色々な初めて
外へと出ると、モニカに固有スキルを聞いてみる。
「モニカお姉ちゃんの固有スキルってなに?」
「ん?エミリーのを教えてくれたら、アタシのも教えてあげる」
俺に向かってウィンクをしながら、モニカが答える。
可愛い。こんなお姉さんいたら前世も最高だっただろう。
「じゃあ後で教えるから、その時にモニカお姉ちゃんのも教えてね?」
2人で手を繋いで柔かに会話をしながら街の門へと向かうと、兵士の服装に肩当てと胸当てを着け、槍を持った赤髪ロングのお姉さんに呼び止められた。おそらく門番をしているのであろう。
「ストップー。モニカ、今日はそんな小さい子を連れてどこに行くの?」
「はよー、ヘレン。この子がスライム見たいって言うから直ぐそこまで散歩に行くんだ」
「こんにちは!俺の名前はエミリオです!」
俺はヘレンにお辞儀をしながら挨拶をする。
そんな俺をみて、ヘレンは小さく『可愛い・・』と呟いて、挨拶を返してくれた。
「こんにちは。君はモニカの知り合いかな?」
「うん!家が隣なんだ!」
「なんでいちいちそんな事をエミリーに聞くの?」
わざわざ俺にヘレンが聞いて来たので、モニカが仏頂面で聞き返している。
「だって!こんな可愛い子を連れているんだもん!普段はパーティメンバーとしか一緒にいなくて、性欲を持て余した結果、ついに誘拐したのかって心配になるじゃない!」
ヘレンがモニカに向かって力説している。
誘拐って・・・。どんな事したらそう見られるんだ?
「失礼だなぁ。アタシとエミリーはお隣さんでラブラブなんだよ?ね?エミリー?」
俺の方を見ながら小首を傾げるモニカ。
「え?うん。仲はいいよ?」
変な事を口にすれば、今日のうちに性的に襲われそうなので、それだけ言う事にする。
「クゥー!!いつも女とばっかり居るから、私と一緒で男日照りをしてると思っていたのにー!裏切り者ー!」
ヘレンが槍を地面に叩きながら喚いている。
「そう言うわけだから、じゃーねー」
ヘレンを華麗にスルーして、モニカは俺の手を引きながら門の外へと歩き出す。
なんて言えば良いか分からないので、小さくヘレンに手を振り、俺もモニカについて歩こうと背を向ける。
『尊い・・』と言う呟きが聞こえた瞬間、背中がゾクッとしたが、気にしないように頑張りながら歩いて行った。
てか俺5歳なんだけど?
ヘレンもショタの可能性が出て来たな。
もしくは光源氏計画的なものを企てているか。
しばらく歩いて、広く見渡しの良い平野でモニカが立ち止まる。周りを見渡すと、青色の直径15cm程で楕円形っぽい物体が何匹かウニョウニョと蠢いている。
「はい。到着。コイツらがスライムだよ。それにこの辺は街も近いし、人も殆ど来る事ないから、心置きなく倒せるよ」
「わー!」
俺もスライムは見たことあるのだが、折角モニカがスライムを紹介?してくれたんだ。
手を叩いて喜ぶ姿を見せる。
「それじゃあ私がまず倒してみるね」
モニカはスライムに歩いて向かい、獣人特有なのだろうか?手の爪を鋭く伸ばす。
それをスライムに対して軽く振るうと、スライムが半分に切られた。
「お〜!モニカお姉ちゃん凄い!!」
前世が普通の人な俺からすれば、純粋にモニカが凄い人に見えた為、拍手をする。
切られたスライムはそのまま消滅していく。スライムがいた場所には、石ころのような物が落ちていた。
あれは・・、スライムの魔石か。名称だけなら、見れば分かるからスライムの核もすぐに分かりそうだな。
「えへへ。アタシ凄かった?」
俺が褒めたことで照れながら頬をかくモニカ。
マジで純粋に凄かったけどな。爪で一閃とか、前世だったら普通に霊長類最強なあの人にも勝てるぞ。
「うんうん!モニカお姉ちゃんカッコいい!」
俺が更に褒めると、小さな胸を張ってドヤ顔をするモニカ。
その姿が可愛かった為、しばらくの間、モニカを褒めまくって過ごした。
「それじゃあエミリーが倒してみよっか?」
誉め殺しにした後、ずっと照れていたエミリーが笑顔でそう提案して来た。
たしかに、ここで何匹か倒して、レベルを上げるのもアリだと思うんだよな。
普通のスキルも取ってみたいし。
やってみるか。でも武器はどうしよう?
