯にご招待すれば宜しいかと」


「それがいいですわね!エミリオをお借りしてもよろしいですか?」


ナイスアイディア!みたいな感じで手を叩くな。いきなり貴族の家なんて行けるか!?


「大丈夫だよ。エミリオ、言う事を聞いて大人しくするんだよ?」


俺が断る前に、父さんが彼女を信頼しているからだろうか?二つ返事で了承してしまっている。


急展開過ぎるわ!


俺が断りを入れようと口を開こうとするが、いつの間にか背後にいたモニカに口を塞がれながら抱き抱えられる。


何だこれ?半分誘拐じゃないか!?というか気配全く感じなかったぞ!?


「これがアタシの固有スキルだよ?1分間の間、誰にも気付かれずに移動出来るんだ♪」


何その暗殺者向けな固有スキルは?しかも今になって急に披露するなよ。


耳元で呟くモニカを半眼で睨みながら見ていると、いつのまにか話が纏まったのか、父さんと母さんが手を振っている。


「それじゃエミリオ、良い子にしなさいね?マリアンの家はお風呂もあるし、のびのび出来ると思うわよ」


「マリアンもカンナもエミリオを宜しくね」


「お任せください。ちゃんと明日には送り届けます」


「そうですわ!今日はお二人でゆっくりとお過ごし下さい!」


父さんと母さんにお辞儀をしているマリアンとカンナ。


ちょい待て!!いつの間にお泊まりになってるんだ!?


そう思っているとカンナが店のドアを開ける。ドアの向こうには、ピンと背筋を伸ばした白髪オールバックの髪型をした老齢の執事が立っており、目の前にある馬車のドアを開ける。


それを見てマリアンが乗り、その後俺を抱えたモニカが乗る。そして最後にカンナが乗ってきた。


ドアが執事の手によって閉められてしまう。閉まる直前に見えたのは、手を振る母さんと、そんな母さんをイヤらしい目で見ていた父さんの姿だった。


あれ、絶対に昨日俺に邪魔された続きをする気だな。


そんな事思っている間に、無常にも馬車は出発してしまった。

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