「モニカお姉ちゃん。俺、武器ないよ?」
「ん?素手じゃダメ?」
「ちょっと嫌かな・・」
いやいやいや。素手とかさ、なんか嫌じゃん?
だってスライムとか素手で潰したら感触が伝わって来そうでさ。
俺が嫌そうな顔をしていると、モニカは『ちょっと待ってて』と、少し俺から離れて何かを探し始める。
目的の物を見つけたのか、こちらに戻ってきて、手に持っていた物を差し出す。
「はい!これ!」
そう言って見せられたのは、俺が持てる程度の大きさの木の枝と少し先が尖っている石ころだった。
どちらか選べと?
差し出されたものをじっと見て考える。
「スライムってこの石で刺すこと出来る?」
「んー。アタシみたいに鋭い爪は刺さったり、切ることが出来るけど、基本は打撃の方がダメージを与えやすいよ」
やっぱスライムって斬撃耐性とかありそうな雰囲気あるもんな。こんな石ころじゃ刺さるまではいかないか。
「石は何回も投げれば良いと思うよ?」
なるほどな。
モニカは俺をじっと見て待ってくれている。
しかし、だんだん視線ががエロくなっているように思えてきたけど気のせいだよな?
そう思ってたら石と枝を足下に落として、急にモニカが俺を抱きしめてきた。
「もぅ!スライムにビビってるなんて、可愛い!!」
「ちちち違うよ!?ビビってなんかないよ!」
「はいはい。大丈夫だよ?お姉ちゃんがついてるから!」
抱きしめられているのをどうにか抜け出そうと、モニカの胸の中で暴れる。
「あんっ。・・もぅ。暴れちゃダメだよ?」
ギュッと強めに抱きしめられて、漸く解放された。
女の子の柔らかい体に抱きしめられるのは嬉しいが、やはり少し恥ずかしいものもある。
これが家の中ならまた違うんだけどな。
それはそうと、スクナビコナでこの2つを使って作れるものないかな?
スキルを使うにしても、モニカがいるし。
もう、モニカに固有スキルを話すか。名称についてはわからないで通そう。
「モニカお姉ちゃん」
「ん?なーに?」
「俺の固有スキルなんだけど、生産系のスキルなんだ」
「そうなの?鍛治とか薬師とか?」
「それが・・・。そういう生産系スキルが全部使えるスキルなんだ」
「・・・へ?」
俺の言葉を聞いて、モニカが驚いた顔のままフリーズする。
モニカのフリーズが解けるまで、じっと待つ事にした。
・・・・。
長くね?1分くらい止まってるぞ?
そろそろ声をかけようかと思い、口を開く。
その瞬間モニカのフリーズが解けた。
「ええええええ!?それ凄いよ!普通スキルってレベルがあるから、レベルに応じたものしか作れないんだよ!?それが全部作れるの!?」
「モニカお姉ちゃん!しーっ!声小さくしてよ」
突然大声を上げたモニカに、口の前で人差し指を立てて、静かにするように促す。周りに人は見当たらないが、万が一の事がある。
「あ!ごめんごめん。それでなんでも作れるの?」
ハッとした表情をして、声のトーンを下げるモニカ。
「どうだろ?全部かどうかはわからないけど、マジックポーチは作れるよ?」
「ええ!?・・・っと、ごめんね。マジックポーチなんて、普通は裁縫と付与魔術と鍛治のレベル8以上の人達が集まって作るんだよ?所謂、宮廷魔術師とかそのレベルの人が最低でも3人はいるんだよ?」
なんと?そんなに人数がいるのか。しかもレベル8以上か。
これは作れば高く売れそうだが、作ったのがバレると軟禁コースの可能性が、ますます現実味を帯びてきたな。
俺は不安になって、ちらりとモニカを見る。
するとモニカが俺の不安を読み取ってくれたのだろう。頭を優しく撫でてくれた。
「大丈夫だよ。何があってもお姉ちゃんは味方だからね」
モニカは俺の目線まで腰を下ろして真っ直ぐに見つめてくる。
あぁ。これは正直に話すことにしよう。
彼女の真摯な対応を無碍にするわけにはいかない。
それに記憶が戻るまでの間も、彼女は俺に対して、いつも優しく真っ直ぐに関わってきてくれているようだから。
たまに性的な目で見られてるけど。
「モニカお姉ちゃん。大事な話があるんだけど」
「うん?どうしたの?」
「実は・・・」
俺はモニカに出来るだけ分かりやすく、今までの転生の経緯を話した。
それを驚いた顔をしながらも真面目に聞いてくれる。
俺の話が終わると、しばらくの間考え込むモニカ。
そしてゆっくりと口を開いた。
「それじゃあエミリーは、元は別世界の人でその世界の神様たちの為に転生して来た?」
「そう」
「それで、固有スキルとして生産系全般が使えるスキルを貰った?」
「うん」
「今日記憶が戻った?」
「そんな感じかな」
「なるほどね〜。御伽噺でも転生してきた勇者の話もあるし、そういう事もあるんじゃないかな?だから私は気にしないよ?」
そうやって笑顔で俺の頭をまた撫でてくれる。
「驚かないの?それに嘘とか思わないの?」
不安になり、そんな事を聞いてしまう。
「驚いたけど、エミリーの真面目な顔を見たら嘘とは思わなかったかな〜。それにエミリーはエミリーだからね!」
前世の俺より人間出来てるな。本当に頼りになるお姉さんって感じだ。こんな良い子がそばに居るなんて、運が良かったとしか言いようがない。
「でも、おじさんとおばさんには様子を見てから話した方がいいかな。いきなりだと驚いちゃうし、話し方を考えた方がいいよ」
「そうだね。その辺は上手い事考えるしかないよね・・・。それでスキルの事なんだけど」
「んー。固有スキルだから、そういう凄いのも偶にあるらしいけど、とりあえず隠す方向かな」
やはり、隠した方がいいか。偽装の魔道具の作成を急いだ方がいいな。
「だって他の人に知られたら、“2人だけの秘密”にならないからね!」
そこかい!
俺が半眼でモニカを見ると、その視線にモニカが悶えている。
「やーん。冗談だよ〜。てかエミリーのその顔。可愛い♡」
いや、呆れてる顔ですけどね。
まぁモニカのお陰で気持ちは楽になったけど。
俺は真面目な顔でモニカを見つめ、出来る限り気持ちが伝わるようにお礼を言う。
「モニカお姉ちゃん。ありがとう」
「いいよ〜。これからの事は少しお姉ちゃんの方でも考えるね。それでそのスキルを今から使おうと思って話したんでしょ?」
「うん!早速使ってみるね」
モニカの対応に安心した俺はスクナビコナの使用をする事にした。
目の前にスクナビコナのボードが現れる。そのまま木の枝と石で出来るものを表示させる。
ーーーーーーーーーー
石の斧
よく出来た石斧。
軽いが、意外と強いしよく切れる。
斬撃威力アップ。
木の枝
石
ーーーーーーーーーー
俺が出したボードを見て、感嘆の声を上げて、覗き込むモニカ。
「へー。ステータスボードみたいだね。この文字みたいなのは、前の世界の文字?」
「そうだよ。ニホンゴって言うんだ」
顔が近くて少し恥ずかしいけど、気付かれないように振る舞う。
「それじゃあ作ってみるね」
初めてのスクナビコナの使用なのでちょっと緊張している。
目の前に木の枝と石を並べて、石の斧を作るように念じると、2つのものが光へと変わり宙に浮くと、光が重なり合った。
重なり合った光の光量が少し強くなる。直ぐに光が消えていくと、宙に石の斧が浮いていた。
「出来た!!」
喜びの声を上げると、モニカが感心した表情で手をパチパチと叩いてくれる。
「凄いね〜。ホントに生産スキルだね」
褒められて嬉しくなるが、とりあえずこれを試してみることにする。
宙に浮いた石の斧を手に取り、2、3度素振りをしてみる。
うん。俺でも扱えるくらいの重さだ。これなら使えるだろう。
「これでスライム倒してみるね!」
意気揚々とスライムの近くまで歩いて行き、目の前で立ち止まると、石の斧を振り上げて、勢いよく振り下ろした。
「えい!」
石の斧がスライムを捉えて、そのまま抵抗なく地面へと半分程突き刺さる。
「え?」
あまりに抵抗なく、スライムが両断された為、間抜けな声をあげてしまった。
両断されたスライムはそのまま消えていき、後にはスライムの魔石とスライムの核が残されていた。
「おー!凄い凄い!!」
モニカがそれを見て喜びの声を上げる。
俺は未だに呆気なく終わった初戦闘にポカンとしたままだ。
徐々に倒した実感が湧いてくる。
「わー!簡単に倒せた!」
実際はスライム程度を倒す事は難しいことではないのだが、記憶が戻ってから初めてスライムを倒せたのでめちゃくちゃ嬉しい。
「凄いね〜。その石斧の切れ味も抜群だし」
モニカが俺の持つ石の斧を見ながら、そんな感想を漏らす。
「もしかしたらだけど、エミリーの固有スキル自体が他の生産スキルと一線を画してるのかもしれないね?」
その可能性は大いに有る。何せスクナビコナは神の権能だ。要は神の御業というやつだからな。
それにオモイカネもスクナビコナでしか作れないものもあるって言ってたし。
俺はモニカの言葉にうんうんと頷いて返す。
「まぁとにかく一度休憩しよっか?色々あったし疲れたでしょ?」
確かに、今は初めて魔物を倒した事で少し興奮気味だし、休憩した方がいいか。
「うん。そうしよっか」
「それが良いよ。そしたらあそこの木陰まで行こう」
モニカが少し先に見える木を指さす。俺が頷いたのを見ると手を差し出して来たので、その手を握る。
2人ゆっくりと歩き出した。
「ところでエミリーって体は5歳でしょ?精神年齢は30くらいになるの?」
「うん。そうだよ?」
「それにしては、子供っぽいね〜?」
そうなんだよな。最初は演技のつもりだったのだが、体の年齢に多少精神が引っ張られているのか、幼い喋りになってしまう。
直ぐに木陰へと着いた。
「でも、一応精神的には大人だよ?」
モニカを見上げながら言う。
それを聞いたモニカがニヤリとした。
「じゃあ、問題ないよね?」
「え?」
何が問題ないのか聞く前に、モニカに押し倒された。
ヤバッ!(性的に)喰われる!
「ちょ、ちょっと待って!ダメだよ!」
モニカの顔を見上げながら焦った俺はどうにか抜け出そうとするが、体は子供なので、なかなか難しい。
「どうして?エミリーはもう大人でしょ?」
舌舐めずりをしながらモニカが獲物を狙う目でこちらを見ている。
「でも!モニカはまだ14歳でしょ!?」
「ん〜?あ!そうか。そう言うのは知らないんだね?」
どう言う事?そういうの?
「獣人はね〜、13歳で成人になるんだ〜。だから大丈夫!」
おいー!!
そんな設定聞いてないぞ!!
だが!まだだ!まだ諦めぬ!
俺は最初は月読と決めているのだ!
俺は精一杯悲しげな顔で呟く。
「モニカお姉ちゃん・・。せめて本番は・・」
ごめん月読。抗えませぬ。
心はえっちしたいんです。
本番はしないので許して・・。
そう懇願する俺を見て、逆に興奮してしまったモニカは俺の衣服を一気に剥ぎ取り始めた。
「大丈夫だよ。まだエミリーの○○○は小さいから入れるほどじゃないと思うし。ほら・・お姉ちゃんに任せて・・」
・・・・。
そのまま本番はしなかったが、猫獣人のお口の凄さを味わわされた。精通していないのでドライ○ーガズムになり大変だったが、前世含めて、初めての体験でした。